マガジン限定記事「人文系ダウンサイジング騒動について詳しく解説します」
いやー、7月は終盤まで話題に事欠きませんね。ってことで、今日はこちらのニュースから行きましょう。
数日前に閣議決定した骨太2026こと『経済財政運営と改革の基本方針2026』に、「(大学・大学院の)人社系のダウンサイジング」という文言が登場したことが内外で大きな騒動となっていた件についてです。
理工・デジタル人材育成を含む大学・大学院等の機能強化のため、成長分野への学部再編、17の戦略分野の高度人材育成や実需に応じたリ・スキリング、高専の新設・機能強化、文理分断の傾向が強い大都市圏の大学を始めとする成長分野の重視や人社系のダウンサイジング及び理数分野併修を通じた質の向上、大学生・高校生での海外留学の一層の推進など多様性の中で価値を創造する人材育成を進める。教育成果や質に係る情報提供を強化する。
(2026年7月21日)より引用
https://www5.cao.go.jp/keizai-shimon/kaigi/cabinet/honebuto/2026/2026_basicpolicies_ja.pdf
この表記を受けてSNSでは「いままでこんなに直截的な表現で人文社会系の解体的再編が言明されたことはなかった。国は本気で人文系を弾圧、潰そうとしている!」と大騒ぎになっているようですが、まあそれはちょっと盛りすぎというか、ファクトとしては国が人文系の統廃合を求めるようになったのは別にいまに始まったことではないです。
有識者会議ベースでは2010年代前半から絶えず議論の俎上にはあげられておりました。文書としてこの方向性がはっきり確認できるのは遅くとも2015年からです。文部科学大臣が国立大学法人に対して出した通知に人文社会科学系や教員養成系については廃止もしくは社会的需要の高い分野への転換を求める文言が盛り込まれたことで大きな騒動となりました。
そして記憶に新しいのが2020年の菅政権における「学術会議任命拒否事件」です。ここで思ったより世論の反発がないというかむしろ政府を応援する声が予想以上に大きかったことに自民党は気をよくして、その勢いのまま打ち出したのが「稼げる大学」こと国際卓越研究大学制度(2022年)となります。そんなわけで、自民党は2012年の政権奪取以降一貫してアカデミア人文系を冷遇してきたわけです。
ただし今回がこれまでの事例と異なるのは、“骨太の方針”に《ダウンサイジング》という表現が明記されたことです。
骨太の方針にここまで明確な言い切りが登場したのは記憶にあるかぎり初です。これまではせいぜい「文理横断で~(安倍政権)」とか「デジタルなど成長分野への再編を促進し~(岸田政権)」とかまあそんな感じの、あくまで理系に重点を置きますよ的なバランスをとった穏当な表現だったので。
いまさら説明不要でしょうが「骨太の方針(経済財政運営と改革の基本方針)」とは閣議決定によって承認される政府の最重要の基本方針で、文科省の局長級が出す「目標」とか「通知」とは政治的な重みが全く異なります。中期目標や談話レベルでなくこの骨太の方針に「人社系のダウンサイジング」という文言が盛り込まれたことは、高市政権がこれまでの政権よりもさらに強い意志でもって文系縮小に着手することを暗に意味しています。
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新卒一括採用という慣例がいずれ終わりを迎えたら(まもなく迎える)、大学は国がどうこうするよりも前に市場からのニーズを失うでしょうね。
まあ、国の施策を後押ししたのは、間違いなく「悪目立ちした文系学者」達ですからね。 コロナ以降、いや安倍政権の頃から特に目立っていた所業がここに来て「精算」を要求してきた、としか思えませんね。 人文社会系学部が全くの無意味とは言いませんが、その学問の特殊性によりこれからの信頼回復は…
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