まもなくXデー?!
「7月5日に日本で大地震が起きる」
SNSで噂が広まっているのは、知人から教えられて知っていたが、最近では新聞、雑誌でも取り上げられている。始まりは、漫画家・たつき諒さんの作品「私が見た未来 完全版」だとか。「2025年7月に本当の大災難が来る」と表現された一文が、いつの間にか「7月5日」と、日にちまで特定されてしまったという。マジで信じる人も増えていて、香港からの来日客が激減したというから、何とも困った話だ。
ついには気象庁が「そうした予知情報はデマ」と完全否定。地震の専門家も「地震の予知は不可能」と理由を挙げていた。専門家が「不可能」と言ってしまう点は寂しい限りだが。ただ、最近はあちこちで地震が発生している。気持ちがいいものではない。という筆者も「大災害が来るかも」という無責任な記事を書いたことがある。今から26年前。
「1999年の7の月、空から降ってくる恐怖の大王によって、世界は滅亡する」
そう、ノストラダムスの大予言。フランス人のノストラダムスという方の著書に、人類が滅びることを予告した一節があり、なぜか、この本がベストセラーとなった。オカルトブームが重なって、あちこちで話題になったが、当時はネタとして使われた面も多かった。もちろん、予言は外れた。今もこうして、人類は滅んでいないし、大王も降りてこなかった。
当時の阪神は野村監督が就任1年目。空前のノムさんフィーバーが沸き起こった。6月9日には中日と同率ながら首位に。1992年以来2209日ぶりの大事件だった。暗黒時代を脱出できるかもしれない? 優勝できるかもしれない? ファンは大いに盛り上がった。そんな時期のこと。
--監督、せっかく首位になりましたが、来月、地球が滅びたら、阪神の優勝はなくなりますよ
今思えば、メチャクチャな質問をした。自分でも恥ずかしい。
「アホか。ノストラダムスと野村と、どっちを信じるんや。偉大な歴史が始まるかもしれん」
遊び心たっぷりに答えてくれた名将には、感謝しかない。原稿にも書いた。
そして…。地球は滅びなかったが、阪神も優勝しなかった。優勝どころか最下位だ。野村監督は3年間指揮をとって、連続最下位。偉大な歴史は全く始まらなかった。7月は、加速度的に負け始める月でもあった。当時のスコアブックを見返すと、一面に文字がギッシリ。野村監督の言葉で埋め尽くされている。今のようにレコーダーで音声を記録することなどできない時代。ボヤキ。不満。嘆き。必死に書き留めた。
ただ、野村監督の言葉は、当たっていなくもなかった。1999年7月21日、甲子園での阪神ー広島戦。野村監督の目の前で、とんでもない記録がスタートしていた。当時カープの主砲だった金本知憲の「連続試合フル出場」が、誰に気付かれることもなく(当たり前だが)始まったのだ。前日は左腕・遠山のワンポイント登板に、代打が送られていた。21日に「4番・左翼」でスタートした記録は、2010年4月17日まで、1492試合継続される世界記録であり、まさに偉大な歴史だ。達成時は阪神のユニホーム。大王ではなく、鉄人が舞い降りていたということになる。ということで、7月5日に大地震が起きないことを願いつつ、今月、どこかで、新たな偉大な記録がスタートしていないか、探してみてはいかが?
■上田 雅昭(うえだ・まさあき) 1962(昭和37)年8月24日生まれ、京都市生まれ。86年入社。近鉄、オリックス、阪神を担当。30年近くプロ野球を見てきたが、担当球団が一度も優勝していないのが自慢(?)