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賛成123対反対121の意味──副首都法案を成立させた「与党外の5票」とチームみらいの責任

社会学者/日本大学危機管理学部教授、東京工業大学特任教授
写真:つのだよしお/アフロ

2026年7月24日イレギュラーで、深夜まで揉めに揉めた副首都法が参議院本会議で可決、成立した。投票総数244、賛成123、反対121。差はたった2票である。

NHK「「副首都」構想関連法が成立 自民・維新・みらいなど賛成」

https://news.web.nhk/newsweb/na/na-k10015185521000

参議院は記名投票を採っているため、本会議投票結果は議員一人ひとりの賛否まで公開されている。

参議院「第221回国会 2026年 7月24日 投票結果」

https://www.sangiin.go.jp/japanese/touhyoulist/221/221-0724-v006.htm

賛成の内訳は、自由民主党・無所属の会99、日本維新の会19、チームみらい・無所属の会2、各派に属しない議員3。反対は立憲民主・無所属40、国民民主党・新緑風会25、公明党21、参政党15、日本共産党7、れいわ新選組5、日本保守党2、沖縄の風2、社会民主党2、各派に属しない議員2であった。

連立を離脱した公明党から参政党、日本保守党に至るまで、イデオロギーを問わず野党が一致して反対するなか、与党会派の外側で賛成に回った政党会派は、チームみらい・無所属の会ただひとつである(そもそも、参議院のサイトを見るだけでも、会派単位で行動することを前提としていることがよくわかる)。

与党会派の賛成は自民99と維新19の計118にすぎない。可決を支えたのは、与党の外側から投じられた5票である。すなわち、チームみらい・無所属の会の安野貴博・尾辻朋実両氏と、各派に属しない齊藤健一郎・平山佐知子・望月良男の3氏である。

この5票のうち2票が反対に転じていれば121対123で否決され、3票が棄権していれば120対121でやはり否決されていた。つまり、この5票のうち2人が反対するか、3人が棄権していれば、この法律は成立していなかった。

みらいは、反対しないことによって成立に大きく貢献したのである。それゆえ野党は、軒並みチームみらいに対して厳しい視線を向けている。

筆者は先に、修正合意そのものを空虚であると批判した。

チームみらいの副首都法案「修正」の空虚さ——情報通信技術の活用は25年前から国・自治体の責務である(西田亮介)

https://news.yahoo.co.jp/expert/articles/c1c913439b48bfd69a12366060447d007d7edb14

「書いていないから自由」「書いていないが結束」。チームみらいのご都合主義的党議拘束と自由投票の検討。(西田亮介)

https://news.yahoo.co.jp/expert/articles/5d9dab6fc6e7326323e42f92faafb872665f8103

7月14日に自民・維新・みらいの3党が合意した修正は主に、①デジタル行政基盤の整備など情報通信技術の活用等の追加、②国会への報告規定の追加、の2点であった。

だが①は、2000年のIT基本法を継承した2021年のデジタル社会形成基本法が、すでに国と地方公共団体の責務として定めている事柄だからだ。

②も本体の設計には特に触れていない。

しかも、チームみらいは6月26日、衆議院議院運営委員会が定数削減法案と副首都法案の付託を職権で決めたことに反発し、他の野党4党とともに「一切の本会議、委員会に応じない」方針を確認していたはずだが、審議入りそのものを拒んだ相手方の法案に、その3週間後には修正2項目と引き換えに野党側で唯一賛成した。

野党国会対策委員長会談後ぶら下がり取材/国会対策委員長 峰島侑也(2026年6月26日)|チームみらい【公式】 https://note.com/team_mirai_jp/n/n7bb5ffd35d95?sub_rt=share_pw

少数与党の下では、数の上で小さいことは、責任が小さいことを意味しない。2票差で成立した法律の効果は、大阪をはじめ副首都を目指す他都市の住民にも、そして今後の統治機構の設計にも影響しうるものである。

自らの1票が結果を左右する位置にあったのなら、その1票がどの論点を諦め、何と引き換えられたのかを、有権者に説明する責任があるはずだ。そもそもチームみらい会派だが尾辻氏は立憲民主党に所属したこともある無所属議員で、政党としてのチームみらい代表である安野氏と常に投票行動を同じくする合理的理由は乏しいだけになおさらだ。

デジタル民主主義や熟議を看板に掲げる政党であれば、なおのことではないか。今国会のような局面において、新しさは何ら免罪符にならないどころかチームみらいの果たした役割は大きく、責任は重い。

ご都合主義的に与党側に立つのであれば、それに見合った形で厳しい批判にさらされなければならない。

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社会学者/日本大学危機管理学部教授、東京工業大学特任教授

博士(政策・メディア)。専門は社会学。慶應義塾大学総合政策学部卒業。同大学院政策・メディア研究科修士課程修了。同後期博士課程単位取得退学。慶應義塾大学大学院政策・メディア研究科助教(有期・研究奨励Ⅱ)、独立行政法人中小企業基盤整備機構経営支援情報センターリサーチャー、立命館大学大学院特別招聘准教授、東京工業大学准教授等を経て2024年日本大学に着任。『メディアと自民党』『情報武装する政治』『コロナ危機の社会学』『ネット選挙』『無業社会』(工藤啓氏と共著)など著書多数。省庁、地方自治体、業界団体等で広報関係の有識者会議等を構成。偽情報対策や放送政策も詳しい。10年以上各種コメンテーターを務める。

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