不動産クラウドファンディング商品「みんなで大家さん」を展開する共生バンクグループで、財務状況への懸念を強める事態が相次いでいることが日経不動産マーケット情報の取材で分かった。同社の栁瀨健一代表は、7月24日に予定していた給与の支払いを期日どおり行うことができないと前日までに従業員に謝罪。関係者によると、同31日をめどに支払えるよう「資金調達に奔走」する旨をメールで一斉配信したという。対象となるグループ従業員の範囲など、詳細は現時点で明らかになっていない。

 年金受給者など約4万人から約2000億円の出資を集めた「みんなで大家さん」だが、全39本のファンドの大半で元本と分配金の支払いが停止。2000人規模の集団訴訟をはじめ、出資金の返還請求に向けた動きが相次いでいる。

ともいきの国 伊勢忍者キングダムの城郭施設(写真:加藤直人)
ともいきの国 伊勢忍者キングダムの城郭施設(写真:加藤直人)
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 7月22日には、三重県で運営する観光施設「ともいきの国 伊勢忍者キングダム」が、翌日からの休業とリニューアルをウェブサイトで告知した。営業再開については公式サイトで知らせるとしているが、具体的な時期や、リニューアルの内容、工事計画などは示していない。前日の告知だったことや、アミューズメント施設にとって書き入れ時となる夏休み期間中の休業などは異例だ。

 投資家の間で、共生バンクグループの財務状況が深刻な段階に入っているのではないかとの懸念が広がっている。

ともいきの国 伊勢忍者キングダムのトップページ(2026年7月24日時点)
ともいきの国 伊勢忍者キングダムのトップページ(2026年7月24日時点)

6月末期限の事業報告書は未提出

 今回、グループ企業の一つで、「みんなで大家さん」のファンド運用を担う都市綜研インベストファンド(大阪市)が、26年6月末を期限とする事業報告書を、大阪府に提出していないことも判明した。上場企業に例えれば決算遅延に相当する。

 不動産特定共同事業法では、事業者に対し、事業年度の終了後3カ月以内に事業報告書を許可行政庁へ提出するよう義務づけている。貸借対照表や損益計算書といった一般的な会計書類だけでなく、各ファンドの投資家数や投資額など詳細な内容が記載、報告される。会計関係の書類については、公認会計士または監査法人による監査報告書も必要となる。行政にとっては、事業者が許可業者として適切に事業を継続できる状態にあるかを確認する基礎資料となる。

 期限までに提出しない行為は、不動産特定共同事業法違反に当たり、50万円以下の罰金が定められている。府は報告書の提出や業務改善を指示することができ、事業者がその指示に従わない場合や、投資家に損害を与えるおそれが大きいと判断した場合には、業務停止命令を出すことや、営業許可を取り消すことも可能だ。

 日経不動産マーケット情報は、事業報告書の未提出、給与支払いの遅延、伊勢忍者キングダムの休業について共生バンクグループに質問状を送付したが、同社はいずれも「機微情報」として回答を拒否した。個々の事象の関係は現時点で確認できていないものの、グループの財務状況と事業継続能力の分析にとって一定の判断材料になりそうだ。


■変更履歴
当初、「ともいきの国 伊勢忍者キングダム」が休業を告知した日付を7月23日としていましたが、正しくは7月24日です。本文は修正済みです。 [2026/7/25 08:00]

小野悠史=フリーランス本間 純