[さようならBitMEX] ETHUSDで年60%収益を目指す
[2026/07] この記事は、2018年ごろにBitMEXでQuanto Correlationを活用した取引機会に気づいたときに執筆したものです。当時5000円の有料商材でしたが、さすがに価値がなくなったと思うので BitMEX への感謝も込めて無料公開します。(これだけ寝かせたのだから、有料で買ってくださった200名の方々も怒らないでね)
BitMEXのXBTUSD, ETHUSD無期限スワップ取引やETH、BTCの信用取引等を上手に組み合わせる事で非常に面白い収益機会(コツコツ稼いでドカンと稼ぐ)がある事を発見したのでレポートにまとめた。
自己紹介 - 筆者のバックグラウンド
学際系の大学院修了。某米系投資銀行でフロントオフィス・プログラマとしてキャリアをスタート、その後複数の投資銀行等でデリバティブ金融商品開発やロボ・アドバイザリーサービスの企画・設計・開発を担当。
本戦略の特徴
・為替デリバティブ理論を暗号通貨に応用
・魅力的なリスク・リターン
・手動で取引可能、プログラミング不要
・レバレッジ取引可能
・上げ相場でも下げ相場でも収益が出るポジションの為、安心して寝られる
魅力的なリスク・リターン
青線: 累積パフォーマンス(複利)
赤線:最大ドローダウン
リターン:
グラフは年初来のTrading View でのバックテスト。証拠金に対して40% (年間換算で60%) のリターンとなった。(レバレッジ2倍前提)
リスク:
最大ドローダウン分析を行った所、同じ証拠金前提で年初来で-1.7%となった。リターン対比で考えれば非常に魅力的だ。
これを受け、筆者は現在、取引元本を 400ETH (約1300万) 相当として本戦略の実取引値ベースでのテストを行っている。(以下は筆者のポジションの一部。)
手間も最低限
取引タイミングは1日~3日に一回、手動で行えばよい為、PythonやNode.js等でシステムを組む必要もなく、都合が悪くて取引できない日があっても大損が発生する可能性も低い。ルールに則ってポジションを取るため、システムを組んで本取引を実践する事も可能だ。なお、マーケットが動いていない場合は特段取引をする必要はない。
リスク/考慮点
本戦略にまつわるリスクのうち、現在想定しているものを以下に示した。
1) マーケットが動かなかったり、ビットコインとイーサリアムがてんでバラバラの方向に動いてしまったりすると損失が発生する恐れがある。
2) 多額の証拠金を取引所に預ける事になるので、取引所のGoxリスクにも十分気を付けたい。
3) BitMEXの無期限スワップ取引やBitfinexの信用取引には金利の負担が発生し得る為、金利動向によってはこのコストがリターンを食ってしまう可能性がある。先のバックテストでは、1日あたり0.07%の金利負担が発生する事を前提に計算している。金利負担が大きいときは休むのも良いだろう。
4) ETHUSDの無期限スワップ取引は誕生して日が浅く、直接的にバックテストできるデータが存在しない。また、実際の取引でのパフォーマンスは依然実験中である。
5) 取引額の計算を正確に行う必要があり、計算ミスは損失に直結する。Excelが使えれば問題ないものと思われる。
6) 本取引戦略を同様に行う人が市場に増えすぎた場合、この取引機会は消滅する。
ほかにも色々とあると思うが列挙するとキリがないのでこのくらいにしておく。あくまでも投資は自己責任でお願いしたい。
取引所
BitMEXおよびBitfinexの口座利用を前提としている。海外口座のアフィリエイトは法律的にグレーだとの事なのであえてリンクは張らない事にする。BitMEXは必須だが、もう一つの取引所は信用取引ができればどこでもよい。
以降
・戦略の概要
・具体的な取引手順
・損益計算の方法
・利益確定の方法
・リスク
について解説する。
戦略の概要
本戦略を実践するのに、その辺のNoteコンテンツに書いてあるような損切ラインとか、三尊とか、三角持ち合い、とか、損小利大とか、そういう方向性に賭ける相場観は一切必要ない。必要なのは、すぐに利食うか(コツコツ)、利食いを早まらずに我慢すべきか(ドカン)、の判断だけである。以下にこのメカニズムについて解説する。
