中国SLBM発射に太平洋諸国が反発 NZが言及した「ラロトンガ条約」とは何か #エキスパートトピ
中国が7月6日に実施した潜水艦発射弾道ミサイル(SLBM)発射実験を受け、太平洋諸国の反発が広がっている。ニュージーランドは、ミサイルが南太平洋非核地帯条約(ラロトンガ条約)の精神に反すると批判。太平洋諸島フォーラム(PIF)では共同声明も検討されている。中国は今回の発射で海中核戦力を誇示した一方、その強硬なメッセージは周辺国の警戒感を高め、地域の結束を促すという皮肉な展開を招きつつある。
ココがポイント
太平洋諸国、中国のミサイル発射を非難する「非常に強い」共同声明を検討中 オーストラリア
出典:AFP=時事 2026/7/8(水)
中国は6日、「ラロトンガ条約」によって設定された「南太平洋非核地帯」の海域に向けてミサイルを発射した。
出典:CNN.co.jp 2026/7/7(火)
「今回のミサイルはオーストラリア、ニュージーランド、南太平洋の島嶼(とうしょ)国を含む南太平洋非核地帯に着弾した」
出典:中央日報日本語版 2026/7/7(火)
南太平洋は過去に大国の核実験場所になったことから、「核」に対する抵抗感が強い。
出典:日本経済新聞 2026/7/7(火)
エキスパートの補足・見解
南太平洋は冷戦期に米英仏による核実験を経験し、「核」への拒否感が強い地域だ。こうした歴史を背景に、1985年に署名、1986年に発効したラロトンガ条約が成立し、南太平洋は非核地帯となった。条約は域内での核兵器の保有や核実験などを禁じている。中国は条約本体の締約国ではないが、議定書に署名・批准し、非核地帯を尊重する立場を示してきた。
今回のSLBM発射は模擬弾頭による実験であり、直ちに条約違反と断定されているわけではない。しかし、ニュージーランドのピーターズ外相は、中国の行動は条約の目的や精神に反すると批判した。重要なのは、ミサイルがどこに着弾したかだけではない。中国が核搭載可能なミサイル能力を南太平洋で示したこと自体が問題視されている。
さらに注目すべきは、中国との経済的な結び付きが強く、これまで対中批判に慎重だった太平洋島嶼国の間でも共同声明を検討する動きが出ていることだ。中国は海中核抑止力を示し、米国やその同盟国を牽制したかったのだろう。しかし、その示威行動は周辺国の警戒感を高め、太平洋島嶼国が中国に対して共同で声を上げる動きを促すなど、中国が意図したであろう抑止効果とは逆の結果を生みつつある。