東京理科大学葛飾キャンパスで7月19日、朝日小学生新聞などが主催する親子向けイベント「あそび まなび かがくラボ」が開催された。
一般社団法人日本捕鯨協会は出展ブースでクジラに関する展示を行うとともに、親子向けワークショップ(WS)「知って・学んで・味わう!クジラのひみつ」を実施。講師は、東京海洋大学の中村玄氏、共同船舶株式会社代表取締役社長・所英樹氏、同社海上事業本部長・武田慎太郎氏が務めた。
全5回(同内容)で実施されたWSは、各回約70人の親子が参加。いずれも満席となり、多くの親子がクジラの生態や捕鯨、食文化について楽しみながら学んだ。
科学的な視点からクジラの能力を学ぶ
WS前半では、中村氏がクジラの種類や進化、生態について解説した。
長年クジラ類の研究に携わる中村氏は、クジラがもともと陸上で暮らしていた哺乳類であり、肉食動物から逃れるため海へ進出し、長い年月をかけて現在の姿へと進化したことを、イラストや写真を交えながらわかりやすく説明した。
また、クジラは魚ではなく哺乳類であることや、イルカもクジラの仲間であること、人間とは比較にならないほど優れた潜水能力や遊泳能力を持つことなどにも触れた。
会場からは驚きの声が上がり、子どもたちはクジラの能力に興味深く耳を傾けていた。
捕鯨の現場を知り、「食」へとつながる学び
砲手として捕鯨船に乗っていた経験を持つ武田氏は、最新技術が発達した現在でも、最終的には乗組員による目視でクジラを確認していることなど、実際の捕鯨の現場について説明。長年受け継がれてきた技術や経験が重要であることを強調した。
「捕鯨はとても難しい仕事です。今の時代はインターネットなどを通じて、さまざまな情報を簡単に得ることができます。しかし、実際の現場で培われる感覚や技術は、知識を得るだけでは身につきません。長い時間をかけて経験を積み、失敗や試行錯誤を重ねながら磨かれていくものです」と語った。
そして、「すぐに答えを求めるのではなく、自分で考え、挑戦し続ける気持ちを大切にしてほしい。そうした姿勢を持って、これから成長していってほしい」と、子どもたちへメッセージを送った。
最後に登壇した所氏は、食材としてのクジラ肉や鯨油の特徴について解説した。
クジラ肉は高たんぱく・低脂質であることに加え、EPA・DHAなどのオメガ3脂肪酸を豊富に含む鯨油や、クジラ肉特有の成分「バレニン」などを紹介した。
また、クジラ肉や鯨油については近年研究が進み、新たな健康機能性も明らかになりつつあることに触れた上で、栄養価の高い食材として、今後さらに流通を広げていきたいとの考えを示した。
子どもたちから次々と質問、展示会場も盛況
WSでは質問コーナーも設けられ、多くの子どもたちが積極的に手を挙げた。
「どうしてそんなに深く潜れるの?」「クジラを食べたいけど、どこで食べられるの?」「クジラ肉はいくらで買えるの?」など、クジラの生態や食に関する質問が相次ぎ、講師らは一つひとつの疑問に、子どもたちにも理解できる言葉で丁寧に答えた。
WS終了後も、協会の展示ブースには多くの親子が訪れた。クジラのヒゲや歯、骨などの標本展示をはじめ、クジラの解体動画など捕鯨に関する展示にも多くの人が足を止め、スタッフへ熱心に質問する姿が見られた。
屋外に設けられたクジラのタンシチューの試食コーナーも終日にぎわいを見せた。
参加した子どもたちは、クジラの生態や捕鯨の現場、そして食文化について理解を深めるとともに、「食べること」と「命をいただくこと」について考えるきっかけを得た。