ニチレイ物流システムが全面復旧、なぜ10日でサイバー攻撃から復旧できたのか?
2026年7月、冷凍食品および低温物流最大手のニチレイがランサムウェア攻撃を受け、全国の食品サプライチェーンは混乱に陥った。しかし、アサヒやアスクルの障害では数か月を要した復旧を同社は約10日で完了させた。強固なバックアップ体制と現場のアナログな事業継続力がもたらした早期復旧までの舞台裏を探る。 【図版付き記事はこちら】ニチレイ物流サイバー攻撃からの復旧(画像:ビジネス+IT)
ニチレイ物流サイバー攻撃からの全面復旧
2026年7月に発生した冷凍食品および低温物流の最大手であるニチレイへのサイバー攻撃は、日本の食品流通網に深刻な影響を与えた。過去のランサムウェア被害の事例、例えばアサヒグループホールディングスやアスクルなどでは、システムの完全復旧までに数か月から半年近い期間を要している。しかし、ニチレイは被害発生からわずか約10日という異例の短期間でシステムの全面復旧を果たした。この迅速な復旧の背景には、強固なシステムインフラの構築と、現場の対応力の高さが存在する。 2026年7月13日、ニチレイは社内システムにおいて大規模な障害を検知した。被害の拡大を食い止めるため、同社は直ちにグループ全体のシステムネットワークを物理的および論理的に遮断する緊急措置を講じた。その後、ロシア系のランサムウェアハッカー集団である「RansomHouse」が犯行声明を発表した。 彼らはシステムを暗号化して業務を妨害するだけでなく、窃取した機密データを公開すると脅す二重恐喝の手法を用いた。現代の高度化された低温物流倉庫は、商品の入出庫から在庫管理、配送車両の配車に至るまで、すべてのプロセスをシステムで一元管理している。そのため、ネットワークの遮断は直ちに物理的な物流機能の停止を意味した。 ニチレイは自社の冷凍食品を製造・販売するだけでなく、年間を通じて約5,000社に及ぶ企業から低温物流業務を受託している国内最大のコールドチェーンのハブである。この中核機能が停止した影響は瞬く間に全国へ波及した。日本ケンタッキー・フライド・チキン(KFC)では食材の調達が滞り、全国の店舗で臨時休業やメニューの提供制限を余儀なくされている。 また、イオンなどの大手スーパーマーケットの店頭では冷凍・冷蔵食品の欠品が相次ぎ、回転寿司チェーンのくら寿司でも食材の配送遅延が発生した。さらに、自治体の学校給食においても、予定されていた食材が届かずメニューの変更を余儀なくされるなど、食品スーパーや外食産業、公共サービスに至るまで、業種の垣根を越えて甚大なサプライチェーン被害が顕在化した。