オフィスの室温「28℃設定」は非効率…光熱費と人件費の「ベストバランスの温度」がわかった【実験で証明】
あなたの職場の室温は何℃だろうか。かつて省エネの観点から夏のオフィスの冷房設定温度について議論になったが、推奨されたオフィスの28℃設定は、仕事の能率という観点では根拠がない。それどころか仕事の能率が落ちるという。それでは一体、何度がいいのだろうか。(ジャーナリスト 笹井恵里子) 【実験で証明】「仕事の能率が高い」「光熱費も安い」ベストバランスの室温とは? ● 仕事の能率が高く、光熱費も安い ベストバランスの「室温」とは? 「オフィスの28℃設定は、“我慢の省エネです”」 と、慶應義塾大学名誉教授の伊香賀俊治氏が断言する。 「職場では暑くもなく寒くもなく、快適に感じ、仕事の能率も上がる室温でなければなりません。我々の研究や海外での実験を通して、28℃では蒸し暑いため、快適性と仕事の能率ともに落ちることがわかっています」 しかしエアコンの冷房温度を高く設定したほうが電気代(光熱費)の節約にはなる。 「もちろん、冷房の設定温度が高いほうが電力の消費量は少なく、電気代は安くなりますが、仕事の能率に悪影響があれば人件費の無駄ともいえるでしょう。そこで私たちは、光熱費と人件費のベストバランスを算出しました」 一体、職場の冷房は何℃に設定するのがいいのだろうか。
下記のグラフを見てほしい。伊香賀氏らが実際のオフィスで実験を行ったところ、「作業効率と空調用電力消費量」のちょうどいいバランスは25.7℃であることがわかった。 夏のオフィスの温熱環境と知的生産性 ● 25.7℃を28℃に上げると 人件費は月3000万円の損失に 「ですからオフィスの冷房は26℃に設定するといいでしょう」と伊香賀氏が言う。 これに付随してユニークな試算がある。室温を最も作業効率のいい25.7℃から「28℃」に上げると、空調用エネルギー費(光熱費)は1万㎡のオフィスであれば月額34万円の節約になるものの、作業効率の低下によって社員の人件費は月額3000万円の損失になるという。 実際に兵庫県姫路市役所では2019年7月16日から8月30日にかけて、環境省が呼びかける28℃よりも低い25℃に設定する実証実験を行っている。その結果、光熱費は約7万円増加した。対して残業時間が前年に比べて1人当たり月平均2.9時間減少し、全体で約4000万円の人件費削減につながったという。 伊香賀氏が行った実験結果とそれほどズレていない結果が現場でも証明されているのだ。 しかも姫路市役所では実証実験を行った際、「業務効率が向上した」と感じた職員が85%に上ったと発表されている。勤務後の疲労感についても「かなり軽減された」「少し軽減された」は合計83%、就業意欲の高まりを実感した人も83%いた。 「経済価値で言うと2桁違うのです。経営者は26℃から28℃に上げると100倍損をするということです」