尾道市中心部を舞台にした「尾道映画祭2026」は1日、市出身の大林宣彦監督の作品でフィナーレを飾り、出演した秋吉久美子さんたちが在りし日の監督との思い出話に花を咲かせた。「哲代おばあちゃん」の呼び名で親しまれる市在住の石井哲代さんもサプライズで登場し、笑顔を振りまいた。
1988年公開の大林作品「異人たちとの夏」は脚本家山田太一さんの小説が原作。秋吉さんは、異界に迷い込んだ主人公が再会する亡き母を演じ、切なくも優しい世界を描いた。
当初、想定外の配役だったという秋吉さんは「あなたは日本のお母さんです」と監督から手紙を受け取ったエピソードを紹介。「器量が大きく人の気質を見る魅力的な方。今も胸が熱くいっぱいになる」と人柄をしのんだ。監督の長女千茱萸(ちぐみ)さんは「監督の残した映画の力を信じている」と語り、地元有志による生家再生への支援も呼びかけた。
ドキュメンタリー映画「104歳、哲代さんのひとり暮らし」も上映。入所施設の許可を得て駆け付けた哲代さんは「105(歳)まで来ました」とほほ笑んだ。
自ら作曲した古里の歌や定番のギャグも披露し「楽しく人生を送って」と来場者にエールを送った。岡本幸統括プロデューサーは「年を取るとできないことが増えるが、哲代さんは、それを笑いに変える力を見せてくれる」と魅力を語った。
映画「敵」で東京国際映画祭の最優秀男優賞を受賞した長塚京三さんは30年ぶりの尾道訪問。「まだ未公開の作品がある。またスクリーンで会いましょう」と話し、歩みを止めないベテランの自負をにじませた。(藤田智、余村泰樹)


