熊本県によりますと、今回の地震のあと爆発があった嘉島町の「イオンモール熊本」では、これまでに12人が救助され、このうち7人が死亡し、5人がけがをしました。現場では引き続き取り残された人がいないか、捜索が続けられています。
一方、イオンは30日、心肺停止や安否不明となっていた4人の従業員の死亡を確認したと明らかにしました。今回の爆発によって死亡した従業員はあわせて7人となり、会社はすべての従業員の安否を確認したとしています。
イオンは29日、熊本市内で開いた会見で、テナントの従業員の3人が死亡し、ほかに1人が心肺停止、3人が安否不明になっていると明らかにしていました。
会社は30日、最新の被害状況を発表し、4人の死亡を確認したと明らかにしました。
4人は29日時点で、心肺停止や安否不明となっていたテナントの従業員だということで、今回の爆発によって死亡した従業員はあわせて7人となりました。
今月28日に起きたイオンモール熊本での爆発後、会社ではテナントやグループの従業員およそ2700人を対象にシステムを使って安否の確認を進めていましたが、30日までにすべての従業員の安否を確認したとしています。会社では引き続き施設内に残っている人がいないかどうか、行政や消防、警察などとともに捜索に全力を尽くすとしています。
オンワードHD 従業員1人の死亡確認と発表
アパレル事業を行うオンワードホールディングスは、爆発が起きた「イオンモール熊本」で1人の従業員が亡くなったことが確認されたと30日に会社のホームページで発表しました。
また、2人の従業員については安否を確認中だとしています。
会社によりますと、「イオンモール熊本」では、当時、2つの店舗であわせて7人が出勤していて、4人については無事が確認されているということです。
会社は「ご冥福を心からお祈り申し上げるとともに、ご遺族の皆様に衷心よりお悔やみ申し上げます」としています。
DMATとして活動の医師「駆けつけたのに力になれず悔しい」
九州大学病院の松永俊太郎医師はDMATとして地震翌日の午前4時から30日午後2時にかけて「イオンモール熊本」に派遣され、現場から南におよそ50メートル離れた場所に待機していたということです。
到着した当時の様子について、松永医師は「辺り一面、がれきが散乱しぼう然とするような状況で、一刻も早く見つかってほしいと祈りながら待っていた」と振り返っていました。
しかし、松永医師が待機していた間に現場で治療を行うことはなかったということです。
松永医師は「地震に爆発という要素が重なり、深刻な事態だと考えていた。駆けつけたのに力になれず、とても悔しいです」と話していました。
イオンモール熊本では30日、新たに2人の遺体が見つかり、松永医師によりますと2人は建物の南側にあるスタッフルームで見つかったと消防から報告を受けたということです。
【動画】捜索活動の映像 医師が撮影
「イオンモール熊本」で30日から行われている捜索活動の様子を現場の医師が撮影した映像です。
撮影されたのは午前8時すぎで、建物の中に重機が入り、消防隊員などが集まって取り残された人を捜索しています。
映像では、重機の先端ががれきの中に差し込まれて停止していて、その周りで救助にあたる複数の人がしゃがんで作業をしています。
従業員「強烈なガスのにおい 危険を感じた」
地震が起きたとき、イオンモール熊本の1階の店舗で働いていたという20代の女性従業員がSNSのメッセージのやりとりを通じて当時の状況を証言しました。
地震の直後、店内では客の避難誘導が行われ、いったん従業員も外に避難したということですが、しばらくしてお店に荷物を取りに戻る人もいたということです。
女性従業員は「私たちも実際にお店に荷物を取りに戻りました。その後、電気を消すため再度お店に戻り、用が済んで外に向かう途中に強烈なガスのにおいがして危険を感じたため、急いで(建物北側の)レストラン街側にある出口から避難しました。すぐそばのベンチに座って、10分後くらいに大きな音とともに目の前の飲食店のガラスが全部飛んできました」と証言しました。
ガスのにおいについては、二度目に店舗に戻って出口に向かう途中で初めて気付いたということです。
また、その後については「破片を浴びながら駐車場の1番奥まで避難しました。近くに家族連れがいて一緒に逃げました」と証言しました。
周囲にいた人には、大きなけがなどはなかったということです。
爆発前に店舗に戻った従業員「“大丈夫と思う”と言われた」
イオンモール熊本の店舗に勤務し、爆発の前に1度店舗に戻ったという従業員の女性が当時の緊迫した避難の様子を証言しました。
女性は地震が発生したとき、イオンモール熊本の中にある店舗で勤務していました。揺れは立っていられないほどで商品や物が倒れたほか、店舗前にいた複数の客も座り込むなど動揺した様子だったということです。
地震が発生したことを知らせる館内アナウンスがあり、イオンモールの社員とみられる人たちが店舗の近くまで来て「荷物を持たないで避難してください」などと声をかけて回っていたということです。
