★★★【ゲーム評】Assassin’s Creed Shadows 弥助騒動に思うこと 後篇

前篇からのつづき

火に(変な)油を注いだ奴ら

というのも、この件についてコメントを出している日本人の(外国人も)質が変わってきたのである。どう見てもゲーマーでもないし、ACもプレイしたことがなさそうな連中が、尻馬に乗ってはしゃぎ始めると、もう論点がメチャクチャになり、何の論争かわからなくなってきたのだ。
元は「ACS対日本人」の争いだったのに、いつの間にか「白人対日本人」「黒人対日本人」「外人対日本人」の場外乱闘が始まって収拾が付かなくなった。

そのひとつが著作権問題。UBIが公表したトレーラーやコンセプトアートから、間違い探しみたいにネットから落として利用したであろう画像を拾って、著作権侵害とか文化盗用とか騒ぎ始めたのだ。

これ、詳しく説明すると長くなるが、日本人は異常に著作権にうるさく、しばしば盗用問題で炎上するが、このレベルの拝借に関しては欧米はずっと甘い。
たとえばゲームのMODに既存のアニメキャラを使うようなことは、昔から普通に行われてきたがお目こぼしされてきた。さすがにパルワールドのMODでキャラをポケモンに変えるやつは消されたが(笑)。任天堂の怒りを恐れたか。

ところが日本だとこういう版権ものの扱いには異常に気を遣う。そのくせコミケでは明らかに原作者の許可を得てないうえに原作を冒涜破壊するようなエロ同人誌が堂々と売られている。表向きギャンブルも売春も御法度なのに、パチンコ屋やソープは堂々と営業してるようなもんだな。そういう裏表で顔が違うところがだめなんだよ、日本は。
そこは海外からもめっちゃ突っ込まれてた。ていうか、日本人が著作権を振りかざすこと自体、嘲笑される。昔から日本は(というか東アジアは)パクリ天国という印象だし、諸外国から派手にパクって成り上がった国という印象だから。

私は『エセ著作権事件簿』(友利昴著)という本を読んだのだが、これはこの手のネットで炎上した著作権問題を大量に集めて裁判結果などを検証した本。中には私も取り上げた東京オリンピックのエンブレムの話とかもあったのだが、意外なことにそのほぼすべてが法的にはなんら問題ないという結論だった。
なのに日本人は「盗用」という言葉を聞くと異常に騒ぐんだよね。自分も絵とか描く人が多いからだろうか?

UBIに使われた画像の中には、東大寺の仏像とか、その他文化財も含まれていたそうで、そういうところはサイトに「画像その他の無断使用を禁ず」うんぬんの文言を必ず入れている。そこで東大寺に突撃して「こんなことされてますよー。どうするんですか?」と訊ねるアホが大量にいたらしい。
もちろんここで言う無断使用というのは、「東大寺まんじゅう」とか「大仏抱き枕」とかを勝手に作って、まるでお寺の公認であるかのように売りさばく輩を牽制するためのもので、そんな(日本ではほとんど)誰も知らないゲームの、一瞬しか映らないちっぽけな画像でどうすると迫られたってお寺も困ってしまうだろう。

まあ誰でもネットで拾えるような画像を切り貼りして作ってるという時点で、UBIも程度低いなーとは思うが。よっぽど給料安いか、納期がきつかったのかなとしか。(噂ではこれ以前から会社全体がガタガタで、ひどい有り様になってるらしい)

愚民の時代

それと同時に、「キャベツの人」の動画が当たったのを見たからか、YouTubeには似たような動画があふれかえった。その多くが最近よく見かけるスキャンダルとか炎上とかに便乗してコピペだけで作った動画に、でっかい赤字の扇情的なタイトルやサムネを付けたもの

もうすでに弥助問題自体がそうやって消費されるネタになってるし、まじめに考えてた人やまじめに怒ってた人が離れる頃合いだね。私もそれ以上YouTubeを見る気が失せたし。もともと私はAC自体にも(映画を除き)ほとんど思い入れないし、こんな不愉快なゲームは買わなきゃいいだけだしね。

だってゲームこそ「いやなら見るな」の最たるものじゃない? 広告とかならいやでも目に入ってしまうと言えるけど、なにしろゲームは高い金出して、わざわざダウンロードして、インストールして、ログインしないとできないんだから。

