相模原市の知的障害者施設で19人が殺害された事件から10年となるのを前に25日、市内で追悼式が行われました。
26日で事件から10年
2016年7月26日、相模原市にある県立の知的障害者施設「津久井やまゆり園」で入所者19人が殺害され、26人が重軽傷を負った事件から26日で10年です。これを前に25日、市内のホールで追悼式が行われ、遺族や関係者およそ180人が参列しました。
はじめに神奈川県の黒岩知事が「あの時、現場で感じた胸が締めつけられるような息苦しさを今も忘れることができません。しかし事件そのものを知らない世代も増えてきました。10年の節目にあたり、この思いをしっかりつないでいかなければなりません」と述べました。
施設の園長が追悼のことば
そして、全員で黙とうし19人を悼みました。
続いて、施設の永井清光園長が入所者代表の島田昌尚さんとともに壇上に上がり「大切な命が理不尽な考えで突然絶たれ、つらく悲しい時を過ごしました。この深い悲しみは10年という長い歳月が流れた今でも癒えることはありません。どうか天国で安らかにお過ごしください。たくさんの思い出をありがとう」と追悼のことばを述べました。
このあと参列者たちは、献花台に花を手向けて手を合わせていました。26日は現場となった津久井やまゆり園で一般の献花も受け付けます。
◇施設側が取材に応じる
追悼式のあと、施設を運営する「かながわ共同会」の山下康理事長と「津久井やまゆり園」の永井清光園長が報道陣の取材に応じました。
かながわ共同会 山下理事長「どんな人も命は同じ重さ」
山下理事長は「10年を契機に事件で何が問われていたのかを共有しながら、植松死刑囚が言うところの優生思想や差別としっかり向き合う風土をつくっていきたい。障害があるなしにかかわらず、どんな人も命は同じ重さだ。それにしっかり向き合っていこうときょう改めて誓った」と述べました。
津久井やまゆり園 永井園長「共生社会の実現は道半ば」
永井園長は「共生社会の実現に関しては、この10年で進んだかと言えば道半ばと考えている。事件をきっかけに関心は一時的に高まったが、10年の歳月が流れる中で関心の薄まりも感じる。社会全体が厳しい状況になっていることを踏まえて、障害福祉を考える余裕が社会の中に根づいていないのかと感じる。事件について、施設で管理的な立場にあった者として安全安心を守れなかったことは深く反省すべきだと考えている。事件を決して忘れることなく、亡くなった19人とご遺族に向き合っていかなければならない」などと述べました。
◇神奈川県・相模原市が記者会見
追悼式のあと、神奈川県の黒岩知事と相模原市の本村市長は記者会見を行いました。
黒岩知事「ともに生きる社会を目指す」
黒岩知事は「どうしてこんなことが起きてしまったのかという問いを、この10年間続けてきた。植松死刑囚というとんでもない人物が突然出てきて起こした犯罪なのか、どこかに共感するようなものが皆の心の奥深いところにあって、たまたま表面化したのか。県は施設での虐待の根絶を目指して取り組んできたが、10年がたって時代は変わったかと言われたら変わったという自信は全くない。そして、皆さんの意識が変わって『ともに生きる』という気持ちが前に進んでいるのかと問われたら簡単ではなく、道半ばの半ばもいっていないと思わざるをえない」などと10年を振り返りました。
そして「闘いを諦めるわけにはいかない。どんなに少しの一歩でも半歩でも『ともに生きる社会』を目指す。理念をしっかり浸透させるために闘い続けるしかないと思っている」と述べました。
相模原 本村市長「共生社会の実現へ市政を力強く進める」
相模原市の本村市長は「決して許してはならない事件で、二度とあってはならないし風化させてはいけない。市は県とともに共生社会の実現に向けて、誰ひとり取り残されることのない市政をこれからも力強く進めていく」と述べました。