沖縄の平和団体に忍び寄る中国共産党の“紅い包囲網” 「反基地運動と連帯したい」と好感を抱かせて手駒として取り込む…中国共産党による対日工作の実態
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この抗議活動を行なったノーモアは、2022年1月に結成された。鳩山友紀夫・元総理のシンクタンクと関係が深く、沖縄メディアでもしばしば好意的に取り上げられる。近年の沖縄平和運動の主役の一角を占める団体だ。ただ、その「平和運動」には、中国共産党員や関連団体との密接な往来も少なからず含まれる。 「2024年に、活動で"友達"になった30代の中国人男性から、中国深センへの個人旅行に招待されました。旅費は全額、あちらの負担でした」 取材にこう話すのが、同団体の元共同代表・宮里氏(仮名、30代女性)だ。深センに呼ばれたのは、沖縄出身の他の女性活動家と合わせて計2人。現地では極めて豪華なホテルが準備されていた。 「この"友達"は日本語が流暢。日中関係の研究施設に所属する中国共産党員だと言っていました。この当時、私が革新系候補を支援していた沖縄県議選にも詳しかった」 彼は自民党の特定候補者の名を挙げ『落選すればいい』と話すほど沖縄の政情に精通していた。さらに打ち解けると、真剣な様子で「沖縄の反基地運動と連帯したい」と切り出した。 「私の活動に資金を出すと言われました。さすがに断わったのですが……」 この人物は、党の協力者獲得工作のエージェントだった可能性が高い。すなわち、党外人士(非党員)や外国人に交流を装い接近して接待。中国や党に好感を抱かせ、最後に利益供与を持ちかけて手駒として取り込む「統一戦線工作」(統戦工作)の実行者だ。 統戦工作は従来、世論の分断や選挙介入を目的に、香港や台湾で繰り返されてきた。いまや沖縄でも本格的に実行されはじめた一例だと思われる。 宮里氏にこの人物を紹介したのは、日中関係の中国側重鎮として知られる呉寄南(ウゥ・ジーナン)氏だった。中国外交部と関係が深い上海国際問題研究院に長年所属した、古参の党員だ。 「2023年12月、沖縄選出の参議院議員を団長とする沖縄平和訪中団に参加し、このときは北京に行きました。その際、呉氏から『若者同士で交流せよ』と、例の若手党員を紹介されたんです」 この北京訪問も「自分は費用を出していない」と宮里氏は振り返る。招聘した組織はシンクタンクを名乗っていたものの、実際は軍や外交部・党宣伝部などと密接な関係があった。 現地では、わずか6人の訪中団を程永華(チェン・ヨンホア)・元駐日大使が対応する厚遇だったという。この"北京詣で"が、結果的に統戦工作の踏み台に使われることとなった。 ▼▼▼後編記事▼▼▼ 【つづきを読む→】身元不明の中国側の人物が沖縄の平和団体の手引きで辺野古を訪問、抗議船船長らと接触か "中国共産党イデオロギーの最高学府"も関与 【プロフィール】安田峰俊(やすだ・みねとし)/1982年、滋賀県生まれ。立命館大学人文科学研究所客員協力研究員。『八九六四 「天安門事件」は再び起きるか』(KADOKAWA)で第5回城山三郎賞、第50回大宅壮一ノンフィクション賞を受賞。『戦狼中国の対日工作』(文春新書)など著書多数。近著に『民族がわかれば中国がわかる』(中公新書ラクレ)がある。 ※週刊ポスト2026年8月7日号
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