生死の境さまよった男性は施設から“地域”へ 支え続ける介護福祉士の信念「当たり前に生きられる」 津久井やまゆり園入所者19人殺害事件から26日で10年
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相模原市の障害者施設「津久井やまゆり園」で入所者19人が殺害された事件からあさってで10年です。一命を取りとめた被害者の男性は施設を出て“地域”で暮らしています。その歩みを追いました。 尾野一矢さん(53)。重度の知的障害と自閉症があります。 今から10年前には、相模原市の障害者施設「津久井やまゆり園」で、入所者が次々と刺され、19人が死亡。26人が重軽傷を負いました。 一矢さんも首と腹を刺され、一時、生死の境をさまよいました。 事件を起こした元職員の植松聖死刑囚は… 植松聖 死刑囚 「意思疎通ができない人を刺した。障害者なんていなくなればいい」 その後の裁判でも障害者への差別的な言動を改めることはありませんでした。 事件から1か月後の一矢さん。 母・チキ子さん 「おにぎり食べる?」 一矢さん 「おなか痛い」 事件のショックから母親が握る大好物のおにぎりも食べようとしませんでした。 そして、事件から4年。一矢さんは施設を離れ、「地域で暮らす」という大きな一歩を踏み出しました。 30年以上、施設で過ごしてきましたが、事件の4年後、実家近くのアパートで生活を始めました。重度訪問介護制度を利用し、介護福祉士の大坪寧樹さん(58)をはじめとする介護者に支えられながら暮らしています。 今月、神戸市で開かれた集会。障害者たちが声をあげました。 「私たちは生きた心を持った1人の人間だ」 一矢さんも大坪さんとともにオンラインで参加しました。 大坪さん 「買い物のときにお話しできるようになった?」 一矢さん 「うん」 大坪さん 「買い物好き?」 一矢さん 「うん」 障害がある人も“地域で一緒に生きる”。こうした取り組みを当事者は、どう感じているのでしょうか。 介護者 「1人で暮らしてみてどうです」 「最高や」 介護者 「どういう時に良かったと思う?」 「お風呂」 介護者 「お風呂?お風呂に自由に入れる?」 「うん」 「普通に一緒に暮らしてる。世の中にいるんだよ、いろんな人が」 大坪さんは一矢さんとの暮らしをSNSなどで発信しています。 介護福祉士 大坪寧樹さん 「前は自傷で顔中が傷だらけに、血だらけになって真っ赤、そういう姿も結構あった。この生活がだいぶ板について、一矢さんにとっての自信に繋がっているのでは」 一矢さんは事件後、ドライブ中に「やまゆり園」方面に向かうだけでパニックになってしまうこともあったといいます。ただ、事件から7年を経て、初めて「やまゆり園」で献花をすることができました。 介護福祉士 大坪寧樹さん 「自分の暮らしがあることが深く納得できているので、連れ戻されるのではないかという不安がない。ここまで来るのは長い道のり」 事件から10年。インターネット上では、今も障害者への差別や偏見に基づく投稿が後を絶ちません。 介護福祉士 大坪寧樹さん 「SNSで人を誹謗中傷している人たちは、結局、自分との折り合いがついてない。自分を大事にできない人は、他者を大事にできない。すごくシンプルだけど、それが大事なんじゃないか」 一矢さんを支え続ける大坪さんには強い信念があります。 介護福祉士 大坪寧樹さん 「障害者が地域で当たり前に生きられる。それは誰にとっても生きやすい社会になるはずだっていう強い信念」 障害があっても地域で“当たり前”に暮らせる社会。一矢さんたちの歩みは、社会のあり方を問いかけています。
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