しかしそうも言ってられないのが恐ろしい。何がポリコレをここまで増長させたかというと、それはこの手のお調子者の愚民である。まともな知性の持ち主はまさかこんな言いがかりが世界的現象にまで発展するとは思ってなかった。
でも世界に向かって発信できるのは選ばれた専門家や有名人だけだった昔と違って、今はまさにその愚かな人たちが発信手段を握っている。そして数は力なのである。理性の声なんかバカの大群の遠吠えに飲み込まれれば誰にも届かない

私はいろんな意味でスマホが嫌いだが、人類の平均IQをかなり下げたというのが最大の罪だと思う。
だから「へー、スチュワーデスってもう古いんだ。フライトアテンダントってなんかかっこいいじゃん!」とか、「ゲイの権利けっこうじゃない。BL大好きだし」いうレベルの人たちが結果としてポリコレを後押ししたからこそ、こういう事態になっている。
(私はゲイの権利を否定しているわけではない。何もわかってないバカとそれを利用して金儲けするポリコレ業者を非難しているだけ。ゲイ小説については2本の論文を発表している)

その証拠は今回の騒動でもしばしば見た。
たとえば、歴史ゲームの検証といえば、YouTuberのMetatron(メタトロン)である。Metatronとは何者かというと英語を流暢に話すイタリア人男性(日本語もかなり話せるらしい)で、私は「自分の学生が‥‥」と言うのを聞いたことがあるような気がするので日本の大学教授だと思っていたが、今回念のためChatGPTに聞いたら(ChatGPTは少なくともGoogleよりは頼りになるということを知ったので最近よく使っている)大学に籍はなくあくまでYouTuber専業らしい。日本に住んでいるのも日本文化のファンだかららしく、サムライニンジャは彼の十八番

とにかく話の内容からアカデミックな教育を受けたか、すごい勉強している人という印象。(実は英語で日本文化の解説をしている外国人も多いのだが、中にはかなり怪しい人もいるので)

さらに彼は熱狂的なゲーマーで、歴史ゲーム(時には映画やテレビ映画も)の中の、史実との矛盾や、あるいはどこまで史実に忠実かを、資料を紐解いて解説するビデオを大量に上げている。
私は歴史にはそこまで興味がないが、ゲーム好きだし日本とヨーロッパの中世(要するに侍と騎士)に興味があるので以前からよく視聴している。(ちなみに私は日本のことは何も知らないと書いたが、それは『忠臣蔵』みたいなフィクションに興味がないだけで、『平家物語』に始まる軍記物語はすべて読破している。大昔のことだから内容ほとんど覚えてないけど)

私の知る限り、ACSと弥助問題に最初に言及したのもMetatronで、ACSの発売が決まるよりずっと前にも弥助についてのビデオを作っていた
ところがこの騒動の中で、Metatronに言及した日本語コメントはひとつも見ない。洋ゲーの考証に興味があるなら、その元祖にして第一人者のMetatronを知らないはずがないのに。と思ったら、英語だから見ないだけか。洋ゲーやる人って英語ぐらい当然ある程度できると思ってたけど違うのね。

そればかりかこの手のバカがMetatronのビデオにも特攻しておじさんぶち切れ。(hot-bloodedのイタリア人らしく沸点はかなり低い) だって彼のSNSやビデオのコメントに「どうせゲームなんかやったこともない日本がどこにあるかも知らないおっさんが金儲けのために作ったんだろ」とか言ってくるそうだから。この人はその専門家だって!
こういう奴はビデオをまったく見ずにサムネだけ見て書いてるんだろうな。まあ確かにルックスだけ見てしゃべるのを聞かないと、ただのヘビメタおやじにしか見えないルックスですが(笑)。

これも私も経験あるので気持ちはわかる。私もイギリスのことや英語関係について(YouTubeに限らず)あまりにひどい間違いがあると、よせばいいのに我慢できなくてコメントで指摘したりすることがあるのだが、それに対するコメントが「違うでしょ。もっとよく勉強してから書き込んで下さい」みたいなことがあってぶち切れるから(笑)。
中卒無職のスマホ戦士の分際で、この道50年、今も早稲田で講義している私に勉強しろだと?!!!(すみません。怒りのあまりつい本音が出てしまいました) 相手の顔が見えない、匿名のネットってこういうことがあるから怖いね。

