【長編小説】神々のカサブランカ
有天丸は、神々の一派、いや、一員であった。荒天丸は、神々と喧噪を繰り返し、神々の一派から除外された。この荒天丸との争いに、重要三神である零天神と冷天神と極天神が、巻き込まれたのであったが、二日に渡る戦乱の末、荒天丸は酷く負傷た。しかし、そのすぐ後に荒天丸は姿をくらませた。傍から見ていた有天丸にとって、荒天丸の姿が見えないということは、オアシス街の市民を危惧するに至る出来事であった。すぐさま天神や副天神により、市民に向けて敵神警報が勧告された。その頃、天庭(てんてい)では、神々のカサブランカが一枚、また一枚と身を削ぐように地面へ舞っていった。梵天は、このことに遺憾を覚えた。カサブランカという花は、凛として、花弁を落とすことは滅多にない。この花が一枚ずつ落ちていく現象は、荒天神の祟りではないか、と案じたのである。その点について、天様も懸念していた。天様の庭が天庭であり、天様が一位、天神が三位、副天神が四位であった。二位は天帝であったが、天帝は、理路整然とした言動をする、知的で強者と呼ばれる存在であった。
梵天は五位であったが、鋭い勘と巧みな弁舌で有名であった。梵天は、荒医神による荒天丸に対する賄賂があったということに勘がはたらいた。荒医神というのは、医学に詳しいものの、悪者で有名であった。荒医神は、荒天丸の怪我の快復を取り留めたはずである。梵天の推理は的中していると、天神と副天神は案じた。荒医神は、「神々への反逆」を企み、荒天丸を遣わせたのである。荒天丸が姿をくらませたあと、神々界では、外界管轄ともいうかもしれないが、下界管轄をする管轄庁という場所があり、荒医神と荒天丸は居場所を追われた。荒天丸は、下下界に忍び込んでいる、と梵天は直観で分かった。天神と副天神は、下下界に神々の下僕たちを遣わせた。荒医神は、すでに悪魔に身を売ったようであった。梵天は、荒医神は、悪魔界の上位の悪魔に身を捧げ、合成を企んだが、悪魔に断られ、それではと神々を滅ぼすべく、その身を終わらせるが一念を込めた。梵天は、この一念は、『神々はすべて滅びる』という悪意であったことに気付いた。
荒天丸は、荒医神が悪意を込めて終焉したことに咢いたが、彼も誰かにそそのかされて神々に反抗するに至ったに違いない、と思った。荒医神は、君という悪魔は神々を滅ぼせる、という一念も何度か込めていたことを梵天は見落とさなかった。


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