「俺、要る?」万能AIに無力感 「闇落ち」自覚する大学生
「自分で勉強するよりAIに聞いた方が早い。『俺、要る?』と感じます」。芝浦工業大で情報工学を学ぶ3年生の男子学生(21)は、淡々とした口調に諦めをにじませた。生成AIに甘えているため、学力低下に焦りが募る。それでもAIを使わざるを得ない、切実な事情を抱えているという。
「達成感ないのに結果出る気持ち悪さ」
男子学生は昨年11月、X(ツイッター)で「無力感がエグい。(課題を)全部AIに丸投げしたら、自分より出来が良い」などと投稿した。当時、リポート作成が深夜に及び、気付けば午前1時を越えていた。
「俺、何やっているんだろう。AIに書かせたら一発なのに」。頭に浮かんだ文書を投稿した。4万件超の「いいね」が付き、「泥臭く学習を」「AIを使うのをやめたら」と助言が相次いだ。
<今回の主な内容>
・成績を上げようとAIに依存する学生
・大学が抱えるジレンマとは
・AIに職を奪われる=「ギュられる」
・米国ではZ世代に「AI嫌い」も
<関連記事>
AI教科書VSアナログ回帰で黒板 教員の力量問われる大学教育
大学生活では当初、「AIを使うと地力が育たない」と自制してきた。しかし、友人はAIを使って課題をこなし、自分より高評価のSやAを獲得する。BやCが並ぶ自身の成績表と見比べると「ハハ、マジかと乾いた笑いがこみ上げてきた」。
約1年前からAIを本格的に使い始め、「闇落ちして流されていった」。プログラミングの課題で出題文をそのままAIに入力し、コードを書かせ、自分で修正して提出する。「達成感もないのに結果が出ている気持ち悪さ」が残る。
AIと距離を置くことはできないのか。ネックは成績評価だ。入学前から志望の研究室を決めていた。人気の研究室への配属や大学院への進学には、好成績が求められる。「成績を上げようとすればするほど、AIに甘えてしまう」。学習し直すにも「ここまで知識が抜け落ちると時間がかかり、本当にやばい」と下を向く。
芝浦工大は生成AIの利用を「推奨する」との基本方針を掲げる。ただ、具体的な使い方は授業で教わらない。「先生は課題を出すときに『AI利用は自…
この記事は有料記事です。
残り2035文字(全文2923文字)
生成AIで教育のあり方が大きく変わろうとしています。「AI新世紀」では7月31日まで、AI時代における学びの変容を報告します。