結局こういう炎上に便乗する大多数の日本人って、別に黒人差別主義者でもなければ、真剣に文化盗用を憂えているわけでもない。ただのゼノフォービア(外国人恐怖症)
なぜか知らんが、外国人(それも特に白人黒人)を前にすると異常にビビって、「攻撃される!」と思い込み、なおかつ負けまいとしてか過度に攻撃的になる人がいるんだよね。

しかし大正時代ならわかるけど、これだけ国際化が進んだ現代でも多いからびっくりする。それも田舎のジジババならまだしも、東京の大学関係者でもいるからね。実を言うと昔勤めていた大学の学長がそうだったので驚いた。

彼の考えでは外国人教師は(日本人もだけど)ろくでもないことしか考えてないから増長しないようにつねに監視して釘を刺しておく必要がある。でも英語学科だから外国人を雇わないわけにはいかない。
あと自分は英語できないが、英語の教師は日本人でも全員「敵」の味方で信用できないから、通訳させても嘘を言うに違いない。
だから、外国人教師との話し合いの場では自分で雇った通訳を呼ぶ。というすごい疑心暗鬼のかたまりで、本当にサイマルの通訳連れてきたから驚いた。
サイマルの人もなんで英語科の教授会で通訳が呼ばれるのかわからなかっただろうし、ここの大学教授は英語科のくせに誰も英語しゃべれないのかと思われてるに違いないと思うと恥ずかしくてしょうがなかった。

ジジイだったけど老人ボケや統合失調症じゃないよ。ただ、シベリア抑留帰りだったので、ロシア人のみならず白人一般に恨みを持ってた可能性はある。でも今の人は極寒のシベリアで食べ物も与えられず強制労働をさせられたとか、親を南洋で殺されたとか、そういうんじゃないよね?

にもかかわらず、学生にもいる。自分の大学(しかも彼女が言うには知ってる学生だと言う)の外国人教員に面と向かって「おまえらのような奴らが日本の血を汚すんだ。アメリカに帰れ!」と言うような学生が存在するのだそうだ。(ちなみに彼女はイタリア人でイタリア語を教えている)
私には真性のキチガイとしか思えないし、大学はすぐに親を呼びつけて面談をすべきだし、親はすぐに病院に連れて行くべきだと思ったが、なにしろ日大(笑)だったから何もしない。

日頃外国人が身近にいて接しててもこれだから、まして外人なんて見たこともないスマホ戦士の皆さんには、こういうこと(話がそれまくってるが弥助問題)があると、突然外国から攻撃でも受けた気分になるんだろうな。
だから、そういうビデオのコメント欄は外人ヘイト、黒人ヘイト、フランスヘイトのコメントであふれかえった。これを読んでると、どうやら外国人はすべて日本を憎悪していて、隙あらば日本を滅ぼそうと狙っている悪の組織らしい。
さらに弥助が黒人だったために黒人も共犯にされてしまい、日本国内の黒人差別を助長した面もある。弥助もとんだとばっちりである。

それでもおもしろいのは、こういう奴らが最近は「差別」という言葉を覚えたようで、やたらと「日本人差別だ!」とか「東洋人差別だ!」と騒いでいるのも笑える。これまでそういう差別がなかったとでも思ってるのかい?

という話はここ(↓)でしたので繰り返さないが、今でこそ変にヨイショされてるが、日本は国際的にめっちゃくちゃ印象悪かったし、日本人を好きな外国人自体が稀だったんだよ。
特に海外の御同類(こういうデマに扇動されやすい愚民)はそれこそ日中韓の区別なんか付かないが、中でも日本は悪の親玉だった。主として太平洋戦争中の日本軍の残虐行為と、(ちょうど今の中国人みたいに)バブル期に世界中のほっぺたを札束で引っぱたいてまわったせいと、(ちょうど今の中国人みたいに)民度やマナーが最低だったからだけど。
それがちょっとばかり先進国に近づいたぐらいで忘れられるはずがない。

むしろフランスなんかは昔から日本の文化・芸術にいちばん理解があったんだけどね。ジャポニズムって知ってる?

