フランス留学日記:OFII(移民局)のフランス語講座見学
フランス語教授法M1の2学期の授業では「リテラシーと基礎能力(Littératie et compétences de base)」という授業の一環で、OFII(移民局)のフランス語講座を見学させてもらう機会がありました。
この授業は主に読み書きができないフランス語学習者向けのAlphabétisationのクラスに関する内容でした。
OFIIとは
通称OFII(l’Office Français de l’Immigration et de l’Intégration)と呼ばれるフランス移民局。フランスに滞在する移民や難民の管理・サポートをする機関です。
フランスで長期滞在証を発行する際、非EU国籍の外国人は必ずCIR(Contrat d'intégration républicaine=共和国統合契約)と呼ばれる契約書にサインする必要があります。
これはフランス政府に対して、フランス社会にちゃんと統合するために努力します~必要な研修受けますよ~!と宣言する契約書となります。
このCIRに基づき、OFIIでは移民向けの市民講座と語学講座を無料で開講しているんですね。
求められるフランス語のレベルは、複数年滞在許可証を取得するには、A2レベル、国籍取得にはB1/B2レベルが現状課されています。
みんなペラペラなフランス語講座
今回私が見学させてもらったのは、12名のA2クラスでした。
生徒さんはぱっと見た感じ全員アフリカ系で、20~50代くらいまでの幅広い年代です。
担当の先生は20代後半くらいの若い先生だったのですが、授業開始ギリギリの時間に到着だったので(こっちがちょっとヒヤヒヤ。笑)、前情報はほぼないまま授業がスタートしました。
その日の授業テーマは、Centre de PMI(母子の医療センター)の実際のチラシを見て、住所や電話番号、開館時間などの情報を読み解き、アポイントのメールを書く、というものでした。
めちゃくちゃ生活に根差したテーマですよね!
内容自体はそこまで複雑ではないのですが、驚いたのはみんな本当にA2?と思う程、ペラペラとフランス語を話していたこと。
これは後で判明したのですが、ほぼ全員がマリ、モロッコ、コートジボワールなどフランス語圏アフリカの国出身の方だったんです。そりゃペラペラなわけだ…。
そして皆さん公用語のフランス語とは別に、地域で話されている言語があるので、当たり前のようにバイリンガル、トリリンガルです。日本人からすると多言語話者すごい!って思いますが、母語で教育が受けられない難しさ、というのも同時に考えさせられました。
母国ではほぼ学校に行ったことがないため、皆さんフランスに来てから読み書きを学んだそうです。ここで読み書きを勉強することができて、本当に嬉しい!と言っていました。
予想外な間違い
授業では、まずみんなでチラシを見ながら、どこに「都市名」「住所」「電話番号」「開館時間」など情報が書いてあるか、1人ずつ前に出て指で示します。
ここで1つ問題が発生!
先生が用意したスライドには表にチラシと、そのすぐ下に問題が書いてあったのですが、問題内にla ville, l'adresse, le numéro de téléphoneなどのキーワードが記されていたんですね。
で、最初に先生が「la ville(都市)はどこに書いてありますか?」と質問すると、1人の生徒が前に出て、なんと問題パートに書いてある"la ville"という文字を指さしたのです。
いや、合ってる!大正解!
でもそうじゃなくて~~~~!
と、先生もタジタジ。
こういった「問題」の解き方や意図の理解って、実はこれまでの学校での経験が前提にあるんだなぁ、というのを改めて感じました。
「都市名」は基本ロゴの近くに書いてあるよ、という先生からのヒントも興味深かったです。
「リテラシー」というのは、言語能力もそうなんだけれど、文章の中の言語以外の部分も全部ひっくるめて活用しながら理解していく、ということなんですね。
また、ここの授業はフランス語講座なので、語学がメインではありますが、学校教育で身に着ける「授業の受け方」、例えば携帯の電源は切る、板書をとる、プリントをファイルに入れる、プリントを切ってノートに貼る、なども同時に教えているのも印象的でした。
以前、別の機会に面談を担当する先生にお話しを伺うことがあったのですが、面談前に申し込み用紙を目の前で書いてもらうことで、どのような反応があるか(書くことに抵抗がありそうか)、字体、使っている語彙、などを観察しながら、その人がこれからフランス社会で暮らしていくのに何が必要そうか、というのを判断して、クラス分けや授業構成を作成するそうです。
OFIIのフランス語講座、実際のところ
OFIIのフランス講座は正直地域や先生、クラスメートによって当たりはずれが大きいと聞きます。
私が見学に行ったところは、教室内や廊下に先生や生徒たちが作成した展示物や写真などが飾ってあり、カラフルですごく明るい雰囲気でした。
あるベテラン先生は、ザ・肝っ玉母ちゃんのようなダイナミックでパワフルな方で、「生徒みんな真面目で可愛くて大好き!私はこの仕事を誇りに思うよ」と愛情を持って生徒に接している様子が感じられました。
見学したクラスの担当の先生は、実は我々と同じ大学のマスター出身だそうで、「外国でフランス語を教えるというのも憧れたけれど、OFIIは給料は高くないものの、私立の語学学校に比べたら、コマ数や出勤日が安定しているのがいいんだよね~」とタバコの煙をふかしながら言っていました。なんとも現実的なコメント(笑)
OFIIのフランス語講座は、大学や私立の語学学校とは違い、色んなバックグランドを持った移民が集まるので、日本人からすると、教育文化の違いやモチベーションの違いで戸惑うことは少なからずあるかもしれません。でもフランスから世界情勢の一端を垣間見ることができるのは、非常に興味深い経験になるような気がします。
正直なところ最初は移民向けフランス語教授法は他の授業に比べて、興味関心が薄かったのですが、フランスの移民社会の現状や政策、ひいては日本の移民政策についても思いを馳せる機会になりましたし、将来的にこういった教育現場にも関わってみたいかも、と思えたのは新しい変化でした。
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コメント
2更新楽しみにしてました!ありがとうございます😊
とても興味深く読ませていただきました。私立の語学学校(ピンキリですが)とはまた違ったアプローチだと感じ、社会的問題にも関心を持てるのは貴重な機会になりそうですね🤔
槙さん
遅くなってごめんなさい🙏早速読んでいただいてありがとうございます😊
OFIIも読み書きできる(アルファベット読める書ける)人たちはまた別のクラスなので、授業の進め方は変わると思いますが、夜勤明けそのまま授業に来て半分寝てる、みたいな人もたまにいるみたいなので、しっかりフランス語勉強したい!というのであれば、有料の語学学校の方が皆のモチベは高いのかなぁとは思います。