東京
番組名やニュース、出演者などを検索
緊急時のため、命を守る情報をみなさまに広くお伝えしています。

「重度障害の息子が生きる意味」父親の葛藤 見つけた答えは

相模原 障害者施設殺傷事件

相模原市の知的障害者施設「津久井やまゆり園」で、入所者19人が元職員によって殺害された事件から、7月26日で10年となります。

この事件の裁判で私たちは、重度の障害がある息子と傍聴している男性と出会い、その後も、「この社会で息子が生きる意味」を探し、問い続ける姿を見つめてきました。

息子と歩んできた月日の中で、見えてきたひとつの答えは―。

(横浜放送局 記者 桑原阿希)

重度障害の息子の生きる意味

横浜市に住む土屋義生さんと息子の荘真さん。

荘真さんは、生まれてまもなくかかった髄膜炎の影響で、重度の障害があります。

24時間、人工呼吸器を必要とする荘真さんに、父親の土屋さんは、つきっきりでケアを続けてきました。

そんな中で起きたのが、相模原市の施設で障害者19人の命が失われた事件。

荘真さんが2歳のときでした。

被告の主張に葛藤も

事件の背景に何があったのか。

土屋さんは、荘真さんとともに裁判を傍聴することにしました。

そこで繰り返されたのは、「意思疎通ができない障害者は生きる意味がない」という元職員の主張。

自分では体を動かすことも、ことばを発することもできない息子を前に、元職員のことばを否定しきれない、心の葛藤があったと言います。

土屋義生さん
「『生きる意味』って、すごく難しいなって思っていて、ある意味、自分を含めて『意味がある』ってなかなか言えないんじゃないかなとずっと思っていたんです。ただ、何か意味を作っていくとか、意味を見つけていくとか、そういうことは大事なことだし、できることかなと思っています」

同世代との交流 見いだした希望

裁判を傍聴したあと、親子で始め、大切に続けてきたことがあります。

それは、ふだん通っている特別支援学校ではない、地元の小学校におもむき、同年代の子どもたちと同じ時間を過ごすこと。

重ねてきた月日の中で、子どもたちはお互いをあたりまえの存在として受け止めています。

土屋義生さん
「ちょこちょこっと男の子が寄って来てくれて、荘真の顔か毛布をなでたんです。『来てくれてありがとうね』と話したら、『うん友達だから』と言ってくれた。希望というか確信というか、そういうものを感じられました」

新しい環境 障害者へのまなざしは

荘真さんは、ことし小学校を卒業し、新たな一歩を踏み出しました。

この日、初めて訪れたのは地元の中学校。

新しい環境で荘真さんにどんな視線が注がれ、ことばがかけられるのか、不安を抱えつつ教室に入りました。

生徒のアナウンス
「土屋荘真さんの入場です」

そのような声がけとともに、土屋さんと荘真さんを待っていたのは、生徒たちの温かい拍手でした。

そして、土屋さんは、荘真さんのことを知ってほしいと、子どもたちに語りかけます。

土屋義生さん
「(荘真は)みんなが周りで話していること、みんながいることは、よくわかっています。見てもらえればわかるかなと思うけど、目をぱちくりしたり、目がしっかり開いたりして、みんなのことわかっているし、みんなの話すことをちゃんと聞いていました。いろいろわからないこととか、知らないこと聞きたいこと、いっぱいあると思うので、そのときは遠慮なく言ってください。今後ともよろしくお願いします」

障害者に向けられるまなざしや取り巻く環境は、そう簡単には変わらないかもしれません。

ただ、土屋さんは、荘真さんとともに「生きる意味」を見つけていくことはできると信じています。

土屋義生さん
「自分1人で頑張って生きることだけが生きることではなくて、いろんな人と支え合いながら、いろんな人の弱さやつらさを一緒に支え合いながら、生きていく方法もあることを少しでも感じてもらえたらいいなと思います。

“障害者は家族を不幸せにする”そういうところへ、胸張って反論できる。

『そこにいていい』

『そこにいるだけでいい』

本当に心の底から思えます」

緊急時につき受信契約の必要なくご利用いただけます。通常時でもサービスをご利用になりたい方は下記を確認してください。