その後、女性は店舗前にいた客を誘導して避難させ、自身は午後5時ごろ、従業員用の出入り口から外の駐車場に出たということです。このころ、女性が撮影した動画には、建物の階段で水漏れが起きている様子が写っています。
避難に際しては、多くの人が従業員用の出口の前に詰めかけていて、一部では混乱する様子も見られたということです。女性は「外の駐車場に出ても、ふだんの避難訓練とは異なりどうしたらいいか何もわからない状況で途方にくれました。駐車場ではけがをした人の手当てをする人や、不安そうな表情で日陰で待機する人たちもいました」と話していました。
その後、しばらく駐車場で待機したあと女性は帰宅することにしましたが、車の鍵などを持たずに避難してきたため、再度店舗まで戻れるか尋ねたといいます。このときのやりとりについて女性は「車の鍵などの荷物を取りに行きたいと施設側の関係者に伝えると『少し待っていてください』と言われたあとに『大丈夫だと思います』と言われ、館内に戻りました」と話しています。
館内は水漏れが起きていたほか、従業員用のロッカーなどがあるスペースではふだん感じたことのない異臭がしたといいます。女性は「駐車場に集まっていた人の中で貴重品を持って避難した人たちはそのまま帰宅することができましたが、中に鍵などを置いて避難した人たちは『荷物を取りに戻らないと』と話していたので、私と同じように館内に戻った人もいたかもしれません。私が館内に戻ったときには店舗の被害を確認しているとみられる人も数人いました。館内に戻る、戻らないの判断は各自おのおので行うという形だったように思います」と話していました。
女性は荷物を取ったあと、午後5時半すぎにイオンモールを出て、帰宅途中に爆発が起きたということです。女性は「私が外に出てしばらくして爆発が起きたので、あと少し避難が遅れていたら爆発に巻き込まれてしまっていたと思うととても怖いです。亡くなった人もいると報道で見て、いまだに現実がうまく飲み込めない状況です」と話していました。
注目
救助された12人 多くが建物中央部分から
地震後に大規模な爆発が起きた熊本県嘉島町のショッピングセンター「イオンモール熊本」では、これまでに救助された12人の多くが、専門店が集まる建物の中央部分から助け出されていたことが警察への取材で分かりました。
警察と消防は30日午後から現場に警察犬を投入して、ほかに取り残された人がいないか確認を進めています。
地震のあと大規模な爆発が起きた熊本県嘉島町にあるショッピングセンター「イオンモール熊本」では、これまでに12人が救助され、7人が死亡し、5人がけがをしました。
警察によりますと、救助された12人の多くが、専門店が集まる建物の中央部分から助け出されたということです。
この部分は被害が大きく建物が崩落しているため、救助された人たちが爆発があった当時、何階にいたのかは分かっていないということです。
警察と消防は30日午後から現場に警察犬を投入して、ほかに取り残された人がいないか確認を進めています。
30日は日没まで捜索を続け、31日は明るくなってから再開する予定です。
また、30日午後3時ごろ、イオンの吉田昭夫社長が嘉島町役場を訪れ、鍋田平町長と面会しました。面会は非公開でおよそ10分間行われ、吉田社長が爆発について謝罪し、被害状況などを説明したということです。
家族と連絡が取れない男性 安否を心配して捜索見守る姿も
爆発があった「イオンモール熊本」の前では、ショッピングセンター内の店舗で働いていた家族と連絡が取れないという30代の男性が、安否を心配して捜索を見守る姿も見られました。
男性によりますと、家族の30代の女性はショッピングセンターの2階の洋服店で働いていて、地震直後に電話した際は避難すると話していましたが、爆発後に連絡が取れなくなっているということです。
男性は「警察に話をしているが、進展もなく、何か情報がほしいと思って足を運んだ。不安だが、建物内のどこかにいると思う。早く見つかってほしい」と話していました。
専門家「72時間迫り時間との闘い 最先端技術で救助を」
熊本県の被災地では厳しい暑さが続く中、31日で救助活動での生存率が大きく下がるとされる「72時間」となります。
危機管理防災アドバイザーで元消防士の田中章さんは「イオンモール熊本」での捜索活動について、「今は救助器具もすばらしく、超音波を使って閉じ込められている人のかすかな呼吸音を聞ける器具や内視鏡のように長いノズルの先についたカメラを自在に操れる装置もある。テクノロジーを駆使して活動をしているだろう。建物は非常に損壊が激しく、1度かなりの衝撃を受けているので、同じ程度の地震があれば倒壊する可能性もあり、退避を繰り返しながら活動をしなければならない困難がある」と述べました。
生存率が大きくさがる「72時間」が近づいてくることについて、「時間との闘いだ」とする一方、「2次災害を防止し、安全管理を図りながら迅速に活動することは、救助者の誇りでもある。マンパワーと最先端の技術を使っていち早い救助につなげてほしい」と話しています。
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