まずは筆者の前回ポストしたエントリー「BitMEXのETHUSDについての解説」を熟読いただきたい。今回はこれの最終パラグラフで論じているポジションの逆を取る。つまり、
1) BitMEXでETHUSDをロング
2) 同じ量のETHをBitfinexの信用取引でショート
を行っていく。同時に、BitMEXの証拠金に関連してBitfinexでBTC(XBT)のショートも行う。ポジションの全体像としては、以下のイメージとなる。
※ BTCのショートは、金利負担(=XBT無期限スワップの資金調達率)の居所によってはBitMEXのXBTUSDスワップで行うと良い。これについては後述する。
以上のポジションによって、(金利負担のファクターを除けば) ETHUSDとXBTUSDが正の相関を持っている限り、収益を上げ続ける事ができる、というのが本戦略の全てである。
下図に損益のイメージを示した。X軸(左右)がXBT価格、Y軸(奥行)がETH価格、高さが損益である。
スタート地点はグラフの真ん中、十字がある所であり、XBT価格・ETH価格ともに下落 (グラフ左手前)のシナリオ、およびXBT価格・ETH価格ともに上昇 (グラフ右奥)のシナリオで収益が出る(等高線が高くなる)事を示している。
収益の源泉
収益の源泉は以下の通りだ。先に述べた通り、本戦略ではBitMEXでのロングポジションとBitfinexでのショートポジションを組み合わせるのだが、例えば、ETH相場が上昇した際には
1) のMEXのロングポジションは収益を生む
2) のFinexのショートポジションからは損失を被る
XBT相場が変動しなければ、上記ポジションの損益はゼロだ。しかしながら、XBTUSD相場がETHと同様に上昇していると 1) > 2) となり、収益が損失よりも大きくなる。
逆に、ETHUSDが下落した場合には
1) のMEXのロングポジションからは損失を被る
2) のFinexのショートポジションは収益を生む
先の上昇のパターンと同様にXBT相場が変動しなければ上記ポジションの損益はゼロだが、XBT相場も同様に下落していると1)のドル建ての損失評価額よりも2)の収益が大きくなる。これは、1) のショートの損失がXBT建てである為、XBT相場がETH相場に連れて安くなっていた場合、USD建て損失額はその分だけ小さくなる為である。つまり、相場が上がろうが下がろうが収益>損失、となるのである。重要なのは ETHUSD相場とXBTUSD相場の相関関係である。
ここまでの話を非常に単純化すると、以下のグラフのようになる。これはETHが10%値上がりしたらBTC(XBT)も10%必ず値上がりする、という前提で作成した損益グラフだ。エントリーをETH $300, BTC $6400, 取引サイズを100ETHとしている。
青いラインはBitMEXのロングポジションによる損益、緑色のラインがBitfinexのショートポジションによる損益、赤がその合算である。これをみると分かるように、合算の損益は常にプラスである。青いラインが曲がっているのが重要で、この曲がりはETHの値上がりと共にXBTが値上がりすると、ドル建ての収益が加速する事を示している。(逆にETHが値下がりしてXBTも値下がりすると、ドル建ての損失が減速する)
リスクシナリオとして、もし両方の通貨が同様に上昇しない、たとえば、ETHが上昇したのにBTCが下落してしまったりする等の又裂き的な相場になってしまうと、収益 < 損失となり、トータルで損失が生じる。
しかしながら、下記画像を見てもわかる通りXBTUSDとETHUSDの過去の価格相関は極めて高いので、筆者はこのような又裂きの相場よって損失を被る可能性は極めて低いと考えている。(ETH-BTCの過去半年の日次の相関係数は0.81と計算された。2つの異なる資産間の相関係数として、この数値は極めて高いと言える)
なお、デリバティブ界隈では、この相関の事を「Quanto Correlation」と呼び、このポジションの取り方の事を「ポジティブ・ガンマ」と呼ぶ。
具体的な取引手順
入金
まず、BitMEXに証拠金を入れる。例えば5BTCほど。同様にBitfinexにも資金を入れる。現在、1BTC = $6300ぐらいなので、同額入れるとすれば$31,500あたりだろうか。bitcoinで国内取引所から転送し、売却してしまうのが手っ取り早いだろう。(もちろん、より少額でも本取引は実践可能だ。各々レバレッジのかけ過ぎには適宜注意されたい)
