株式会社日ソ貿易 旧ソ連、ロシア専門商社
旧ソ連、ロシア専門商社の株式会社日ソ貿易です。
突然ですがNoteを始めました。
最近、実際に会う方々からSNS発信はやってないんですか?という話をよくされます。そういう時は「実はSNS発信はやっているんですが諸事情につき発信が難しくて…」と言ってごまかしていました。正直たまに気になるニュースがあれば発信する程度であまり積極的な発信をしていませんでした。
Xの運用を始めた時はロシアについて気楽に発信できればと考え、そこまで内容の確認をせずに実際にあった出来事などを発信していました。ですが、2022年2月以降あらゆる方面へ気を使いながらの発信をせざるを得なくなりました。
その結果1ポストに対する推敲の負荷が重くのしかかり、業務の合間に発信するというわけにいかなくなってきました。特に誤解のないように書こうとすると文字数が増えていき、文字を削る作業が時間と労力を奪い長らく発信ができていませんでした。
と、言い訳はいいんだよ言い訳は…
改めてロシア専門商社の日ソ貿易がなぜ情報発信をしているのか、その背景を説明したいと思います。
①日ソ貿易の生存確認
2022年2月以降ロシア・ウクライナ情勢は収束せず日に日に状況は悪くなっていっています。テレビではロシアに対する制裁、戦況、ウクライナ支援といった内容が連日報道され、著名人がロシアへ渡航しようものなら「戦時下のロシアへ訪問!」と大きな見出しがつけられます。
外務省のホームページではロシア全土に渡航中止勧告(レベル3)が出ている状況なので一般的に弊社のようなロシアとの貿易に特化した企業の存在は忘れられがちですし、そもそもロシア企業との取引ができなくなっていると思っている方も多くいらっしゃいます。
弊社は1973年からソ連貿易が事業の中心で、その界隈では昔から知っている方もいらっしゃいます。そんな中ある方から「え!?まだ事業継続できてるんですか!?てっきりこの状況ですから事業をたたんでいると思っていました(笑)」というようなことを言われました。
いや、まぁよくわかるんですよ、気持ちは。弊社だって他のロシアを専門に商売している会社がこの状況でどうやって生き残っているのか不思議に思うくらいですから。
それと同時に、あれ?もしかして廃業したと思われてる?
と疑問になりました。
ロシア企業との取引をしたいがこの情勢下でどうすればよいのか迷っている企業が弊社のことを見つけても「さすがにこの情勢だし廃業しているよな」と問い合わせをやめていては機会損失です。
なので「日ソ貿易はまだ営業中です」ということを皆さんに伝えるためにNoteでの発信を始めることにしました。
②ロシア貿易のリアル
弊社にとってはロシアという国があまりにも身近で時々感覚がマヒしていると感じることがあります。ヨーロッパとの輸出入をしているとそれが如実に感じます。グループAと呼ばれる国々からの輸出入、海外送金、あらゆる手続きや審査などは非常に円滑に進めることができ「本来貿易ってこうあるべきだよな」と先人が整えてくれた制度に感動する場面が多々あります。
1.輸出令別表第3の地域(通称、グループAという。)
アルゼンチン、オーストラリア、オーストリア、ベルギー、ブルガリア、カナダ、チェコ、デンマーク、フィンランド、フランス、ドイツ、ギリシャ、ハンガリー、アイルランド、イタリア、大韓民国、ルクセンブルグ、オランダ、ニュージーランド、ノルウェー、ポーランド、ポルトガル、スペイン、スウェーデン、スイス、英国、アメリカ合衆国の27カ国をいう。 (2026年3月現在)
一方でロシア企業と貿易をしていると、上記のグループA国との取引では想定できないような問題が次々と起こっていきます。対ロシア制裁との関係でHSコードの選定が厳格なことや、クーリエがロシアを仕向け地とする輸送を断るとか、保険の適用ができない場合があるとか、急に大統領が特定の商品の輸出を禁止したりなどなど… 枚挙にいとまがありません。
こういった環境で貿易業をしていると、明日商品の輸出入ができなくなるのではという不安が絶えません。実際に弊社がロシア向けに出していた商品の中には輸出ができなくなり、制裁解除まで永久に倉庫に眠る運命をたどった商品もあるほどです。
ロシア貿易ならではの一例をあげます。下記のПостановление(政令)をご覧ください。
これは2023年に突然発表された為替連動型の輸出関税を課しますという政令です。あまりにも急なことだったので情報の整理に奔走したのを覚えています。肝となるのはこの政令のP2~P4にかけての部分で、ルーブルの対ドルレートによって輸出時の関税が変動して課されるという点です。
ロシアの輸出者は当然この分を価格に上乗せするか、補填してくれと弊社に言ってくるわけです。そんなのそちらの事情でしょう?と突っぱねるわけにはいきませんからお客様に政令のことを丁寧に説明しどのように値上げ分の折り合いをつけるのかを相談する必要があります。
幸いなことに弊社のお客様はロシアとは長いお付き合いの方が多く、理解していただけますがこういった突然の措置に慣れていないと混乱するに決まっています。
そしてP7にはこの政令は2024年12月31日まで効果を有するとあり、2024年12月31日以降なんの更新もなくしれっと効力が切れています。
もしロシア企業と取引をしていて、この為替連動型輸出税分の値上げをしたままでいる場合、もしかするとその分多めに支払っているケースもあるのかもしれません。
弊社の営業部は全員ロシア語を理解でき、且つ一円でも損したくないという守銭奴が多いですからこういった部分の見逃しはありません。
この件について言いたいことはまだあるのですが、これ以上は話がそれそうなのでここまでにしておきます。要するにロシア貿易はこういった苦労の連続だということです。これからもめげずに頑張りたいと思います。
