千秋で暖をとる3A【かおちあ】
毎日寒いですね・・・・・・千秋にあたためられたい。
という願望より。
かおちあ前提です。
3Aといいながら宗くんと三毛縞さんに登場いただけなかったの申し訳ない・・・大人数出すのムリがあったわ・・・
薫の千秋の呼び方はもうころころ変わりすぎてわけわかんなくなってきたのですが
もりっち呼びに慣れてきました。
クラスメイトといるときはもりっちで、二人きりの時は千秋とか千秋くんとか名前で呼んでたらかわいいなぁ。なんて。なんて・・・・・・・・・・
- 544
- 561
- 10,056
「うわっ寒! なにこれ」
「ちょっとぉ、ありえないんですけどぉ?!」
教室へ入るなり、薫は足を止めた。昇降口で出会ってここまで一緒に来た泉も同様だ。
だって、12月の教室といえば、必ず暖房が入っているはずである。そのはずなのだが、どうみても、寒い。
入り口で固まる二人に、蓮巳敬人が残酷にも言い放った。
「あぁ、どうやら空調が壊れてしまったようでな。業者には頼んであるのだが、今日中に直すのは無理のようだ」
「は?」
「というわけで、今日一日耐えてくれ若者達、と、先生からのお達しだ」
「はあああ? そんなの若者でもムリに決まってんでしょ。凍えて授業どころじゃないしぃ。ちょっと生徒会長、なんとかできないのぉ?!」
怒涛の勢いで泉がまくし立て、コートをきたままの英智に詰め寄っている。
「まぁ、仕方ないよね。この時期こういう故障は多いらしいから、今すぐに直してくれっていうのはムリな話だろうし……ゴホッ」
「ちょっ、あんたすでに体調崩してんじゃん?!」
「英智、お前はとりあえず保健室へ行け」
「えー、大丈夫だよこれくらい……ゴボゴホッ」
「いやいや、見るからに大丈夫じゃないから。てかなんでそんな無理するわけ? オレなら速攻保健室行っちゃうけどなー」
授業出てなくても英智なら大丈夫だろうに、と薫は首をかしげる。だって自分だったらここぞとばかりにサボってる。
英智は言った。
「やだなぁ、無理なんてしてないよ。僕はただーーー」
「――おはようございまあああす!」
バン!! と勢いよくドアが開いて、千秋が駆け込んできた。
「「「「…………」」」」
「ん??? 返事がないと流石にオレも寂しいぞ!?」
どーしたどーした?といつも通りの千秋は、不思議なことにまったく気づいていないようだ。
「あー、おはよ。もりっち」
「まったく、もっと静かに入って来れんのか」
「あんたなんでこんな寒いのにコートすら着てないわけ……」
「ふふ、千秋は今日も元気だねぇ」
「ん?? 天祥院どうした、顔色が悪いぞ? コートも着たままだし、もしかして風邪か?!」
相変わらず元気いっぱいの千秋に、薫は首をかしげた。
「ていうか、もりっちは寒くないわけ?」
「あぁ、オレは寒いことを見越して一歩家を出た瞬間から全力疾走してきたからな! 寒さなど吹き飛ばしてきたぞ☆」
「うわ……さすが」
「いつもなら暑苦しいとこだけど、今日ばっかりは羨ましいわ……」
「ん??? どうしたお前たち、寒いのか?」
そしてやはり何もわかっていない様子である。
説明してあげるのかと思いきや、英智はしれっと、
「うん、寒い。倒れそうなくらい寒い。千秋、暖めてくれる?」
「うん?」
「ちょっと英智くん??」
なに言ってんの、と慌てる薫を尻目に英智はその白い手で千秋の頬に触れた。
「あぁほんと、あったかいね」
「そうか? まぁ走ってきたからな。よし、ならばオレがあっためてやろう!」
そう言って、千秋は英智をぎゅぅと抱きしめた。
「?!」
動揺する薫の隣りで、敬人はため息をついている。
「英智おまえ、そういう魂胆か……度し難い」
「あ、走ってきたから汗臭いかもしれん!」
「そう? 大丈夫だよ?」
抱きしめたまま、くん、と英智が千秋の首筋に鼻を近づけ、英智の腕の中で千秋が首をすくめた。
「んっ……くすぐったいぞ」
「あぁ、ごめんね?」
そんな反応にクスリと笑いながら、それでも離れる気はないようだ。
「……」
おいおいおい、なんだよこれ。恋人の目の前でそういうことをする???