そういえば(パリ・オリンピックが始まったせいもあり)フランス憎し・フランス蔑視で盛り上がってたが、このゲームは同じUBIでもカナダ支社が一手引き受けで作ったもので(まあケベックはフランスの植民地みたいなもんだけど)、ついでにSweet Babyの創始者もカナダ人なので、恨むならカナダだろうと思うのだが、こういう連中には区別が付かないから。
いや、意地悪で言ってるわけではない。フランスとカナダの違いがわからない人ぐらいあたりまえなのだ。だって大学生でもわかってないやつ多数だから。

昔勤めていた大学の学生なんか、黒人が出てくる映画はすべてアフリカ映画だと思っていた。黒人はアフリカにしかいないんだそうだ。だって日本で黒人なんて見たことないから。ああいう子がACSを見たらたぶんあれもアフリカの話だと思うはず(笑)。これある意味おもしろすぎて天才かも。

もちろん炎上には生贄が必要

それで混沌としてきて誰が何と戦ってるのかわからなくなってきた時点で、誰かがかっこうの生贄を見つけてきた。それが日本大学法学部准教授のトマス・ロックリーで、『信長と弥助 本能寺を生き延びた黒人侍』(日本語でのみ出版)、共著で『African Samurai: The True Story of Yasuke, a Legendary Black Warrior in Feudal Japan(アフリカ人侍:封建制日本の伝説の黒人戦士、弥助の真実)』がある。

どうやら英語で弥助について書かれた本は彼の著作しかないらしい。それもそのはず、一次史料と言えるものは数ページしかないから、研究しようにも史料がない。当然日本の歴史家も取り上げない。教科書にも載ってない。
日本史には詳しくないとはいえ、私ほどの読書家が、弥助なんていい年になるまで聞いたこともなかった。私が弥助を知ったのはたぶん漫画で、『へうげもの』だったかな。いやそれよりは前のもっとマイナーな漫画だったか。

それで「伝説の黒人侍、弥助」像を作ったのはこのロックリーである。UBIは当然ゲームを作るときも彼の本には目を通しているだろう。
ただ巧妙なのは、彼は日本人向けの本ではこれはあくまで事実に想像で肉付けした小説であると断っているのに、海外向けの本はフィクションとは一言も言わず、事実であるかのように見せかけているのだそうだ。(それでタイトルからしてまじめな研究書っぽいから絶対だまされるだろうな)

そりゃ日本でこんな本出せば、歴史マニアや歴史学者から総突っ込みが入るし、日大の教授連の目にも入るだろうから予防線を張ったが、英語ならどうせ日本人は誰も読まないだろうという目論見だったんだろう。

彼の気持ちもわかる。日本に来て弥助について知り、しかも弥助の存在が海外ではまったく知られてないことに気づいたら、これは金の鉱脈を発見したと思うだろう。私なら思う(笑)。
それでもちょっと調べれば本にするほど中味がないことがわかるから、じゃあ小説風の読み物にというわけ。(欧米ではこういうノンフィクションの形をとった小説はわりとよくある。特に多重人格者ものに多くて私も何度かだまされて買っちゃったという話は前にもした。ただどれも小説としてはすごいおもしろいんだなあ)

そこへACSが発売されれば、全世界の注目を浴びてウハウハというところまで想像はしてただろうが、こんな総スカンにあうというのは予想してなかったのでは?

とにかく、弥助に興味を持つ外国人は彼の本と英語Wikiを頼りにしていたのだが、この騒動の渦中に日本のネット探偵が、ある時期から英語Wikiの弥助の項目が頻繁に更新されていることに気づく。その修正を行っている人のハンドルはTottori Tomで、トム・ロックリーはもともと鳥取の小学校のALT(外国語指導助手)として来日している。しかもTottori TomがWikiで出典としていたのはすべてロックリーの著書。
つまりとんだマッチポンプだったわけだ。(火を付けたのはロックリーじゃないからマッチポンプはおかしいか。しかし情況から言って、本当に自分に火を付けたみたいにも見える)

私はもちろん彼の本は読んでないが、最初に日大准教授と聞いて、「ああ、さもありなん」と思ってしまった。

それぐらい日大の教職員の質は嘆かわしいものなんで。日大にはかれこれ30年はお世話になったのに後足で砂をかけるようなまねはしたくないが、一切擁護の余地がないぐらいひどいんだわ、あそこは。
学生には優秀な人もいるのにね。医学部や芸術学部には。でもそれ以外はゴミ。大学の体質がありえないほどひどすぎるんで。
一連のニュースになったスキャンダルなんか本当に氷山の一角。本当はもっともっとひどい話をいっぱい聞いてるが、それはさすがにここには書けない

