官民ファンド「クールジャパン機構(CJ機構)」が、破綻を迎えようとしている。今年6月時点での累積赤字は540億円に上り、政府は7月中にも統廃合に向けた検討会を設置。年内に取りまとめを行う方針だ。元取締役の1人は、こう悔しさを滲ませる。

【実際の写真】ドバイで何年も「工事中」が続いた築地銀だこ

「こんなやり方では失敗すると、何度スタッフに言ったことか」

 CJ機構が大失敗に終わった要因とは――。


発足式典には当時の甘利経済再生担当相(右)も

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「初期は出資を受ければ箔が付くと思って、企業がこぞって相談に行きましたが、失敗が続き、『むしろ出資を受けないほうがいいんじゃないか』と囁かれるように」(出資受け入れを検討した企業の担当者)

「ドバイ案件」代表者が消息不明に

 その懸念が現実となった“黒歴史”が、ドバイを巡る案件だ。

 CJ機構は約3億円を投じ、ドバイの投資会社と共同出資して現地法人「シファーニッポン」を設立すると発表。外食チェーン「牛角」や「築地銀だこ」、ラーメンチェーン「屯ちん」の中東展開を目指したが、「いずれも進出計画は頓挫しました」(ドバイ駐在員)。

「屯ちん」を手掛けるフーデックスホールディングスに尋ねると、シファーを紹介したのはCJ機構だったという。代表者の家系がドバイ建国に関係していて身元が確かなことや、すでに日本産牛肉の輸入ビジネスを手掛けていたこともあり、契約を決めた。

 担当者3名がドバイに渡り、市場調査やメニュー開発の会議も実施。ところが、帰国して出店候補の物件を検討していた17年、「シファーの代表者と突然連絡が取れなくなりました。CJ機構にも確認し、現地大使館を通じて調査いただきましたが、現在も所在は不明のままです」(フーデックス担当者)。

 CJ機構からは年に1回程度、近況確認の連絡があったものの、コロナ禍以降は連絡が途絶えたという。CJ機構が紹介した企業が“消息不明”となり、頓挫した案件。シファーと契約した他の2社はこう答えた。

「シファーによる出店計画が一向に進展しなかったことから、フランチャイズ契約の条項に基づき契約関係は終了しています」(牛角を運営するコロワイド)

「シファー側の事情で出店には至りませんでした」(築地銀だこを運営するホットランドホールディングス)

「なぜそんな怪しい会社を起用したのか」

 CJ機構に尋ねると、「シファーへの出資は実行していない」と回答。一度は決定したが、実際には出資せず、CJ機構も撤退したということだ。

 前出のドバイ駐在員が嘆息する。

「なぜそんな怪しい会社を起用したのか。『牛角』はシファーとの契約が切れるまで他の現地法人との契約もできず、ようやくドバイに進出できたのは24年のこと。『銀だこ』も、ドバイのモールに工事中の看板が何年もかけられたままだった。ある担当者は『CJ機構はいないほうがマシだった』と怒り心頭でした」

《この続きでは、機構の舵取りも担った世耕弘成氏が分析する失敗の要因、ショッピングモール事業やコンテンツ事業での大失敗の背景、大コケした吉本興業とのプロジェクト、森岡毅CEOが率いる株式会社「刀」やスパイバーなどへの出資が失敗に終わった経緯を問題出資先のリスト付きで詳しく報じている。この記事の全文は「週刊文春 電子版」および7月23日発売の「週刊文春」で読むことができる》

(「週刊文春」編集部/週刊文春 2026年7月30日号)