むか~し昔、動くモンスターが生まれた日のこと【第5回】
前回、信頼するスタッフに「自由に任せる」という方針から生まれた、愛すべきキャラクターたちの話をしました。
今回は、言霊システムと並ぶ『ルドラの秘宝』の最大の推しポイントであり、スーパーファミコンの限界に挑んだと自負している、あの「バトル中にガンガン動くモンスター」の誕生秘話をお話ししようと思います。
企画コンペを勝ち抜くための「3本柱」
実は『ルドラの秘宝』を企画コンペに出すにあたって、「言霊システムだけでは物足りないかもしれない」と不安を感じていました。
そこで、コンペを確実に勝ち抜くために、同時にぶつけたアイデアが2つあります。 ひとつは、前回は愛すべきおもしろキャラクターのお話に終始しましたが「同じ時間軸を複数の主人公が並行して進むマルチシナリオ」。そしてもうひとつが、この「モンスターをアニメーションさせる」というアイデアでした。
この「敵も味方も画面狭しと動き回るバトル」というアイデアのルーツは、実は私が幼い頃夢中になって集めていたあるおもちゃの記憶にあります。
ルーツは駄菓子屋の「妖怪のおもちゃ」だった
子供の頃、近所の駄菓子屋で、紙でできた妖怪のおもちゃを買ったことがありました。確かモチーフは、水木しげる先生の描く妖怪たちだったと思います。
それは、頭、胴体、腕、足といった関節パーツごと切り取り線があり、ジョイント箇所にはめ込むことにより、手足を少しだけ動かせる素朴な紙人形でした。
それから高校卒業後、趣味でパソコン(X1など)をいじるようになったとき、私は「スプライト」という機能の存在を知ります。画面上でキャラクターやオブジェクトを背景と独立させて、なめらかに動かすためのグラフィック技術です。
その仕組みを理解した瞬間、私の頭の中で、あの駄菓子屋の記憶がパチーンと繋がったのです。
「これ、あの駄菓子屋の妖怪おもちゃと全く同じやん!」
モンスターの体を関節パーツごとにバラバラのスプライトとして扱い、プログラムで別々に制御して動かせば、スーパーファミコンの限られた容量でも、生きているかのようにヌルヌル・ガンガン・アニメーションさせられるんじゃないか?!
これが、ルドラのあのド迫力バトルのアイデアが生まれた瞬間でした。
バトル担当者たちが実現してくれた、スーファミの限界
もちろん、私は「おもちゃみたいに各パーツを動かしてアニメーションさせておくれよ〜」とアイデアを丸投げしただけで(笑)、それを実際に形にしてくれたのは現場のメンバーたちです。
バトルプログラムを組んでくれたKonちゃん、それをゲームの仕様に落とし込んでくれたバトル企画兼言霊担当のKa君、そしてパーツ分けのドット絵を描きこんでくれたモンスターグラフィック担当のKo君をはじめとする、バトルに関わった全メンバー。
彼らのこだわりと技術がなければ、あのグラフィックは絶対に実現しませんでした。本当に感謝感謝です!
時代が早すぎた? 静止画の壁w
ただ、ここだから言える大いなる誤算(弱点)もありました。
当時のゲームの宣伝といえば、売れるのが約束されている超大作ならテレビCMもありましたが、普通のゲームはゲーム雑誌(ファミ通など)への広告や、数ページの特集取材記事が最大の宣伝チャンスでした。当然、ルドラは後者です。ww
お気づきでしょうか。雑誌の誌面(静止画)だと、モンスターがどれだけ滑らかに動いているかが、全く伝わらないのです……!
「これ、スーファミではかなり攻めた推しポイントなんだけどなぁ~」と、歯がゆい思いをしたのを覚えています。
もし、あの時代にYouTubeやニコニコ動画のような「ゲーム実況動画」の文化がすでにあったなら、あの躍動するバトル画面を見たゲーマーたちがもっと騒いでくれて、もうちょっと売れていたかもしれないな……と、今でも少しだけ思ったりします。
(※ちなみに、この「実況動画」とは、何年もの時を経て本当に驚くべき形で再会することになるのですが……それはまた少し先のお話。)
さて次回は、この企画コンペの3本柱+αとも言えるもう一つの売り! 後にプレイヤー間で最も高い評価を受けることになるルドラの「音楽」の話をしようと思います。
単に「曲が良い」というだけではありません! 実は私から、ある特別な「音楽の使い方」を企画として提案させてもらっていたのです。
気が向いたら、また読みに来てください。



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