数日後。
昼休み。
何気なくメールを開いた瞬間、目を疑った。
『ご当選おめでとうございます。』
「…………え?」
思わず声が漏れる。
何度読み返しても、内容は変わらない。
6SHOT撮影会。
当選。
(え、待って。)
(当たった。)
(え、本当に?)
嬉しい。
ものすごく嬉しい。
でも、それと同時に。
「……どうしよう。」
胸の奥がざわついた。
よりによってグルショなんて
会場でファンとして会うことになる。
隣人として毎日顔を合わせている吉田さんと。
(バレる……?)
今まで隠してきたことが。
“吉田仁人だと最初から知っていたこと”も。
“M!LKのファンだということ”も。
全部。
嬉しいはずなのに、不安の方が少しだけ大きかった。
________
その夜。
マンションへ帰ると、偶然にも玄関先で吉田さんと鉢合わせた。
「おかえり。」
「……ただいまです。」
いつも通り笑おうとしたのに、少しだけぎこちなくなる。
「どうかしたの?」
「え?」
「なんか元気ない?」
「そんなことないですよ。」
咄嗟に笑ってみせる。
吉田さんは少し不思議そうな顔をしたものの、それ以上は何も聞かなかった。
「じゃあ、おやすみ。」
「おやすみなさい。」
ドアが閉まる。
私はその場で深く息を吐いた。
(あと少し。)
(あと少しで……。)
隣人として過ごしてきた穏やかな日々が、大きく動き始めようとしていた。
編集部コメント
主人公は鈍感で口下手ではあるものの『コミュ障』というほどではないので、キャラの作り込みに関しては一考の余地があるものの、楽曲テーマ、オーディオドラマ前提、登場人物の数などの制約が多いコンテストにおいて、条件内できちんと可愛らしくまとまっているお話でした!<br />転校生、幼馴染、親友といった王道ポジションのキャラたちがストーリーの中でそれぞれの役割を果たし、ハッピーな読後感に仕上がっています。