これを言っちゃおしまいだが、だいたい日本の大学の質自体が低いからね。だから日本を知らない人は大学教授が書いた本と聞けば、いくらなんでも信頼できると思うはずだが、実情を知ってる私は日大と聞いただけで「やっぱりね」と思うわけ。他の大学も問題はあるが、日大は群を抜いてナンバーワンだから(笑)。(有名大ではってこと。地方の同族経営みたいな小さい無名大学はもっとめちゃくちゃで、私のいたところも東京だがそのたぐいだった)

それに加えて、そもそもおしなべて日本の大学の外国人の質は良くない。考えてもほしい。日本についての研究家か、よっぽどの日本好きでないかぎり、誰が好きこのんで日本なんか来るかっての。給料は安いし、雑用は多いし、学内政治は日本人の理解も超えてるのに。

もちろん日本の外国人教授にもすばらしい人はたくさんいるし、日本人よりまじめで勤勉な人もいる。だけど、それと同じぐらい「不良外人」をつかまされることも多いのだ。それで苦労してるという話はいろんな大学の人から聞いた。ぜんぜん大学に来ないやつもいた(笑)。それでも犯罪でも起こさない限り、なかなか教授の首を切るのはむずかしいのだ。

私が日大S工学部に勤めていたときも友達(日本人で私と同じ非常勤講師)が被害に遭った。彼女のクラスの学生がある外国人講師(これも非常勤)について、ちゃんと授業をやらないという苦情を言いに来たという。
その当時、生産の英語はすべて統一教科書で、教員は専任も非常勤もそれを使わないとならなかった。どの週にどこをやるとかどういう風に教えるかまで決められている。なのにその先生はその教科書をまったく使わず、自作のプリントをやらせる自習みたいな授業しかやらないというのだ。

これは明らかなサボりである。私も統一教科書は大嫌いだが、大学の方針だから守るしかない。だいたいこの教科書は洋書でものすごく高くて学生は強制で購入させられるのに、それを使わないというのもひどい。
結局友達は学生からこういう苦情が出ていると専任に訴えたのだが、「注意しておく」と口頭で言われただけで何ひとつ改善しないので、学生がまた文句を言いに来て、結局何の関係もない非常勤なのに、大学と不良外人と学生の仲立ちをしなくちゃならなくて疲れたと言って閉口していた。
私自身も、学生から愚痴を聞かされたことがある。確か運動部の学生だったと思ったが、クラス(私のクラスではない)にすごい不真面目な学生がいて、そいつは授業にもほとんど出てないし、試験も受けてないのになぜか合格したというのだ。
これもあるあるなんだわ。日大は「落とさないでくれ」というお触れがよくまわってきたから。でもさすがに学生に「なんでなんですか!」と言われたときは返す言葉がなかった。

これでも非常勤でもなかなか首にできないんですよねえ。なにしろ大学非常勤講師なんてなり手がいないし(薄給でこき使われるので賢い人はやらないし、そのくせ資格や経歴など下手にハードルだけ高いのでそれに見合う人材が来ない)、外人はよけい人材難。なにしろ「日本語が話せること」という条件が加わるから。(英語で何か言われても日大クラスだと学生にはわからないから)
下手するとそうやってよその大学を首になった不良外人がババ抜きみたいにまわってくることもあるし。

まあロックリーもそのたぐいじゃないかと思ったわけ。そもそも最初の就職先が小学校のALTという時点で、大学で教えられるような経歴の持ち主じゃないし、そもそも日本の専門家でも歴史の専門家でもなく、ただの英語教師だし。

実は前述のMetatronはロックリーと電話で直接話している。(こういうフットワークの軽さと行動力は日本の配信者にはまねできない。相手は日本にいるんだから、そんなに文句あるなら直接言えよな)
それで悪いやつじゃなかったと言って、ロックリーが一方的に責め立てられているのに同情的だが、まあ電話でちょっと話しただけみたいだし、相手が自分より知識があると見れば態度を変えてへりくだるぐらいの知恵はあるんだろう。
(だいたい日本の大学教員の採用なんて、専任がいっしょに酒飲んで「いい奴だったから」なんていうので決めて、あとで泣きを見るケースもよくあるから、人当たりはいいんだろう)

