『ダブルインパクト2026』ルール変更の理由 賛否分かれる状況について、総合演出・宮森宏樹さんを取材
漫才とコントの二刀流王者を決めるお笑いの賞レース『アサヒビール スマドリ ダブルインパクト2026 漫才&コント二刀流No.1決定戦』決勝(日本テレビ・読売テレビ系)が7月20日に開催される。
同賞は2025年に初開催。初代王者にはニッポンの社長が輝いた。2回目の今回は、ななまがり、蛙亭、ダンビラムーチョ、TCクラクション、今夜も星が綺麗、滝音、ドンデコルテ、ビスケットブラザーズの8組が決勝へ進んだ。
第1回大会決勝では、ファーストステージで漫才かコントのいずれかを選択して披露し、セカンドステージでは残りの一方のネタを見せるルールだった。しかし今回はファーストステージで漫才かコントを選択して披露し、得点下位3組が脱落。セカンドステージへ進出した5組が残りの1本を見せ、合計得点で勝者を決める。
ただルール変更が発表された際、SNSやネットニュースでは、「漫才とコントの両方を見せる大会なのに、片方しか披露できない芸人がいるのはおかしい」というような疑問の声が上がっていた。
ニッポンの社長とロングコートダディが健闘を讃え合った、2025年大会の光景
なぜ、ルール変更に踏み切ったのか? 『ダブルインパクト』の総合演出を担当する日本テレビの宮森宏樹さんにインタビューを行い、気になる点について話を訊いた。
まず尋ねたのは、2025年大会の率直な感想と課題について。宮森さんは「漫才とコントの両方に全力で挑み、どちらもおもしろい芸人さんに光を当てたいと思い『ダブルインパクト』は始まりました」と、あらためて成り立ちを口にする。
「賞レースがたくさんあるなかで、『ダブルインパクト』にどれだけのエントリーがあるのか、不安も感じていました。しかし、私たちが想像していた以上にエントリーが多く集まり、さらにMCのかまいたちさんや橋本環奈さん、そして審査員のみなさんも大会趣旨に賛同してくださり、携わっていただくことができました。その点では、想像をはるかに超える形の船出を切ることができたと考えています」。
さらに宮森さんは、第1回大会終了後、忘れられない光景を見かけたと話す。それは優勝したニッポンの社長と、準優勝のロングコートダディが、お互いに健闘を讃え合っていた場面。
「ステージの裏で、2組が涙を流しながら抱き合っていたんです。若手の頃から劇場で切磋琢磨し、漫才とコントの両方に挑み続けてきたからこその涙だったのかなって。その光景を目の当たりにして『ダブルインパクト』では、芸人さんたちの二刀流にかける熱い思いもお伝えしていきたいと思いました」。
賛否が分かれたルール変更「あらゆる選択肢について検討し尽くしました」
二刀流芸人たちの激闘を経て、関係者は第2回大会に向けてあらためて『ダブルインパクト』と向き合った。
そして宮森さんは、「漫才とコントの両方がおもしろい芸人さんの魅力、すごさを伝えるための“答え”は、1年、2年では出ない」と考えた。たしかに『M-1』、『キングオブコント』なども長年に渡り、ルールや見せ方の変更を何度も繰り返しながら現行にたどり着いた。『ダブルインパクト』も、賞レースとしての可能性を模索することになった。
「もちろん、1回目のルールが良くなかったわけではありません。ただ課題として、偉大な賞レースと比べると、まだまだ『ダブルインパクト』の認知度は低く、この大会を10年、20年と続く誰もが知る大会へと成長させていくためには、一つの選択肢だけを“答え”にできる状況ではありませんでした。私たちもルール変更に際し、ありとあらゆる選択肢について検討し尽くしました。その中で、今回のルールを採用した理由は、視聴者のみなさんに『3時間、常にワクワクして大会を見続けていただきたい』という気持ちがあったから。加えて『漫才もコントも両方に秀でた者、ダブルでインパクトを残した者だけが王者の称号を得られる』という考え方があったからです。第2回大会は、ファーストステージを勝ち抜くことが絶対条件になります。そうすることで、視聴者のみなさまにファイナリストの真剣勝負により没入して楽しんでいただけるのではないか、お笑いをよく見る方から、そうではない方まで『どうなるんだろう』と結末まで見守っていただけるのではないかと考えました」。
スタッフ内でも今回のルール変更については賛否があったという。ただそれも、『ダブルインパクト』の完成形を目指して、答えを模索中だからこそ。宮森さんは「生放送をご覧いただいて、みなさまから率直なご感想をお聞きしたいと思っています。それらを踏まえた上で、10年先、20年先につなげることができる方向性を見出していきたい」と、多様な意見と向き合いたいと語る。
また今回は演出面でもブラッシュアップが見られる。漫才とコントのステージをそれぞれ制作するという。宮森さんはその狙いについて話す。
「スタジオ内に2つのまったく別のステージが登場します。漫才とコントが異なる競技であることを視覚化し、“真夏のお笑いフェス”のような印象でお届けしたい。去年にも増してハイレベルで過酷な予選を勝ち抜いた、本当におもしろい8組のファイナリストなので、ぜひ楽しみにしてください」。
宮森さんとのインタビューで感じたのは、この第2回大会のルールや演出が好評だったとしても、それを最終的な“答え”にはしないだろうということだ。出場芸人たちに敬意を払いながら、『ダブルインパクト』としてどういう形が最高なのかを、時間をかけながら見つけ出していくことになるだろう。