●その1
ルシファーを退ける力があります。
道徳です。
道徳はルシファーを焼き尽くす激しい炎です。
アーリマンに対抗する手段は、精神科学によって修練された判断力と認識能力以外にはありません。
わたしたちが地上で獲得する健全な判断力はアーリマンにとって恐ろしいものであり、
健全な判断力のまえにアーリマンは逃げ去ります。
わたしたちが自我意識の健全な修行をとおして達成したものが、アーリマンは大嫌いなのです。
アーリマンは、わたしたちが健全な判断力をとおして発展させるものとは遠く隔たった領域に属しているからです。
わたしたちが地上において獲得する健全な判断に出会うと、アーリマンは大変な恐怖を感じます。
アーリマンにとって全く見知らぬものであり、それゆえに大きな恐怖を感じるのです。
【「カルマ論」集成2 カルマの開示 ルドルフ・シュタイナー著 西川隆範訳 イザラ書房 P197 】より
○その2(上記と同文、別訳)
ルツィフィルが思わずたじろぐ力があるとすれば、それは道徳的な力以外にはありません。
徳の力は恐ろしい火のように、ルツィフィルを焼くのです。
そして、アーリマンに対抗する手段があるとすれば、それは神智学によって鍛えられた判断力と
識別能力以外にはありません。
この地上の世界で獲得された健全な判断力は、アーリマンをおじけづかせ、逃げ出させるのです。
自我意識が正しい修行を通して獲得するものは、何にもましてアーリマンに嫌悪感をいだかせるのです。
なぜなら、後に述べますように、アーリマンの世界は人間の健全な判断力の世界から遠く離れているからです。
アーリマンは私たちが地上で獲得した健全な判断力に出会う瞬間、おそろしいショックを受けます。
それは彼にとっては、まったく未知のものなので、恐怖を感じるのです。
【シュタイナーのカルマ論 カルマの開示 ルドルフ・シュタイナー著 高橋巌訳 春秋社 P139 】より
■コメント:
上記の2つの文章は、訳者が違うだけで同じ内容ですが、参考のため両方載せました。
この講義は、「天変地異とカルマ」の一節なのですが、病気のカルマの現れ方を基に、悪魔が人間に対して
カルマをどう作用さえ得るかを説明し、その対抗策を論じた内容の抜粋です。
シュタイナーは、人間が精神世界に関心を持ち過ぎると、ルシファーによって利己主義的な情念、衝動、
欲望、虚栄、高慢などに捕われるようになり、更には外界を歪んでみるような器官を形成してしまう可能性すら
あることを忠告しています。
そのため、『道徳的』な判断力を身につける必要があるというのです。
また、物質主義的な思想に固執した場合には、アーリマンによって、幻想につぐ幻想を注ぎ込まれ唯物論
思想に陥ったり、物質欲や戦争といった社会的誤謬に陥ります。
これに対しては、人智学などの霊的な真理を研究するのが最良だとしています。
「攻撃は最大の防御なり」ではありませんが、世界を混乱に劣り入れるアーリマンとルシファーが、それぞれ、
人智学と道徳を恐れるというのは、私たちにとって重要な智慧です!
日本の古神道などでは鎮魂帰神法といって、神霊を身体に憑依させる「霊媒」(れいばい)と、その霊の
正邪を判断して言葉を交わす「審神」(さにわ)の二人で神霊との交信を行なう方法があります。
シルバーバーチの霊訓の場合は、現実界ではバーバーネルという霊媒、霊界ではインディアンが霊媒となり、
3000年以上前に地上生活を経験した地球の指導的立場の霊階級に属する霊(時代霊~形態霊の次元の
天使か?)と、人間との交信をしていたといわれます。
しかし、こうした方法は、通常では「霊媒」も「審神」も共に、優れた道徳的常識と霊的知識がなければ、
善霊が「霊媒」に降りる可能性は低くなり、万一、頭の良い邪霊が降りた場合には「審神」が邪霊の言葉に
簡単に騙されてしまう危険性が高いといわれています。
よって、強い霊媒体質の人や、霊的な世界の見聞を望んで修行するような場合、道徳的な判断力を身に付ける
ことが、ルシファー(日本では金毛九尾といわれる狐霊など)からの誘惑に対する最大の防御策であるようです。
では、「道徳」とは具体的に何を学ぶべきかという事になります。
それには、一般的に『論語』『孟子』『中庸』『大学』『伝習録(陽明学)』(※1)、といった中国古典が
最重要視されているようです。
神智学や人智学はルシファー的な要素が強いとされているので、こうした道徳を学ぶことは現実的な良識を守り、
霊的認識とのバランス保つには非常に大切なのでしょう。
私は学生時代に多少は読みましたが、現在、これらの本は本棚の隅で埃を被っています。
これは、自分のような人間には耳の痛い内容です・・・(反省)。
より高いレベルで人智学を学び取るためには、道徳を並行して学んでゆく必要がありそうです。
※アーリマンとルシファーについては、シュタイナーの哲学体系【B】(進化から逸脱したヒエラルキア)
【http://blogs.yahoo.co.jp/sakimorikeikan/12553804.html 】を参考になさっていただければと思います。
(※1)【参考文献】
■論語:『論語』・金谷治 訳注・岩波文庫 青202-1・税別¥553、など。
○中国の大古典「四書」のひとつで、孔子(B.C.552 - 479頃)と、彼を中心とする人々との言行録。
社会秩序(礼)の回復を求め、仁の道、君子の道を説き、儒教論の基礎を確立した。
■孟子:『孟子』・今里禎 訳・徳間出版・税別¥2796、など。
○「四書」のひとつで、孔子の思想を継承発展させた、孟子(B.C.372 - 289頃)の言行。
四端を人間の本来的なものとし、性善説を唱え、諸国を巡り王道政治の実現を説いた。
■中庸:『中庸』・宇野哲人 全訳・講談社学術文庫 595・税別¥700、など。
○孔子の孫の子思子の作とされるもので、四書の一つ。中庸の徳が、行為の最高基準とされる。
■大学:『大学』・宇野哲人 全訳・講談社学術文庫 594・税別¥500、など。
「礼記」の中の一篇で、儒教の根本理想である格物致知・修己治人などが説かれる。
※格物致知=物の理をきわめて、知をつくすこと。
■伝習録:『伝習録』・安岡正篤・明徳出版社・税別¥2300、など。
中国明代の儒者・政治家であった王陽明(1472 - 1528)が、心即理、知行合一などの説を形成して
完成させた学問。