と、薫は冷静な笑みを浮かべながらも心中穏やかでない。
ほかの男と抱き合ってるとこ見せられるとか、なんの拷問だよ。
「あー、わかる、不思議と汗臭くないんだよねぇ、守沢って。あんなに暑苦しいのにさぁ」
そしてさらに泉までそんなことを言い出したものだから、千秋の矛先が泉に向けられた。
「そうか? よし瀬名も抱きしめてやろう☆」
「ちょっとぉ、そういう意味じゃないんだけど」
と言いながら、ギュッと抱きしめられるとまんざらでもなさそうだ。あまりの寒さにおかしくなったのか。
「あー、うん、まぁ今日ばかりは許してあげる」
「せなっちまで何言ってんの……」
この状況、写真撮ってゆうくんに見せてやろうか。
そんなことを思っていると。
「あー、瀬名くん長い、ずるい」
「ずるいってなに、意味分かんないんだけど」
英智と泉で千秋の取り合いが始まった。
かと思いきや、英智は敬人の腕を引っ張りながら、
「よし、敬人もおいで、ほら」
「は?! 貴様なにを……」
「千秋カイロであったまろう」
「は?!」
「ほらほら」
「おい引っ張るなっ――」
ぎゅううううううう
千秋カイロが3人に囲まれてしまった。まるで団子状態である。
千秋としては非常に暑苦しい状態だろうに、なぜだか楽しそうだ。
「ふはは、なんだか楽しくなってきたな!」
「どこがだ! 苦しいだけだろう!」
「って言いながら敬人うれしそうだよねー」
「そんなわけあるか!! おい羽風見てないで助けろ!」
「えー……」
そう言われましても。こんな手も足も出ない状態でどうしろと。
複雑な気持ちで見守っていたが、登校してきたクラスメイトたちまでもがノってきそうな勢いだったから、薫は慌てた。
だめだ、これ以上たくさんの男に触られる前に、なんとかしないと。
「もりっち、オレは? あたためてくれないの?」
両手を広げ、オレは? と首を傾げる。すると。
「……」
団子の中心にいた千秋と目が合い、みるみるうちに、その頬が真っ赤になった。
そのまさかの反応に、こっちまで恥ずかしくなってきた。てっきり冗談でも「よし羽風も抱きしめてやろう☆」とノってくるかと思っていたのに。
「えっと、もりっち?」
「あー、その……そろそろ先生がくる時間だな!」
強引に話をそらしてきた。
こんなあからさまに意識されると、こっちも困ってしまう。
仕方ないな、と薫はため息をつき、広げていた両手をむなしく片付けた。
「まぁ、どうでもいいけどそろそろ席ついた方がいいんじゃない」
「えー、まだ寒いよ」
「だから英智。お前は保健室へ行け」
「ほんとそれ。教室で倒れたりしないでよねぇ?」
なんだかんだで面倒見いいんだよなぁ、と泉に感心しながら、薫が自席へ向かうと、その後を千秋が追いかけてきた。
「――羽風っ、」
「……何?」
千秋が前の席に座る。ちらっと見れば、その顔には焦りが現れていて、わかってないわけではないんだよなぁ、とほんの少しだけホッとした。
でも、今後のことを考えるとそう簡単に許してちゃだめだ。
わざと素っ気ない態度で視線を逸らしてると、机の上の自分の冷たい手に、千秋の熱い手がそっと重なった。
「お、オレだって、羽風のこと抱きしめたいんだからな……!」
ここが教室だということを忘れては居ないようだ。いつも無遠慮に大きいだけの声がぐっとひそめられる。ボリュームは小さいけど、力強さは元のままだ。
薫は真顔でそれを見つめていたが、その千秋のあまりに真剣な顔に、とうとう吹き出してしまった。
「ははっ、なにそれ」
「えっ?」
「だったらすればいいのに」
「っ……いじわるだな、お前は」
「えー、なんで?」
「むう、わかってるだろ……!」
千秋はこんな性格だから、付き合い出す前は他の皆同様スキンシップも多かったけど、こういう関係になってから急に恥ずかしがるようになった。でもそれは特別なんだと言われているようで、寂しさばかりではないのだけど。
そんな照れ屋の彼は、きゅっと薫の手を握りながら視線をさまよわせ、そしてやがて、観念したように白状した。
「は、羽風に抱きしめられたら、その……キスしたくなってしまうんだ……!」
「っ……」
驚いた。
なにそれ……そんなのずるいでしょ。
思わず赤面していると、同じくらい赤い顔で千秋が笑った。
「ははっ、顔赤いぞ。あったまったか?」
「あー、うん、違う意味でね……」
「?」
この子はほんと、どうしてくれよう。
やられてばっかりなのが気に食わなくて、重なった千秋の手の平を、指先でこっそりくすぐった。
「んっ……おい、羽風……」
「後でちゃんとあっためてね……千秋くんの中で」
「!」
*****************