対象期間: 2026年4月1日 〜 6月30日(91日間)
対象: 4キャンペーン(ブランド検索 / リタゲ_既存顧客 / ディスプレイ_新規 / 動画_認知)
データソース: ads.csv(日付・キャンペーン・費用・CV の4カラム)
作成日: 2026年7月24日
期間全体でCVは895件 → 1,137件(+27%)に増加した一方、費用も915,550円 → 1,149,230円(+26%)に増えており、口座全体のCPAは1,023円 → 1,011円とほぼ横ばいである。伸びているように見えて、効率は改善していない。
内訳は二極化している。リタゲ_既存顧客がCPA −42%と大幅に改善し、ブランド検索も −17%と改善。一方でディスプレイ_新規がCPA +87%と悪化し、この1キャンペーンが改善分をほぼ食い潰している。さらにディスプレイは費用シェアを35%→44%に拡大しており、効率が落ちている枠に予算が集中する形になっている点が本レポートの最大の論点である。
集計にあたり以下の処理を行った。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 元データ | 365行 |
| 重複削除 | 1行(2026-04-26 / ブランド検索 が完全重複。末尾に追記された形跡) |
| 欠損除外 | 5行(費用のNaN 3件、CVのNaN 2件) |
| 集計対象 | 359行 |
| 日付の欠落 | なし(91日すべて存在) |
CV=0の日をCPA計算から除外する場合、その日の費用も同時に除外しないと分母だけが小さくなり数字が歪む。本レポートでは以下2基準を併記する。
この2基準で全体の結論が変わる。
| 月 | 費用(全行) | CV | CPA(全行) | CPA(CV0除外) | CV=0の日の費用 |
|---|---|---|---|---|---|
| 4月 | 915,550 | 895 | 1,023 | 938 | 76,190 |
| 5月 | 1,071,870 | 1,061 | 1,010 | 921 | 94,530 |
| 6月 | 1,149,230 | 1,137 | 1,011 | 892 | 135,530 |
CV0除外基準では938円→892円と改善して見えるが、これは除外している「CVがゼロだった日の費用」が76,190円→135,530円と1.8倍に膨らんでいるためである。実際に使った金額ベース(全行基準)では横ばい。意思決定には全行基準を用いるべきである。
インプレッション、クリック、CTR、CPC、ROAS、配信面、クリエイティブ、フリークエンシー、新規/リピート区分はいずれもデータに存在しない。したがって本レポートの因果推論には限界があり、後述の仮説は検証されていない。
| キャンペーン | 月 | 費用 | CV | CPA | 日平均費用 | 日平均CV | CV=0の日 |
|---|---|---|---|---|---|---|---|
| ディスプレイ_新規 | 4月 | 323,680 | 307 | 1,054 | 11,161 | 10.6 | 0 |
| 5月 | 421,370 | 281 | 1,500 | 14,046 | 9.4 | 1 | |
| 6月 | 506,410 | 240 | 2,110 | 16,880 | 8.0 | 2 | |
| ブランド検索 | 4月 | 142,450 | 242 | 589 | 4,912 | 8.3 | 0 |
| 5月 | 163,860 | 308 | 532 | 5,286 | 9.9 | 0 | |
| 6月 | 151,780 | 309 | 491 | 5,059 | 10.3 | 0 | |
| リタゲ_既存顧客 | 4月 | 272,030 | 305 | 892 | 9,068 | 10.2 | 0 |
| 5月 | 287,670 | 430 | 669 | 9,589 | 14.3 | 0 | |
| 6月 | 286,770 | 549 | 522 | 9,559 | 18.3 | 0 | |
| 動画_認知 | 4月 | 177,390 | 41 | 4,327 | 6,117 | 1.4 | 13 |
| 5月 | 198,970 | 42 | 4,737 | 6,418 | 1.4 | 13 | |
| 6月 | 204,270 | 39 | 5,238 | 6,809 | 1.3 | 15 |
※CPAは全行基準。4月は日数29〜30日(重複・欠損除外の影響)のため、月合計の比較には日平均を併記した。
| キャンペーン | 4月 | 6月 | 変化 | 判定 |
|---|---|---|---|---|
