故ヴァル・キルマー、“生成AI”でスクリーンに復帰。新たな試みにネット上では批判の声も
物議を醸すAI。今後の可能性は?
2025年には、AI企業「パーティクル6プロダクションズ」によって生み出された、“AI俳優”ティリー・ノーウッドが物議を醸し、全米映画俳優組合・米国テレビ・ラジオ芸能人連盟(SAG-AFTRA)は、「盗用された演技データを使って俳優の仕事を奪って、彼らの生活を脅かし、人間の創造性を軽視している」として強く批判。 『NBC News』によれば、AIの使用をめぐる問題は依然として大きな争点となっており、俳優たちは自身の肖像をどのように管理・保護するかを巡って声を上げているという。 さらに2024年には、アメリカ・カリフォルニア州のギャビン・ニューサム知事が、AIから俳優を保護するための法案に署名。そのうちの一つであるAB 1836は、死後のパブリシティ権の一環としてデジタル上の肖像を保護するものであり、遺族または権利継承者の事前の許可なく商業利用されることを防ぐ法的権利を強化する内容となっている。 俳優が死後に映画へ登場するケースはこれまでもあり、映画『グラディエーター』のオリヴァー・リード、『ワイルド・スピード SKY MISSION』のポール・ウォーカー、『スター・ウォーズ/スカイウォーカーの夜明け』のキャリー・フィッシャーなどがその代表例として知られている。 またこれまでは、主にスタントダブルの身体に俳優の顔をCGIで合成する手法が用いられてきたが、今回のようにAI技術を用いて俳優を再現する試みは初めてとみられると『NBC News』は報じている。
新たな試みにネット上では厳しい声も
AIをめぐっては依然として激しい議論が続いているが、制作者たちは自らの決断が批判を招く可能性を理解した上で、同作がAIの倫理的な活用方法を示す作品になることを望んでいるという。さらに同作は、SAGのガイドラインに基づいて制作されており、ヴァルの出演については遺産管理団体に対して、適切な報酬が支払われているとしている。 しかし、『Fox News』の報道によれば、今回の新たな試みには批判の声も寄せられているという。 「彼は生前、こういったことに同意していたのだろうか? もしそうでないなら、おそらくやるべきではない、かなり不快な行為だと思う」 「ハリウッドでは、人が亡くなってもAIで“復活”させられ、働き続けさせられることになる」 「どれだけ許可があったとしても関係ない。誰もこんなことをやるべきではない」 「生成AIで死者の姿を“復活”させることは、個人的には違法にすべきだと思う」 「どれだけ道徳的に取り繕っても、これがいかに異常で強欲なことであるか、その事実は変わらない。正直に言って、彼の家族はこんなことをした自分を恥じるべきだ」 さらに、映画『ワイルド・スピード SKY MISSION』でポール・ウォーカーが見せたような“短いカメオ出演”であれば「問題ない」としつつも、「もしセリフのある本格的な役までAIで再現するのであれば、俳優が演じることの本当の意味とは何なのか」と疑問を呈したユーザーもいたとのこと。 激しい議論が繰り広げられているエンタメ業界で、今後AIがどのように活用されていくのか、あるいはこのまま規制や反発が強まっていくのか、今後の動向に注目したい。
Harper's BAZAAR JP