投げられなくても「やってやる」 秀明英光・鎌田主将が初めて打席に
(22日、第108回全国高校野球選手権埼玉大会準々決勝 浦和学院10―0秀明英光)
「打ったれ!」
二回表。味方の声援を背に、秀明英光の4番指名打者、鎌田閃紙(3年)が打席に立った。ファウルで粘ったが空振り三振。それでも、4球のうち3球を迷いなく振り抜いた。
思うようにボールを投げられなくなる「イップス」の症状を抱える、チームの主将。守備につくことが難しくなり、昨冬に秋山剛一監督に指名打者になれないか打診した。今年の春先からはキャッチボールをやめ、打撃だけに専念した。
守備はできなくても、「よく(チームを)まとめてくれた」と秋山監督。それでも試合に出られない日々が続いた。埼玉大会でも、5回戦まで出番は訪れなかった。
転機は前日の練習だった。秋山監督に「一打席にかけてこい」と声をかけられた。相手は春の県大会を制した浦和学院だ。「やってやる」。待ち望んだ舞台だった。
四回表の第2打席も空振り三振に終わり、チームは完敗。しかし最後までバットを振り切った主将は試合後、「向こうが格上でした。悔いはない」とすがすがしい笑顔を見せた。(東優衣)