巨人のファンクラブに入っていた「生粋のG党」松本剛、応援する立場から夢与える立場に
[THE GIANTS 2026]
8日の阪神戦の試合前、松本剛(32)は少年時代の自分を見つめているような心持ちになった。ファンクラブ会員の投票で選ばれた「月間ベストヒーロー賞」の贈呈式で、巨人の野球帽とユニホームを身にまとった会員の子供から記念パネルを受け取った時だ。「自分も小学校低学年からファンクラブに入っていたので」
松井秀喜さんの大ファンで、小学校時代は埼玉県川口市の自宅から年間20試合近く、東京ドームに足を運んだ。平日にナイター観戦する日は巨人の帽子とTシャツ姿で登校し、そのまま出発。試合に勝ったら、ヒーローインタビューが終わるまで居残った。家族から「『帰ろう』と言われても、『嫌だ』と断った。勝った試合は最後まで見ていたかったから。負けた時はすごく悔しくて、翌日まで引きずっていた」と振り返る。
そんな生粋の「G党」が今季、日本ハムからフリーエージェント移籍。夢中になって応援したチームを、今度は自らの手で勝利へと導く立場になった。打撃の状態が上がらずに苦しんだ時期もあったが、下を向くことなく、20日現在、打率2割7分、12盗塁。堅い外野守備でも存在感を示す。
6月2日には適時二塁打で勝利に貢献し、かつてはスタンドから声援を送ったお立ち台に上がった。グラウンドの内側から見渡す360度の景色に格別な感慨を覚えたのと同時に、初心を思い返したそうだ。「僕は東京ドームに夢を与えてもらった。そういうふうに僕も(夢を)与えられる立場になれたらうれしい」
勝てば大喜び、負ければ悶々(もんもん)と過ごす巨人ファンの気持ちは痛いほど分かる。誓うのは、走攻守での全力プレー。今も「試合をするだけでテンションが上がる」という特別な本拠地で、大きなやりがいを胸に戦っている。(田原遼)