| ディスプレイ_新規 | 1,054 | 2,110 | +100% | 悪化 |
| 動画_認知 | 4,327 | 5,238 | +21% | 評価対象外(後述) |
| ブランド検索 | 589 | 491 | −17% | 改善 |
| リタゲ_既存顧客 | 892 | 522 | −42% | 改善 |
最も健全な動きをしている。日平均費用は9,068円→9,559円とほぼ横ばいのまま、日平均CVが10.2件→18.3件と1.8倍に増加した。費用を増やさずCVが伸びており、純粋な効率改善である。
にもかかわらず費用シェアは29.7% → 25.0% に低下している。効率が最も改善している枠の予算が相対的に縮小しているのは、配分として合理的でない。
CPA 589円→491円、CV 242→309件。単価が最も安い枠で、費用は横ばい。ただしブランド検索は指名検索の需要量に上限が規定されるため、予算を積んでも伸びる余地は構造的に限られる。現状で健全に回っており、積極的な介入は不要と判断する。
CPA 1,054円 → 2,110円(+100%)。悪化の内容は一貫している。
費用を5割増やしてCVが2割減っている。 増額分がCVを生んでいないだけでなく、CVの絶対数そのものが減少している。
悪化は特定の週に発生した断絶ではなく、13週間かけた連続的な劣化である。
| 週(開始日) | 日平均費用 | CV | CPA |
|---|---|---|---|
| 3/30 | 9,920 | 46 | 863 |
| 4/06 | 10,509 | 74 | 994 |
| 4/13 | 11,404 | 76 | 1,050 |
| 4/20 | 11,867 | 71 | 1,170 |
| 4/27 | 11,874 | 57 | 1,458 |
| 5/04 | 13,004 | 72 | 1,264 |
| 5/11 | 14,163 | 62 | 1,371 |
| 5/18 | 14,491 | 65 | 1,561 |
| 5/25 | 15,477 | 65 | 1,667 |
| 6/01 | 16,096 | 63 | 1,788 |
| 6/08 | 16,151 | 52 | 2,174 |
| 6/15 | 17,283 | 51 | 2,372 |
| 6/22 | 17,804 | 59 | 2,112 |
| 6/29 | 17,535 | 15 | 2,338 |
日次データで費用とCVの相関は −0.36、費用とCPAの相関は +0.84。費用を多く使った日ほどCVが少なく、CPAが高い。費用帯別に区切ると単調な関係が出る。
| 日次費用帯 | 日数 | 平均費用 | 平均CV | CPA |
|---|---|---|---|---|
| 〜10,000円 | 7 | 9,614 | 10.6 | 909 |
| 10,000〜13,000円 | 26 | 11,613 | 10.0 | 1,161 |
| 13,000〜16,000円 | 31 | 14,517 | 9.3 | 1,563 |
| 16,000円〜 | 25 | 17,288 | 8.2 | 2,098 |
さらに、日次CVの最大値は4月13件 → 6月11件と低下している。予算を1.5倍にしてもCVの天井が上がっていない。
仮説A: 予算増による限界効率の逓減(費用側の要因)
到達しやすい層を4月時点で取り切っており、増額分が関連性の低いオーディエンスや配信面に流れている。ディスプレイは予算を上げると入札単価と配信面が自動的に拡張されるため、この形は典型的。費用帯別のCV単調減少と整合する。
仮説B: クリエイティブ疲弊 / オーディエンス飽和(時間側の要因)
同一の新規向け訴求を3カ月継続した結果、フリークエンシーが上昇して反応率が低下している。予算を増やしてもCVの天井が上がらない点はこちらを支持する。
仮説C: 計測側の変化
3カ月にわたる連続的な劣化は、CVタグの欠落やアトリビューション設定の変更でも生成される。他3キャンペーンのCVが同期間に増加しているため口座全体の計測障害は考えにくいが、ディスプレイ固有のタグ・CV定義の変更履歴は確認すべき。
これが本レポートの最重要の留保である。 週次の日平均費用は9,920円から17,804円へほぼ単調に増加しており、費用の水準と経過日数がほぼ完全に相関している。つまり統計的に交絡している。
この2つは観測データ上まったく同じ形に見える。費用帯別テーブルの単調性も、費用の効果ではなく時間の効果を反映している可能性がある。したがって施策の第一手は、この識別を目的に設計すべきである。
CPAは4,327円 → 5,238円と表面上悪化しているが、この枠をCPAで評価することは避けるべきである。
