light
この作品「月が綺麗と言わないで」は「星街すいせい」「曲人格」等のタグがつけられた作品です。
月が綺麗と言わないで/蒼星あきの小説

月が綺麗と言わないで

1,796文字3分

星街すいせいの曲人格パロです。

🚬 シャンティ
👻 Ghost
✨️ 綺麗事
✂️ template

この4人の曲人格達が家族となって暮らしている話。
今回Ghostとシャンティは出てきません。

1
white
horizontal

✨️「はぁ〜」
沈む太陽と共に腰を下ろす。澄んだ水面は素肌を温め、身体にまとわりついていた疲労を溶かしてくれている気がした。
そう、私は今温泉旅行に来ていた。
貸切の露天風呂に浸かって、美しい景色に酔いしれる。そんな最高のシチュエーション。
でも、そんな中でも私の心はザワついていた。
✂️「……綺麗事、お前よく入れるな。熱すぎるだろこの風呂」
✨️「温泉はこんなもんだって。ここ座れるから、せめて足だけでも浸かれば?」
✂️「……あぁ……―っ……」
✨️「……無理はしなくていいよ」
✂️「……いや、平気だ」
✨️「……そっか」
……他のお姉ちゃん達が来てたら、もっとはしゃいだり憎まれ口でも叩いてたかもしれない。
まさかおねーちゃんが熱出すなんて思わなかったなぁ……キャンセルしようとしたら泣いちゃうし……まぁそこが可愛いんだけど。おねーちゃんは。
長女に泣きつかれ、苦渋の決断として見守り役のシャンティだけを残して2人で来た旅行。
2人っきりの時のtemplateは……なんだかよくわかんない。おねーちゃんの事心配してるのか、2人で行くって決まった時も難しい顔してたし……
✂️「……あっつ……」
無意識に出たであろう言葉を聞いて、思わずtemplateの方を見る。
私と同じ体型に見えるけど、私よりはしっかりとした筋肉があって……靱やかなのに強靭で、よく切れる刃物のような美しさがあった。
普段一緒にお風呂なんて入らないから分かんないけど……templateってお風呂入る時いっつも髪上げてるのかな……
その横顔を思わず眺めてた時、不意に目が合った。
templateがギョッとした顔をして、急いで私の方へ駆け寄った。
✨️「な、なに!?」
心臓を吐き出しそうだった。
私の大声なんて気にもしないで、templateは頬に手を当てて来た。
✂️「大丈夫か?一旦出ろ。真っ赤だぞお前」
その言葉でやっと熱が意識に回ってきた。
急いで湯船から飛び出て、心配そうな面持ちをしたtemplateに適当に言い訳をして温泉を後にした。
……姉に見蕩れるなんて…それもあいつに……

✨️「美味しい〜!おねーちゃんにも食べさせてあげたかったな〜」
浴衣に着替えた私達は、旅館の夕食である最高級の和牛に舌鼓を打っていた。
食事の最中はいつも通りのtemplateだった。
いや、思い返せばかなり上機嫌だったかもしれない。
普段なら箸さえ付けないような物もペロリと平らげていた。
✨️「template、お酒飲まないの?ここめっちゃ良いとこだし……せっかくなんだから飲んだら?地酒も美味しいらしいよ」
私の問いに、templateは少し笑って
✂️「酒はいいよ。飲まなくても満足だからな」
と呟いた。
何故かその一言が嬉しくて、幸せで、普段ずっと聞いてるtemplateの声が、この時は特別に聞こえた。
やがて食事が終わる。
敷かれた布団は襖の向こう。
私達は用意された布団に入ることなく、ただ黙って広縁で月を眺めていた。
月とtemplateを交互に見る。
鼓動が、いつもよりも……
✂️「……今日は月が―」
ダメ……その先は言わないで。言われたら……真に受けるから。
✨️「やめ……」
✂️「……綺麗事?」
ハッとした。
templateの顔を見れなかった。
説明出来るわけもない、したとして……templateからしたら気持ち悪い勘違いに過ぎない。
✨️「……なんでもないよ」
どうにか絞り出せた言葉には、子供のような態度が透けて見えた。
自分で止めたくせに、言って欲しかった自分がいた。
最低だ。templateは普通にしてたのに……私が、変なこと考えたせいで―
手が、引かれた。
体制を崩した先には、柔らかで甘い口付けが待っていた。
たった数秒。私達は、その数秒の中で何回呼吸が出来てただろう。
そう考える程に、鼓動と息遣いは激しくなった。
✨️「てんぷれー……と……?」
✂️「ごめん、姉ちゃん……大人気ねぇ。嫌なら……嫌って言ってくれ」
もう一度唇が近づいた時、今度は自分も身を預けに行った。
私達は……狭い窓から漏れる、月明かりの下……姉妹という囲いを蹴破った。
ねぇ、template……
✨️「……月が、綺麗だね」
✂️「……ずるくねーか……?まぁ……その……死んでも、いいかもな」

コメント

コメントはまだありません
センシティブな内容が含まれている可能性のある作品は一覧に表示されません
© pixiv
人気のイラストタグ
人気の小説タグ