オンラインゲーム、SNS、教育子供を狙った"密室支配"の実態を被害者たちが告白! 世界中で社会問題化する「性加害グルーミング」の毒牙
加害者が「良き理解者」を装い子供を心理的に支配し、性的暴力に及ぶ「性的グルーミング」。全肯定や共感で信頼を勝ち取り、心身の境界線を溶かしていく。被害者である子供たちは相手を信じ込むため、逃げ場を失い沈黙する。そのおぞましき犯罪の実態に迫る。 【表】グルーミング5つのプロセスほか * * * 【「娘は加害者に全幅の信頼を置いていた」】 「同世代の女の子の家に行く。そう言って出かけた中学3年生の娘が実際に向かったのは、画面越しにしか会ったことのない成人男性の自宅でした」 浜村 弘さん(仮名・41歳)は、苦渋をにじませながら当時の状況を語る。娘がその男と知り合ったきっかけはアクション系のオンラインゲーム。当時、不登校気味だった娘は、一日の大半をゲームに費やし、eスポーツ分野への進路を希望していたという。 「学校になじめていない様子だったので、趣味を通じて外部にコミュニティを持つこと自体は肯定的にとらえていました。娘の趣味を否定せず、共通の話題として尊重するようにも努めました。ただ、親として相応の目配りはできているという自負が、油断につながったのかもしれません」 ある日、娘から「ゲーム友達の家に行く」と言われた。相手は同世代の女子だと聞かされていたため、素直に送り出したという。夕方、娘は門限までに何事もなかったかのように帰宅したが、その2日後に事件が発覚する。 「実は20代の男の家に行き、部屋で襲われたと打ち明けられました。ほかの友達も来ると聞いていたのに、行ってみれば男とふたりきり。 男はフォロワーを多数抱えるゲーマーでした。娘は憧れの存在に近づきたい心理を計画的に利用されたのです。オンラインで共闘し、SNSでもつながれたことで、娘は相手に全幅の信頼を置いていた」 浜村さんは有害サイトのフィルタリングなどの対策は講じていたが、娘が複数のSNSアカウントを使い分け、親の把握できない領域で交友を広げていることまでは看過していた。「厳格なルールを強いると親子関係が決裂するかも」というためらいが、結果的に加害者に隙を与えてしまったと浜村さんは後悔する。 鎌田奈緒さん(仮名・21歳)も、中学2年生の頃にSNSを通じて被害に遭った。 「当時は性被害に対する具体的なイメージがなく、警戒心が完全に欠如していました。加害者にまったく悪い印象を抱いていなかったことが、今思えば不思議であり不気味です」 当時、鎌田さんは日常の不満や趣味をSNSに投稿していた。顔写真や学年は伏せていたが、日常生活の記述から、加害者は彼女を「中学生」と特定したのだろうか。やがてDMで頻繁に雑談を交わす相手が現れる。 「相手は顔写真も出していましたが、本当に普通のおじさん。でも、何を言っても否定せず、聞き役に徹してくれる。小さなことでも肯定し、褒めてくれるんです。 毎日のようにやりとりを重ねるうち、『手を見たい』と言われ、写真を送ると『指がきれいだね』と言われました。異性から承認される経験が乏しかった私は、その甘い言葉に舞い上がってしまったというのが本音です」 要求は「私服を見たい」「顔が見たい」へとエスカレートし、最終的に裸の画像を求められた。「一生のお願い」「誰にも見せないから大丈夫」としつこく迫られ、根負けして送信してしまう。 「そのときもまだ相手を善意の人と信じていたので、関係を断つことが怖かった」 後に母親がやりとりを発見し、事態は警察沙汰となった。鎌田さんは、母親が教育熱心で家庭環境が厳格だった反動から「ありのままの自分を褒めてくれる存在」を外に求めていたという。 加害者は、こうした思春期特有の孤独感や承認欲求を入り口にして、子供の心の中へ土足で踏み込んでくる。