この規模では日次CPAのノイズが大きすぎ、月次差を「悪化」と判定する統計的精度がない。CV=0の日の費用が月76,190円→135,530円へ膨らんでいる主因もこの枠である。
認知目的の枠として、インプレッション、リーチ、フリークエンシー、動画視聴完了率、あるいは指名検索・リタゲ側への間接貢献で評価する設計に切り替える必要がある。現状のデータには、その評価に必要なカラムが1つも存在しない。
予算がCPAトレンドと逆方向に動いている。
| キャンペーン | CPAトレンド | 費用シェア 4月→6月 | 整合性 |
|---|---|---|---|
| ディスプレイ_新規 | 悪化(+100%) | 35.4% → 44.1% | 逆行 |
| リタゲ_既存顧客 | 改善(−42%) | 29.7% → 25.0% | 逆行 |
| ブランド検索 | 改善(−17%) | 15.6% → 13.2% | 逆行 |
| 動画_認知 | 評価不能 | 19.4% → 17.8% | — |
配分を修正すれば全体CPAは改善余地がある。ただし1点の留保がある。
ディスプレイ_新規は新規獲得枠、リタゲは既存顧客枠である。 リタゲのCPA改善の一因が「ディスプレイが連れてきた新規流入によってリタゲの母集団が拡大したこと」にあるなら、ディスプレイを絞るとリタゲの効率も遅れて低下する。本データには新規/リピート区分がないため、この供給関係は判定できない。したがって配分変更は、後述の実験結果を見てから確定すべきである。
| # | 施策 | 目的 | 期待インパクト | 工数 | 優先度 |
|---|---|---|---|---|---|
| 1 | ディスプレイ_新規の予算を4月水準に戻す | 仮説AとBの切り分け | 高 | 低 | 即時 |
| 2 | 分解データの取得(配信面・クリエイティブ・フリークエンシー別) | 原因の局在化 | 高 | 中 | 即時(並行) |
| 3 | 予算をリタゲ_既存顧客へ再配分 | 全体CPA改善 | 高 | 低 | 実験1の結果待ち |
日予算を11,000円前後(現状比 約−35%)に戻す。
費用と時間の交絡を解く唯一の方法であり、他のすべての打ち手の前提になる。この判定を経ずにクリエイティブを作り直すと、原因が予算だった場合に工数が無駄になる。仮に仮説Aが正しければ、この操作だけで月20万円弱の費用削減とCPA半減が同時に得られる。
測定設計: 他キャンペーンの予算は動かさない(変数を1つに保つ)。観察期間は最低2週間(週次のCV変動幅が50〜76件あるため、1週間では判定できない)。同時にリタゲのCVも記録し、打ち手3の判断材料とする。
現状の4カラムでは「ディスプレイ_新規」が1つの塊で、内訳が見えない。取得すべきは以下。
悪化が特定の配信面やクリエイティブに集中しているなら、キャンペーン全体を絞るより除外・差し替えのほうが安く効く。逆にフリークエンシーが全体的に上昇しているなら仮説Bの裏付けとなる。CTRが落ちていればクリエイティブ側、CTRが横ばいでCVRが落ちていればLP・オーディエンス側と、切り分けが一段進む。
ディスプレイで削減した予算をCPA522円で改善中のリタゲに移せば、全体CPAは計算上大きく下がる。ただし前述の供給関係の留保があるため、打ち手1の2週間でリタゲのCVがどう動くかを確認してから確定する。
なお、リタゲの予算を増やしても同じCPAが維持されるとは限らない。リタゲは母集団の上限が明確な枠であり、ディスプレイと同じ限界効率の逓減が起きうる。増額は段階的に行い、CPAの反応を見ながら進めるべきである。
意思決定の精度を上げるため、以下は追加データなしには判断できない。
import pandas as pd
df = pd.read_csv('ads.csv').drop_duplicates(['日付', 'キャンペーン'])
df['月'] = pd.to_datetime(df['日付']).dt.strftime('%Y-%m')
valid = df.dropna(subset=['費用', 'CV'])
# 全行基準
a = valid.groupby(['キャンペーン', '月']).agg(
費用=('費用', 'sum'), CV=('CV', 'sum'), 日数=('日付', 'count'))
a['CPA'] = a['費用'] / a['CV']
# CV0除外基準(費用も同時に除外)
b = valid[valid['CV'] > 0].groupby(['キャンペーン', '月']).agg(
費用=('費用', 'sum'), CV=('CV', 'sum'))
b['CPA'] = b['費用'] / b['CV']