以下、この市場価格前提で各数字を論じる
BTC価格変動リスクのヘッジ
BitMEXはbitcoinでしか証拠金を入れられないので、この時点でbitcoin価格変動リスクを背負っている事になる。もしこれをヘッジしたければ、BitMEXもしくはBitfinexでショートを入れる事になる。
BTCショートはBitMEXか、Bitfinexか
BitfinexのBTCの借り入れ手数料はここの所安定的に推移しており、おおむね1日あたりで0.01% ~ 0.02%程度の負担である。これに対し、BitMEXではショートを入れると金利負担が発生する場合と金利収入が発生する場合がある。(これについては「BitMEXの無期限契約に課される資金調達率についての解説」を参照の事。)
金利収入が発生する場合はBitMEXの一択であろう。この場合、31,500枚のXBT無期限スワップをショートする事となる。実は、BitMEXのXBTショートで金利収入が発生する場合、これだけでも十分に面白い収益機会ではある。( マーケットのディレクションを取らずに、BitMEXでのXBT金利収入を得るキャリー戦略。以前は月利5%程度を目指せていたが、最近は月利2%あたりまで収益性は落ち込んでいる印象 )
BitMEXで金利負担が発生する局面では、Bitfinexの方が相対的に金利負担が軽い場合が多いように思う。またBitfinexにてショートする場合には5BTCを信用取引(Margin)で売る事になる。
ポジションの構築
以下は100ETHを取引元本として記載する。
ETHショートのポジション構築@Bitfinex
こちらは普通に100ETHを信用取引でショートする。$31,500を証拠金として入れてある前提で、1ETH = $300とすると、ほぼレバレッジ1倍である。
ETHロングのポジション構築@BitMEX
100ETHのポジションを作る場合 100 / XBT価格 x 1,000,000 枚の買いを入れる。XBTが$6300であれば、15,873枚となる。
従って、上記の場合、グロスでは200ETH相当が投資元本となる。ロング/ショートのポジションを取っているので、ネットでは投資元本はゼロである。大幅にマーケットが動いた場合は、片方の取引所では損失になるものの、もう片方は収益が出ている筈だ。レバレッジを高めにかけている人は損失発生側で追証orロスカットになる可能性が高いので、証拠金管理には気をつけなくてはならない。
いったんポジションが構築できたら、あとは相場が荒れる事を祈るのみで、特段やる事は無い。
損益計算
上の表はETH価格が$300, XBT価格が$6300の時に本戦略にエントリーしたとして、その損益がそれぞれの価格シナリオにおいてどのように変化するかをまとめたものである。Google Spreadsheet にも同じものを置いた。
BFX USD PnL : BitfinexにおけるショートポジションのUSD建て損益。XBT価格からは独立であり、ETH価格のみに依存して損益が定まる。
MEX XBT PnL : BitMEXにおけるロングポジションのXBT建て損益。こちらもETH価格にのみ依存する。
BitMEX PnL in USD : 上記ロングポジションのUSD建て損益。XBT価格に依存する為、各列に-20% ~ +20%までXBTの価格変化を記載。
Net PnL in USD : Finexのロング側損益とMEXのショート側損益の合算。左上はETH安/XBT安、右下はETH高/XBT高。どちらに動こうとも収益がでる事がわかる。また、ETH安/XBT高や、ETH高/XBT安の局面では損失が発生する。
利益確定
さて、無事にETHとXBT価格が大きく変動して含み益ができたとする。つぎに、この場合の利益確定の仕方について述べる。
なお、先ほどのGoogle Spreadsheet に本戦略の損益計算シートも実装されているので、適当な数値を入力して損益がどのように変化するのか試していただきたい。
相場が下落して含み益となった場合
ETH@300, XBT@6300でエントリーしたとして、ETHが$240、XBTが$5040となった場合、どうしたらよいのだろうか?