彼の本の売り方は確かに姑息だとは思うが、べつに彼はUBIの御用学者でもないし、アドバイザーとして名を連ねているわけでもない。UBIとUBIが雇った「専門家」が勝手に小説を真実だと思って使っただけで、なんの関係もないゲームのためにここまで責め立てられるのはかわいそうだと思った。

あとNHKもロックリーの本をもとに弥助の特番を作ったんだって? NHKも本当にバカだな。でもそれもロックリーのせいとは言えない。
ついでにロックリーの個人的友達だという東大女性教授がXで擁護っぽいことを言ったら、そっちも炎上していたが、私はもうあきれて見ていない。「弥助は侍か?」論争もまだ続いていて、うっかりUBI擁護(と大衆には見える発言)をした歴史学者が論争に巻き込まれたりしているらしい。ご愁傷様です。Metatronも皮肉で「誰でも15分で歴史学者になれる時代」と言っていたが本当だね。

ところがある配信者がビデオの中で引用していたロックリーのインタビュー動画を見て気が変わった。ビデオ内で引用されただけでソースがわからないんだが、黒人のインタビュアーが弥助について話を聞くという番組だった。
それで彼が生でしゃべる(英語で)のを聞いてわかったんだが、こいつ「見てきたように嘘をつく」天性のほら吹きだわ。ほんの短いクリップなのに、とにかくまあペラペラとよくしゃべるし嘘の臭いがプンプンする!

弥助を一目見ようと人々が押しかけ、屋根の上まで人が鈴なりになったので、家がつぶれて死者が出たとか。それどこソースやねん! 相手のインタビュアー(アメリカ黒人だが知的な感じの人だった)のほうが苦笑を浮かべてかなり引いてる感じだった。

ちなみにメタトロンはUBIにも日本人の反応にもあきれてしまったのか、その後まったくACについてのビデオは作ってない。彼は喧嘩上等の人で売られた喧嘩は買うタイプなのだが、喧嘩する意味もないと思ったんでしょう。
私も同感なので、その後はほとんど動向を追っていない。

「非公式ソング」のはなし

この騒動で唯一感心したのが、前篇のトップでも引用した「キャベツの人」(前述のゲーム配信者)が出した『弥助やないかい』という歌。
ACSのトレーラーにAI作曲の歌を付けたものらしいんだが、曲はすごくいいのに、歌詞がふざけてる(歌詞はもちろんACSのおかしなところを突っ込んだり皮肉る内容になっている)のがおかしい。

『弥助やないかい』Music Video feat.アサシンクリードシャドウズ 【非公式ソング】Assassin’s Creed Shadows

「公開すれば批判殺到」からの展開がすごい好き。「とりあえずゲイにして信長と掘り合え」で爆笑したし。うちでは一日中流してたぐらい好き(笑)。
だいたい歌で抗議なんて聞いたことない。(大昔はプロテストソングというものがありましたが) それってなんか風流で日本ぽくていいね

それよりびっくりしたのは、今ではAIでここまで作れちゃうんだってこと。だってこの人作曲も歌も素人でしょ。多少歌詞が字余りだったり字足らずだけど、それでもほとんど抵抗ないレベルってすごい。

同じ作者の第二弾がこれ。こっちのほうが編集とかは凝ってるが、曲が今いちだし詰め込みすぎだな。

『弥助がもったいない』Music Video feat.アサシンクリードシャドウズ

それなら私はこっちのほうが好きというわけで、『弥助がもったいない』へのアンサーソングはAI生成の弥助がゲイにされてしまって曲はラップ。

[ENG]『弥助のキモチ』- MV (弥助がもったいないアンサーソング)

さすがに日本語の歌詞は苦しかったが、英語だとまったく違和感がなくて本当に人が歌ってるみたい。(作ったのはたぶん日本人) こういうのは歌詞とリズムを合わせるのがむずかしいと思うのだが、そういうのまでAIがやってくれるんだろうか?

