【短編小説】仲良し兄妹は実は双子
風雅は妹の園子と似ているが、双子だと気付いたのは、ほんの些細なことがきっかけだった。園子がスイカが食べたい、と親に頼んでいるとき、自分も同じ気持ちであった。一心同体という構造が双子を支配していた。──生まれつき似たような容姿、共鳴と共感をそうであると自覚せずに繰り返していたということ。すべてがつながる瞬間というのは、特異な経験が必要だ、と風雅は佇みながら学んだ。ああ、神様は双子というありがたい関係の蝶番をひとねじして築いたのだ、と思った。僕たちは「お互いに双子同士である」という告白を、いずれはしなくてはならないという責務にかられた風雅は、「園子……」と話しかけた。園子は「なぁにお兄ちゃん」と微笑んだ。園子の性格からして、顔が似ていることが嫌だということもないし、誕生日が二日しか離れていないことにも異議はなかった。誕生日が近いと、僕の誕生日の次の日という中間日にお互いに祝福されることもあった。風雅は勇気を持って、「僕と園子は双子同士なんだ」と告げた。園子は、眼を丸くして「双子かぁ、まぁいいんじゃない」と明るく言った。「双子の方が、もっと親近感が湧く」と言ってくれた。風雅は、「ありがとう、園子」と感謝を告げた。園子と双子であることが微笑ましくなってきた。兄妹という関係から、思いは双子という関係にシフトしてきた。
あれから二年が経って、園子はトラブルに巻き込まれたようだった。誘拐犯が園子を拐ったのである。僕は園子と共鳴するときがしばしばあって、「助けてお兄ちゃん」と思っていた。助けてお兄ちゃん、その言葉で察したこの事件について、僕は思案を巡らせた。どうすれば園子は帰してもらえるのか、誘拐犯は何者か、ということに関する情報が欲しかった。風雅は、誘拐犯を洗脳することに決めた。そうしたところ、案の定、誘拐犯は園子を道端に置いた。てきとうに人を拐って、てきとうに帰す、という一連の動作がそこにはあった。園子のもとに猛ダッシュで駆けていくと、園子は安心した様子で「助けてくれた」と笑顔を見せた。園子と双子でなかったら、共鳴することはなかっただろう。僕という双子の兄がいたおかげで、救われることにつながっていることもあるはずだ。園子、もう誘拐犯に拐われないように祈っておくよ、と言って宥めた。大丈夫、僕がついているから、と励ました。園子は、「大丈夫」と言いたげだった。僕は、二度と園子を危険な目に遭わせないように願った。
園子の笑顔が見れて嬉しい日々が過ごせるようになった。


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