③問い合わせ対応と宣伝
弊社は営利企業です。営利企業の目標は売上を上げて利益を残すことにあります。中の人個人的には頂戴する問い合わせ、例えばАлкоголик(アル中)からの「ロシア産ウォッカを一本輸入してください」にも対応したいと思うのですが、この情勢下、ロシアから正規ルートでの輸入は複雑化しており柔軟な対応ができかねるというのが現状です。具体的には下記の3つの理由でお断りしています。
A.対ロ商品輸出入の煩雑化
日ロ間の輸出入の審査はものすごく厳格化されていて、契約書など書類が全てつじつまが合うように揃えていなければなりません。貿易業に従事されている方であればよくわかると思いますが、この商品やサンプルがどこから来て、その支払い代金はどこから充当して……あれ、この支払いってA社からだっけ?という具合に、ポケットの中で絡まっているイヤホン並みにごちゃごちゃしていることはよくあります。
ですが、ロシアとの貿易をするのであればそうであってはいけません。この入金の何%がどの商品の輸入に使われたか、その%の根拠となる契約、インボイス、メールの本文(ロシア語からの翻訳)に至るまで、全て整理し要望があれば提出する必要があります。
それも輸出通関時の税関からの要望だったり、海外送金時の金融機関からの要望だったりするので迅速に返答する必要があり、当然曖昧な回答は許されません。ですので、これらの書類を準備してもらうようにロシア側、日本側双方と事前にすり合わせをする必要があります。どちらか一方がこの取引の価値を感じられず、対応ができないという場合はその時点で輸出入の対応をお断りするということになります。
B.金融機関審査の厳格化
輸出入をするためにはそれに伴ってお金のやり取りが必要です。アラブの石油王ほどお金持ちであっても、石油だけ送ってお金はいらないとは口が裂けても言わないでしょう。さらに海外とのお金のやり取りとなると、アタッシュケースに現金を詰め込んで直接持っていくわけにもいきませんので必ず海外の銀行を経由してのやりとりとなります。
その際にロシアが絡んでくると、経由銀行も含めすべての銀行がこの取引が米国やEUの制裁に抵触しないかどうかを入念にチェックします。なぜ、第三国の金融機関であっても米国やEUの制裁をチェックするかというと、万が一制裁に抵触した取引をしてしまえば米国やEUから取引停止の制裁を課されることになり莫大な損失が発生してしまうからです。
一見すると仲の良い中国の銀行ですら、日本の銀行よりも審査が厳しかったなんてこともありました。また、新たにロシアの企業と取引するために金融機関に話を持っていくと、銀行送金を一切受け付けてくれないという話を聞きます。触らぬ神に祟りなしということなのでしょう。
さらに、ロシア企業のメインバンクはロシアの大手銀行という場合が多いです。ロシアのほとんどの大手銀行は米国やEUの制裁対象となっており取引そのものが禁止されています。その場合は制裁に入っていない特定の銀行に口座開設を依頼しなければいけません。少量の輸出入のために対応するには手間がかかりすぎるという理由でロシア側が応じてくれないというケースもよくあります。
C.制裁対象品、又は制裁対象企業からの輸出入
日本政府は米欧と協調しロシアに対して制裁を課しています。輸出入禁止措置、制裁対象企業との取引の禁止、特定の商品の輸入上限価格を決めるプライスキャップ制度、特定個人や企業の資産凍結が主な制裁の内容になっています。貿易従事者にとっては輸出入禁止措置と制裁対象企業との取引の禁止が一番注意すべき制裁です。
経済産業省には対ロシア等制裁関連のページがあり、そこに制裁に関する文書が載っています。なお、ここで「等」とあるのは、ベラルーシも含まれるからです。
https://www.meti.go.jp/policy/external_economy/trade_control/01_seido/04_seisai/crimea.html
こちらには制裁にかかわる資料が掲載されており、輸出入の問い合わせをいただいた際はまずここを確認しています。HS-Codeを使用して照合できるようになっているので気になる方はチェックしてみてもよいかと思います。
ぱっと見でも理解できるように、輸入よりも輸出の方が圧倒的に品目が多いです。ロシアへの輸出禁止品目は軍事転用可能な高度な機器から、フォークやスプーン、人形やパズルに至るまで広範囲にわたります。一方輸入禁止品目は限られており、一部木材や電気・機械製品、アルコール類と限定されています。
ウォッカのHs-Codeは22.08です。輸入禁止の品目を確認すると22.08の記載があります。つまり、ロシア産ウォッカはロシアから輸入を禁止されているということになります。冒頭の「ロシア産ウォッカを一本輸入してください」という切実な問い合わせは残念ながら対ロシア制裁品目のため輸入ができないと断らざるを得ません。
④おわりに
長々と語りましたがここまで読んでいただきありがとうございます。
ロシアはなんだかんだでお隣さんであり、資源のない日本にとっては切っても切り離せない関係にあります。国を丸ごと別の場所へ引越しをするわけにはいきませんので、これからもお付き合いをする必要があるかと思います。
ロシアとの交流の歴史は長く、中にはロシアとの交流を絶やさないよう邁進している方々も多くいらっしゃいます。残念ながら諸事情でロシアとの取引ができなくなったという方もおります。
当社も微力ながらこの繋がりを継続できるようなお手伝いできればとおもっています。
もし何かロシアビジネスでお困りの方がいれば下記の問い合わせフォームからお問い合わせください。
それでは!


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