他にもこの替え歌やらなんやらが作られてるのは昔のニコニコ動画とか2ちゃんねるとかを思い出して感慨深い。なかなかこういう「祭り」ってなかったですからねえ。

終わりに

結局収穫だったのはこのキャベツさんの歌だけで、虚しさの方が残った。それでこういうのどっかで書いたなと思ったが、これだった。これもゲームがらみだし。

引用すると、

日中韓の混同なんてありふれてるし、この程度のことは世界中ありとあらゆる場所で起きていると思うので、ゲームに限らずそういうものすべてに攻撃しかけてるんだろうなと思うと鳥肌が立つ。(そういや、カニ缶のパッケージのカニの絵が日章旗を思わせるというので韓国人が抗議したなんていう話もあったな)

言っちゃ悪いが、韓国人も中国人もこういうところ本当に気味悪い。中国人も韓国人もSNS攻撃とかも好きな連中なのは知ってたが(日本の「炎上」だって同じ心理だから人のことは笑えないよ)、こんなところでもそれやるか?

べつに東アジアを差別する意志はない(軽蔑はしてるけど)。ただ私もかれこれ50年以上(アジア以外の)海外ウォッチャーをやっているが、こういうケンカは欧米どころか世界のどんなところでも見たことがないので驚きあきれてるだけ。まあイギリスがクロワッサンの起源はイギリスだと主張し始めたらフランスは宣戦布告すると思うけど(笑)、そんなアホなことは言わないだけ。
※「文化盗用」とかいうアホな概念とちょっと似てるが(内容は真逆なんだけど)、そういうアホなことを言い出すのは必ずアメリカで、アメリカ=西洋でも、アメリカ=白人でもないからね!

とにかく意味はわからんが怒っているのはわかった。しかしなんでそれをSteamのリビューに書き込む??? (特に愛国心皆無の私から見ると)頭おかしいとしか思えない。
中国とも韓国ともまったく関係ないアメリカのゲームのために、こんなところまで来てこんなことをやってるのか? 旧正月とかキムチがそれほど大事なものなのか?(それがいちばんわかんなかったりして)

それでここでも同じ穴のムジナだと書いたが、日本人にとっては弥助が侍かどうかが国威に関わる大問題だったわけね。あほらし。何度も言うけど、この手の騒ぎってなぜか東アジアの特徴なので、どうせ「またか」と思われるだけ。前にも書いたけど、こういうことばかりやってると、中国や韓国の同類だと見なされるのがいやでしょうがない。
あとで書くけど、スポーツの国際大会で「差別された!」とか騒ぐのも同じ。それでも勝敗がかかってれば熱くなるのはどこの人でも同じだからまだそっちはわかるが、たかがゲームでこれはかなり恥ずかしい。

それよりこいつらが錦の御旗のように振りかざす愛国心ってやつがうさんくさくてたまらない。と言うと、「国を愛して何が悪い!」と言われるんだが、スマホポチポチしてゲームにいちゃもん付けるぐらいときぐらいしか発揚しない愛国心ってどうせたいしたもんじゃないと思う

そもそも日本人がこれだけ日本の文化と歴史を大切にしてるなんて知らなかったよ(笑)。学生見ててもそんなやつひとりもいないんで。
日本も中国も韓国も、確かに歴史は古いけど、みんなその古来の文化や伝統を惜しげもなく捨てて西洋化したよね。むしろこの三国の中では古い伝統が残ってるという意味では日本がいちばんましなぐらいなんだけど。でもそこまで日本文化を愛してたら今でもちょんまげ結って着物着てるんじゃない?

私が見るに、日本人も中国人も韓国人も根っこにあるのはコンプレックスだと思うのよ。だからヨイショされると過度に喜ぶけど、ちょっとでも馬鹿にされたと思うと切れてわめきちらす。

ああ、この日記の読者には衆知のことだと思うから書いてなかったけど、私は筋金入りの非国民で、おまけに隠しもしない人種差別主義者です。イギリス以外はすべて見下してるから(笑)。中でもフランスは最大の「敵」だから、本来ならもっといい気分になっていいところだったんだけどねえ。とりあえずフランスについてはいろいろ言いたいから、次のパリ・オリンピックの記事で書くわ。

