<2026年熊本地震>「優しいねえちゃん」「つらかったね」 宇城市、氷川町、八代市 家屋倒壊で救助活動
最大震度7の揺れに見舞われた宇城市や氷川町など熊本県南では家屋倒壊が相次ぎ、地震発生から一夜明けた29日、警察や自衛隊が行方不明者の救助活動に当たった。最高気温35度を超す猛暑の中、がれきに行く手を阻まれて活動は難航。親族や住民らは汗を拭いながら不安げに見守った。 氷川町鹿島地区では古い家屋が多数倒壊。父、妹と3人で暮らす60代女性も、つぶれた自宅に取り残された。義弟(60)は「とても優しい『ねえちゃん』だった。早くここから出してあげたい。それだけです」と声を震わせた。 近くの前村正良さん(71)は女性について「夕方になると、妹さんと一緒にこの辺りを散歩していた。顔を合わせるとあいさつをしてくれる気さくな人だった」と話した。 宇城市松橋町浅川では男性(72)が倒壊した家屋の下敷きになり、親族によると、死亡が確認された。同居の弟(67)によると、男性は1階のベッドにいたところ、頭部に梁[はり]が落ちたとみられる。弟は「即死状態だったのではないか。痛みを感じながら亡くなるよりは良かったと思うしかない」と話した。
男性の幼なじみ、浅川区長の右田明さん(70)は消防団活動を共にしたことも。病気で男性の脚が不自由になってから会う機会は減っていたが、地震発生後に現場に駆けつけ、救助されるまで見守った。「優しく、後輩思いだった」と惜しんだ。 八代市上片町では29日午前11時ごろ、応援で入った岡山県警の警察官約10人が倒壊家屋の屋根に上り、1人暮らしの80代女性をブルーシートで覆って運び出した。親交のある近くの女性(85)は「気になって様子を見に行った時には家がつぶれていた」。女性を乗せた熊本県警の車両を見送り「見つかって良かったね。つらかったね」と小さな声で呼びかけた。 八代市田中北町では90代男性の救助活動が続いた。ともに家屋の下敷きになった娘や息子に大きなけがはなく、家族が現場を見つめる中で作業が進んだ。家屋がさらに崩れる恐れがあるため難航しているとみられ、自衛隊員や警察官が代わる代わる現場を訪れ、救助方法を検討。現場の活動は夕刻も続いた。(上野史央里、志垣杏佳、丁将広、古東竜之介、久保田尚之)