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風力発電事業めぐる詐欺事件 “外資系企業が興味”と伝えたか

事件・事故

北海道の風力発電所の事業権を譲渡するとうその説明を行い、都内の会社から現金あわせて2億円をだまし取ったとして3人が逮捕された事件で、容疑者らが会社の担当者に対し「外資系企業が事業に興味を示し、契約直前だ」などと伝えていた疑いがあることが分かりました。警視庁は会社側に支払いを決断させるねらいがあったとみて調べています。

発電事業などを行う会社の元代表で川崎市の杉浦瑞泉容疑者(60)ら3人は2022年5月、北海道で建設が計画されていた風力発電所をめぐり、東京 港区にある2つの会社に対し事業権を譲渡するとうその説明を行い、現金あわせて2億円をだまし取ったとして詐欺の疑いで逮捕されました。

風力発電所の計画は北海道石狩市と当別町の2か所で進められていて、容疑者らは過去に事業権を保有していましたが、事件当時はすでに別の会社に譲渡していたということです。

容疑者らは被害に遭った会社の担当者を北海道の建設予定地に案内するなどしていたということですが、この中で担当者に対し、「外資系企業が事業に興味を示していて、契約を結ぶ直前だ」などと伝えていた疑いがあることが捜査関係者などへの取材で分かりました。

また、「旧知の仲なので、契約を優先させることができる」とも伝えていたとみられるということです。

警視庁は会社側に現金の支払いを決断させるねらいがあったとみて調べるとともに、杉浦容疑者がだまし取った金の大半を受け取り、遊興費などに充てていたとみて捜査しています。

3人の認否については明らかにしていません。

事件の経緯

警視庁によりますと、逮捕された3人のうち、杉浦容疑者はかつて発電事業などを行う会社の代表を務めていて、北海道で建設が計画されていた2か所の風力発電所の事業権を保有していました。

この事業権について、容疑者は事件のおよそ2年半前の2019年12月、今回被害に遭った会社とは別の都内にある会社に譲渡したということです。

一方、容疑者が関係する農業関連会社がこの会社から業務委託を受ける形で、その後も風力発電所の計画に関わっていたといいます。

こうした中、容疑者らは2022年4月ごろ、今回被害に遭った東京 港区の2つの会社に対し、すでに手放していた事業権の譲渡を持ちかけたとみられています。

この中では、3人のうち渡邊容疑者が事業に関する説明を行い、仲島容疑者が会社の担当者を風力発電所の建設予定地に案内するなどしていたとみられるということです。

そして2022年5月、容疑者らは事業権を52億円余りで譲渡するとうその説明を行ったうえで手付金の支払いを要求し、2つの会社からあわせて2億円をだまし取った疑いが持たれています。

その後、発電事業の関係者の情報で被害に遭ったことに気付いた2つの会社が警視庁に相談するとともに、去年8月、容疑者らに対し2億円余りの損害賠償を求める訴えを東京地方裁判所に起こしていました。

北海道の風力発電計画とは

風力発電所の建設計画は、北海道の石狩地方の2か所で進められていました。

北海道庁のホームページによりますと、このうち当別町では690ヘクタール余りの土地に高さおよそ160メートルの風車を最大で12基、石狩市では490ヘクタールの土地に同じ高さの風車を最大で8基、設置する計画でした。

2019年に設立された2つの合同会社がそれぞれの事業者となっていて、警視庁によりますと、いずれの会社も当初、杉浦容疑者が実質的な決定権を持っていたということです。

しかし、この2か所の計画をめぐって住民からは、風車の騒音や、羽根が日光を遮ることなどによる生活や健康への影響のほか、景観や周辺に生息する鳥類などへの影響を懸念する声が自治体に相次いで寄せられました。

こうした中、当別町の議会は2021年、「景観上の問題や自然環境への影響などが懸念され、住民の多くが反対を訴えている」などとして白紙撤回を求める意見書を採択しました。

そして去年11月、合同会社は町での事業を廃止するという内容の書面を町に提出。

町によりますと、廃止の理由として、建設費の高騰などにより採算が合わなくなったことや、想定よりも風量の変動が大きく、発電量が少なくなる可能性があることなどが挙げられていたということです。

また、石狩市によりますと、もう1か所の計画についてはこの5年ほどの間、必要な書類の提出などがなく、事業者側からの連絡もないため、詳しい状況は分かっていないということです。

被害に遭った会社は

今回、被害に遭った東京 港区の再生可能エネルギー関連会社と、不動産会社がNHKの取材に応じました。

このうち、再生可能エネルギー関連会社の社長は2018年ごろ、逮捕された3人のうち、杉浦容疑者ら2人と知り合ったといいます。

その際、容疑者らは茨城県にある太陽光発電施設の事業権の譲渡を持ちかけてきたということです。

この時は社長は別の会社を紹介しましたが、それからおよそ4年後の2022年4月ごろ、今回の風力発電所の件を持ちかけられました。

社長によりますと、今回の計画については事業者が事前に環境への影響を調査する「環境アセスメント」が進んでいて、途中経過に関する資料もあったことなどから実現する可能性は高いと考え、話を信じてしまったといいます。

社長は「北海道の建設予定地の視察も行い、図面などを見せてもらいながら風車を12基設置するといった詳しい説明を受けた。また、『イタリア系の企業など複数の会社が事業に興味を示しているが、契約書の関係で時間がかかっている。スピーディーに進められるなら御社とやっていきたい』などと伝えられた」と振り返りました。

こうした中、事業権の譲渡を受けることにした社長は、容疑者らから手付金を求められたため、現金1億円を支払ったということです。

社長は「再生可能エネルギー事業は、大きなプロジェクトになると誰が事業権を保有しているのか、実態の把握が難しい。同じようなことが起きないよう、容疑者らにはしっかりと罪を償ってもらいたい」と話していました。

また、同じ被害に遭った不動産会社は2022年5月ごろ、すでに交渉を進めていた再生可能エネルギー関連会社の紹介で容疑者らと知り合ったといいます。

この会社も現金1億円を支払いましたが、その後の容疑者らの対応が遅かったり、必要な書類などを求めても出せないと言われたりすることが続き、次第に疑問を感じるようになったということです。

最終的に発電事業の関係者の情報で事業権が別の会社に譲渡されていたことに気付いたということで、不動産会社の役員は「すでに現地を視察したとも聞いていたので、事業やその背景に問題はないと考え、信じてしまった」と話していました。

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