ただひとつ言えるのは、イギリス人やフランス人がゲームの中で自国なり自国の文化が侮辱されたと感じても、絶対にこういうことは起こらない

というのも奴らには自分らが世界の盟主である(あるいは少なくとも過去にはあった)という絶大な自信があって、(口には出さないが)世界のすべてを見下しているからだ。今の世界ではアメリカがそうなってたはずだが、ヨーロッパは絶対にアメリカを認めないし見下しているしアメリカもある面ではひどいコンプレックスを持っている。中国は昔はそうだったが、今の中国は何がどうなってるのかよくわからん。

自虐ユーモアもその自信と余裕があるからできることだ。日本みたいに皇室が絶対的タブーの国と違って、英国では王室はどんなにからかってバカにしても許されるおもちゃだ。なぜなら英国王室にはどんなに泥をかぶっても汚れることのない威信と威厳があるとわかってるからだ。はっきり言って自虐ユーモアはイギリス人のいちばんかっこいいところだと思う。

それでもSNSで炎上する方が実際に暴動起こすよりましという見方もできるけどね。英国では70年代以来そういうことがなかったので、これもフランスをバカにできる要因のひとつだったんだが、あれ【注】で水の泡だ。

【注】サウスポート暴動のことを言っている 2024年7月29日に起きたサウスポート事件がきっかけで始まった反移民暴動のことを言っている。この日、サウスポートの子供向けダンス教室に刃物を持った男が押し入り、3人の女児を刺殺し、子供8人と大人2人にけがを負わせた。
幼い子供が狙われるというこれ自体が非常にショッキングな事件だったので世間の耳目を集めたが、犯人はイスラム系の移民であるというデマがSNSで拡散され、それに乗じた右翼がサウスポートだけでなくロンドンでも反移民・反イスラム暴動を起こした。
ちなみに犯人はルワンダ出身の移民を両親に持つ17歳の少年だったが、彼はイギリス生まれのイギリス人だった。

でも現実に一人勝ちしているのはアメリカだまさに文化侵略という形で、全世界を洗脳し、ポリコレみたいな狂った思想を押しつけているからな。

私はヨーロッパはプライドがあるから絶対にこれには乗らないと信じてたのに、こういう一見「意識高そうな」行為には弱いのか。「地獄への道は善意で舗装されている」ということわざそのものだね。
攻撃すべきはこういう相手であって移民ではないのに、やっぱり右翼はバカだ。とにかくこの暴動の原因もSNSのデマだったというのは他人事ではないよ。バカにスマホを持たせるとこうなるという例がまたできたね。

P.S. 奈緒江のこと

弥助が批判されると「ちゃんと日本人の主人公奈緒江(くノ一)もいるのに、日本人は何で無視するんだ。日本人は女性差別!」と言う奴もいたが、そう言えば完全に忘れてたわ(笑)。
しかしあのトレーラー見たら、どう考えたって弥助がメイン・ヒーローで、奈緒江はサブでしょ。女性をそういうふうに脇役にするのってポリコレ違反じゃなかった? これってアサシンのゲームなんだから奈緒江のほうが主人公のはずなのに。

実際、日本でも奈緒江はほとんど話題にも上がらない。まあ突っ込みどころがないからか。というか、忍びなのにまったく忍んでないのはアサクリの他の主人公も同じだけど、忍者でそれをやられるとめっちゃ違和感あるんだが。
彼女を「史実に忠実な」まともな忍者にして、彼女が絶体絶命のピンチの時だけさっそうと現れるヒーローを弥助にしておけば何の問題もなかったのに

奈緒江についての批判は「顔が東南アジアっぽくて日本人に見えない」とか「いつものフードが忍者らしくない」というぐらいだったな。
このどこが東南アジア? 普通にそこらにいそうな日本人に見えますが。おたくはフルメイクでお目々ぱっちりの女の子でないと我慢できないのかな。戦国時代にそんな女忍者がいたわけないじゃん。
忍者らしくないというなら、忍者は天守閣のてっぺんからダイブなんてしませんが(笑)。

しかし発売前からこれだけ燃えるんなら、いざ発売されたときの騒ぎが楽しみだな。ていうか、これ買うやついるんか? 逆に日本で売れまくりってなったら恥ずかしくないか?

とにかく私は私に大学のことを思い出させたというだけでも許せない。(ゲームなんて現実逃避のためにするものなので) たとえUBIがおわびに日本人にはただで配ると言い出しても、こんなもんはゴミ箱にポイだ。