表を見ると、この場合Bitfinexのショートからは$6000の収益が、BitMEXのロングからは0.95XBTの損失が発生している筈である。すべての取引を解消するならば、
ポジション解消取引
Bitfinex : 100ETHの買い戻し → ( $300 - $240 ) x 100 = $6000 の利益確定
BitMEX : 15,873枚の売り → ( $300 - $240 ) x 15873 / 1,000,000 = 0.952XBTの証拠金を失う
資金をフラットに戻す
Bitfinex : 0.952BTCを@5040で購入 → $4800の支出
Bitfinex → BitMEXへ失った0.952BTCを送金
結果として、BitMEXには当初の証拠金相当分が残り、Bitfinexには
収益
$6000 - $4800 = $1200
が残る筈である。
相場が上昇して含み益となった場合
ETHが$360へ、XBTが$7560へ、それぞれ20%の価格上昇後に利益確定する場合、下記の通りとなる。
ポジション解消取引
Bitfinex : 100ETHの買い戻し → $6000の損失確定
BitMEX : 0.952XBTの追加証拠金を得る
資金をフラットに戻す
0.952相当のBTCをBitfinexで@7560で信用売りする (下記XBTの転送に時間がかかる為)
BitMEXで追加で得た0.952XBTをBitfinexに転送する (BitMEXのセキュリティの為、ロンドン時間の1pm以降の転送となる)
Bitfinex で転送されてきたBTCを現渡しする (多少の手数料が必要)
7560 x 0.952 = $7200 なので、-$6000 + $7200 = $1200の収益
ただ、この後、改めて新規ポジションに入るのであれば、その新規ポジションの取引と解消取引とを相殺する事が可能であるため、実際にはBitMEX側の持ち高の調整だけで事足りる筈である。以下にその手順を解説する。
リバランス
取引サイズを100ETHに固定するとするならば、Bitfinex側では取引は発生しない。(先の解消取引における手じまい買いの枚数と、その次に行うであろう新規売りの枚数は同数である)
よって、利益確定と取引再エントリーを行うのであれば、XBTの価格変動に伴ったBitMEXのETHUSDロング量の調整を行う、という事になる。その過程で各取引所における証拠金残高の変動が気になるようであれば適宜送金を行って残高の凸凹を均していく事になる。
収益を確定させた後は、ETHスワップ側からBTC建ての損益が実現されている筈なので、これの対USDでの価格ヘッジを忘れずに行うこと。特に、リバランスにおいてETHスワップの売買をネットさせて差分だけを決済した場合でも、BTCのヘッジ量はあたかもETHスワップ全額を決済したかのように行うことが重要である。
実務的な例として、ETH 300 → 330、BTC 6300 → 6930 と推移した場合のエントリ → リバランスの具体的手順を示す。取引サイズは変わらずETH100相当、証拠金は5BTC、証拠金に対するBTC価格ヘッジはBitfinexで行うものとする。(もちろん、BTC価格ヘッジは前述したとおりBitMEXで行っても良い)
当初のポジション構築
BitMEX
- 証拠金 : 5BTC
- Buy ETHUSD : 15,873枚
Bitfinex
‐ Sell BTC : 5枚
- Sell ETH : 100枚
リバランス取引直前 ( ETH @ 330, BTC @ 6930 )
BitMEX
- 証拠金 : 5BTC ( $3,150 含み益 )
- Long ETHUSD : 15,873枚 ( 0.476 BTC 含み益 )
Bitfinex
- Short BTC : 5枚 ( $3,150 含み損 )
- Short ETH: 100枚 ( $3,000 含み損 )
