全国の中学校の5校に1校以上で水泳授業が実施できていないというスポーツ庁の調査結果を受け、松本洋平文科相は7月21日の閣議後会見で、各学校や教育委員会に対して実施に向けた検討を呼び掛けた。松本文科相は「水に親しむ楽しさや喜びを味わい、水難事故から身を守るための力を育てることにもつながる」と述べ、水泳授業の教育的意義を改めて強調した。
この調査結果は、スポーツ庁が全国の自治体に協力を依頼して実施した「体育科・保健体育科における水泳授業に関するアンケート」によるもの。今年3月に実施され、1406自治体が回答した。学校での水泳授業にさまざまな課題が浮かび上がる中、外部委託も含めた全校実施や水難事故防止などを目指して超党派の「水泳議員連盟」が設立された7月16日の会合で、初めて公表された。
それによると、水泳授業(実技)の実施は小学校で99.0%に上る一方、中学校では22.8%の学校で実施できていない実態が浮き彫りとなった。
授業の実施場所については、小中学校ともに「自校プール(屋外)」が7割以上(小学校72.6%、中学校78.6%)を占めるが、民間プールや公営プールなどの学校外施設を活用する動きも見られる。また、安全に関する実技の実施状況では、小学校の49.1%、中学校の15.4%で着衣泳が取り入れられているが、座学のみの実施も中学校では31.2%に上った。
水泳授業の実施にあたっての主な課題としては、施設・環境面では「暑さへの対応」(小学校74.0%、中学校61.1%)や、「学校プールの老朽化対策」(小学校68.8%、中学校55.3%)、「水質管理等の管理業務」(小学校61.1%、中学校51.5%)が上位を占めた。
指導面においても「安全面の対応」(小学校73.4%、中学校60.4%)や「熱中症対策への対応」(小学校65.6%、中学校54.0%)、「指導補助者の確保」(小学校35.1%、中学校27.9%)などが挙げられ、地域によっては学校外プールへの移動手段や時間の確保も課題として明らかになっている。
会見で松本文科相は「学校における水泳授業は、水に親しむ楽しさや喜びを味わい、泳法などを身に付けるとともに、水難事故から身を守るための力を育てることにもつながるものであり、重要な教育的意義があると考えている」と強調。「各教育委員会においては、児童生徒の学習機会の確保に向けて、地域の実情を踏まえつつ、学校と連携し、中長期的な視野からの検討、対応を進めていただきたい」と述べた。
スポーツ庁では、今年2月に持続可能な水泳授業の実施に向けた参考資料を作成・周知しているほか、プール整備などに対して学校施設環境改善交付金による補助を行ってきている。松本文科相は「引き続き各地域の声に耳を傾けながら、持続可能な水泳授業実施のための取り組みを検討、推進していきたい」との姿勢を示した。