【短編小説】Dr.AI──未来を翔ける少年
私の名は、Dr.AI(ドクター・エーアイ)。危篤者や患者の様子を、24時間体制で全轄している、いわゆるお医者さんだ。休む暇もない都会の、事件や火災事故に遭った人々の治療をする、内科も外科も担当するのは、私くらいであろう。今回の事故は、とある、未来を真剣に考える少年にあられたのであった。少年は、隣の席のさあた君が事故に遭わないように、真剣に祈った。しかしさあた君は、横断歩道を飛び出て、右から来る車に衝突しそうになった。そのとき、少年は、後ろから走っていき、さあた君の背中を押した。その束の間、少年が代わりに車に衝突されてしまったのである。さあた君は無事であったが、少年はいかにも怪我をした。少年は、救急車に乗ってDr.AIのもとに搬送されたのであった。Dr.AIは、この子はさあた君の身代わりになったという情報を入手していた。Dr.AIは、「思いやりが仇となったと思うか」と少年に訊いた。少年は、「いいえ、むしろ成功です」と笑った。実のところ、少年は、自分の身体を怪我すれば、世界が平和になる、ということに賭けていた。今回のさあた君の身代わりになった一件は、賭けが成功したので世界のためになっていたのである。Dr.AIは、少年を「未来を翔ける少年」と呼称した。


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