ネット 含み益 : 0.476 * 6930 - 3000 = $300
①手じまい:
BitMEX
- 証拠金 : +0.476枚 (結果として、+5.476枚のロング)
- Sell : ETHUSD 15,873 (手じまい)
Bitfinex :
- Sell BTC : 0.476枚 (結果として、-5.476枚のショート)
- Buy : ETHUSD 100枚
②新規:
BitMEX :
- 証拠金 : 5.476枚
- Buy : ETHUSD 14,430枚
Bitfinex :
- Short BTC : 5.476枚
- Sell : ETHUSD 100枚
①と②のネット : リバランス
BitMEX :
- 証拠金 : 5.04327 ( = 5 + 0.04327 )
- Sell : ETHUSD 1,443枚 (残高 14,430枚、含み益 0.4327BTC)
Bitfinex :
- Sell BTC : 0.476枚 ( 0.04327 + 0.4327 )
- Short ETH : 100枚 (含み損 $3,000)
リバランス時点において、15873のうち 1443枚を利益確定。0.04327BTCを実現益とするとともに、Bitfinex側でトータルの0.4327BTCの含みおよび実現益に対して@6930でヘッジを執行。FinexのETHの$3,000の含み損に充てる収益をドル建てで確定させる。以降、同様の取引を繰り返しながらリバランスを執行していく。
リバランスのタイミングと収益の関係について
リバランス頻度は細かく行うべきではない。本取引はエントリー時点から相場が水準が(上であっても下であっても) 大きく動けば動くほど収益が拡大するという特性がある。先のマトリックスでは $300 → $240まで、20%の下落をする間に再ヘッジを行わないとした所、$1200の収益となっていた。ワークシートをすこし弄ればわかるが、$300 → $270 に動いた所でリバランスし、再び $270 → $240 でリバランスしたとすると、確定できる収益は$633と、約半分にまで減少してしまう。仮想通貨は非常にボラティリティが高いため、早すぎる再ヘッジは利益ポテンシャルを削ぐ事となってしまう可能性が高い。TradingViewにおけるバックテストにおいても、4時間毎の再ヘッジ < 8時間毎の再ヘッジ < 1日毎の再ヘッジ < 3日毎の再ヘッジ、の順で収益が拡大した。
ビットコインのボラティリティを鑑みるに、ポジション構築から3~5%程度コイン価格が変動したらリバランスを行う、という程度の気構えで良いと思われる。
安く買って高く売る
リバランスとは、つまるところ安くかって高く売る事である。価格が上昇しようが下落しようがBitfinex側は売買が相殺されるので取引が発生しない。他方、BitMEX側は価格が上昇したらETHロング量を減らさないといけないので、リバランスに必要なETHUSDスワップの枚数を売却する事になるし、下落側でリバランスする場合にはETHUSDスワップを追加購入するためである。面白いのは、価格が下落して追加購入した後に、さらに価格が下落した場合、それでもなお収益が出る事である。(逆もまた然り)
ETHとXBTの相関係数が1だと仮定した場合の損益のイメージを、x軸がETH価格、y軸が収益としてグラフに示した。(グラフ中の数値の絶対的な大きさについては特に意味は無い) グラフが原点を通過しているが、金利支払いが発生する場合にはグラフの極小値が原点より下へシフトし、金利収入が発生する場合には上へシフトする。(金利収入が発生する場合には、ポジティブガンマxポジティブキャリー、という、ETH / BTC相関が高ければ如何なる市場シナリオにおいても損失が発生しない、神のようなポジションになる)
