第2話

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2026/07/06 13:20 更新


休日。




近所のスーパーで買い物を済ませ、両手いっぱいの袋を抱えて歩いていると、





「重そう。」





聞き慣れた声がした。




「あ。」





吉田さんだった。








私服姿の仁人はテレビで見るよりずっとラフで、どこにでもいる青年のようだった。





「持つよ。」



「大丈夫です!」



「いや、大丈夫じゃないでしょ。」






笑いながら自然に袋を一つ持ってくれる。






「ありがとうございます……。」



「仕事帰り?」



「今日は休みです。」



「俺も。」









並んで歩きながら、他愛もない話をする。

スーパーの特売。

近くに新しくできたカフェ。

駅前のパン屋。





アイドルと話しているなんて思えないくらい、普通の会話。

それが逆に不思議だった。






「ここ、住みやすいよね。」



「そうですね。」



「俺、引っ越してきて正解だった。」







その言葉に少しだけ胸が温かくなる。






「私も、このマンション好きなんです」



「へえ。」



「静かだし、駅も近いし。」



「分かる。」








目が合って、二人とも笑う。



こんな何気ない時間が、少しずつ増えていった。







それからというもの。




朝会えば、


「行ってきます。」

「行ってらっしゃい。」



夜なら、


「今日も遅かった?」

「ちょっと残業でした。」




休日なら、


「これ、おすすめのお菓子。」

「ありがとうございます。」


気付けば、お土産を渡し合うような関係になっていた。









もちろん、お互いの部屋へ入ることはない。



連絡先も交換していない。



あくまで”仲のいい隣人”



その距離感が心地よかった。




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