ロケット「イプシロンS」、エンジン試験完了 26年度内打ち上げへ
宇宙航空研究開発機構(JAXA)は開発を進める次世代小型ロケット「イプシロンS」の地上でのエンジン燃焼試験を実施し完了した。成功が確認できれば、2026年度内にも試験機を打ち上げる。早期に人工衛星を載せての本格運用を目指す。
イプシロンSは23年7月と24年11月の2度にわたり、エンジンの燃焼試験中に爆発事故を起こし、開発が大幅に遅れていた。今回の燃焼試験が成功すれば実際の打ち上げに向け大きく前進したことになる。
種子島宇宙センター(鹿児島県南種子町)で実施した第2段エンジンの地上燃焼試験は午前9時ごろから始まり、2分ほど燃焼した後、終了した。今後は実験結果を詳細に解析するが、成功した可能性が高いとみられる。
イプシロンSは13年から運用してきた小型ロケット「イプシロン」の改良版にあたる。JAXAとIHIエアロスペースが開発しており、国の大型基幹ロケット「H3」が液体燃料を使うのに対し、イプシロンは固体燃料を使う。固体燃料は液体燃料と比べて保管しやすく、機体の構造も単純となり運用しやすいメリットがある。
当初は打ち上げ能力の増強のため推進薬を増やした新規エンジンの搭載を目指していたが、2度の爆発事故を受け従来のイプシロンで使われていた仕組みのエンジンに戻した。改良エンジンの実用化より打ち上げ再開を優先した格好だ。
イプシロンSは「7号機」を試験機として26年度内に打ち上げる計画だ。ベトナムの小型衛星などを打ち上げる計画も控えている。
エンジン試験の成功が確認されれば国内外の小型衛星の打ち上げ需要獲得を目指してきた日本のロケット開発にとっても大きな一歩となる。今後の宇宙輸送の正常化にもつながる。
ただ今回使用する従来型のエンジンは、開発を進めていた改良エンジンと比べて小型衛星のロケット搭載重量が低下する問題も指摘されている。打ち上げ重量の低下はコスト効率が落ち、競争力として劣る可能性もあり、従来型のエンジンによる打ち上げと同時に改良型エンジンの開発も進めていく必要がある。
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(更新)- 長内厚早稲田大学大学院経営管理研究科 教授分析・考察
日本は液体燃料ロケットのH3と固体燃料ロケットのイプシロンを並行して開発しているが、固体燃料ロケットの開発は信頼性が高く構造が簡単でありコスト的なメリットがある。しかしコストの観点だけではなく、固体燃料ロケットは長期間ロケットに燃料を充填した状態で保管できるので即応性が高いというメリットがある。これは有事の際に自国の人工衛星が破壊された場合に即座に代替衛星を打ち上げることを可能にするため、安全保障上も重要な技術と言える。
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