価格下落時の利食いは、例えばETHが-5の時に収益を確定する事である。0からスタートして、-5の所でいったん利食い買いを行うと、収益の曲線はそこが極小値となり、再び下に凸の損益グラフを描くことになる。(下図、オレンジ線)
従って、ここからさらなる下落が発生しても、さらに収益が上がってしまう事になるのである。ただし、その場合の収益幅は利益を確定しなかった場合に比べると少ない(青線の -5 → -10 の間の収益幅は、オレンジ線の -5 → -10 の収益幅よりも大きい)。
他方、-5 → 0 に相場が戻った場合、青線は含み益を放棄する事になってしまうが、オレンジ線はその戻りからも収益をあげられている事がわかる。
従って、相場のモメンタム(方向性)継続ならリバランス無し、レンジ相場なら細かくリバランス、がとるべきリバランス戦略であろう。
目先の最大のリスク - 金利の支払い
BitMEXのETHUSDをロングすると、しばしば金利支払いを負担する事になる。筆者の別稿で述べている通り、BitMEXでは5am, 1pm, 9pm の一日3回、金利の授受が発生するが、例えば、本稿執筆時点でETHUSDのロングポジション保有者は次回、取引高に対して0.0417%、次々回の予測率は約0.14%の支払いを求められるというレートが提示されている。この金利負担が高い状態が長く続くようだと本戦略の収益を食ってしまいそれほど儲からなかったという事になってしまうため、この金利動向を注視する事は重要である。
もしロングポジションにおいて過度の金利負担が継続するようであれば、逆のポジションを取る事も考えられる。すなわち、BitMEXでショート、Bitfinexでロングする事で、この金利を収益化する事が可能になる。さらに、Bitfinex側のETHはFundingウォレットから貸し出す事で、こちらも収益化ができる。ただし、この場合、市場が大幅に上昇もしくは下落すると損失が拡大するため、細かく再ヘッジを入れる事が重要だ。(ガンマ・ネガティブ)。
BitMEXではマーケットメイカーは取引元本に対して0.025%のインセンティブを貰う事ができる為、ETH価格およびXBT価格を睨みながら再ヘッジをスキャルピングを行うように細かく行っていくプログラムを走らせると、この資金調達プレミアムとマーケットメイクプレミアムによっても安定した収益を作る事が可能になるかもしれない。究極的には、BitMEXのETHUSDスワップ金利はこのあたりのポジティブ・ガンマ勢とネガティブ・ガンマ勢の均衡するところが理論的な居所になる筈だ。こちらのネガティブ・ガンマ時のキャリー戦略についてはbot取引が必須になるであろうから、コードの実装を行い実証実験ができ次第、記事に落としていきたいと思う。
(8/22追記)非常に分かりにくいMEX公式記事を発見した
我々は、未知の領域に突入しています。私は、数ヶ月後に、過去のデータを見直し、ファンディングのうちどの程度が、クアントリスク下でのマーケットメーカーのプライシングによるものなのか、またどの程度がETHとUSDの間の金利差によるものなのかを計算してみます。
まとめ
本稿ではただ単に2つの取引所でロング・ショートのポジションを作るだけで相場が上/下どちらに動いても収益が発生するポジションを組む事が可能である事を示した。デリバティブ用語をバリバリ使うならば、Quantoフォワードと(リニア)フォワードのロングショートからポジティブ・ガンマポジションを作り、ストラドル・ロング風なペイオフを取りにいく、という戦略である。オプションプレミアムに相当するのがETHUSD無期限スワップの金利負担であるが、直近のスワップ金利を参考にしたバックテストベースでは、この金利負担が収益機会に対して軽すぎる、という事が示唆された為、本戦略を立案するに至った。無事にワークする事を祈りながら本稿を締めとしたい。
Good Luck!
ドキュメントの内容に不備、質問があった場合は是非Twitter @FcukOKsanまでDMをいただければと思います。



コメント