千五百八十六話 考え過ぎていた?

「どうするよ」


「そ、そうだね」


場所は変わり、現在客用の家でスティームと共に悩んでいるアラッド。


二人の気持ちを理解した。

十分理解したので、こっちは超ハイパーウルトラ高性能な避妊薬を使うので、とりあえずやりましょうという提案をされた二人。


とりあえず考えさせてほしいと頼み、現在シンキングタイム中。


「…………スティームは……ぼちぼち好み女の子の話とかしてきたけど……どうなんだ?」


「ん~~~~~……自分で言うのはあれだけど、僕も結局は男だよね、って思いはしてるかな…………アラッドはどうなんだい」


「……そうだな。結局も、俺もスティームと同じだな」


二人は侯爵家、伯爵家の家に生まれた貴族……令息である。


だが、どれだけ強く、財力を有していようとも、結局のところ思春期の野郎である。


今のところこの世界には、リアルの女性以外にのめり込むものがなく、アイドル……という明確な存在もまだいない。


それもあって、歳頃の野郎が異性に興味を持ち、そういったことに興味を持つというのは当然も当然、当たり前過ぎる感情、情熱? であった。


「ふぅーーーーーー……確かに俺もスティームも、誓い合った相手がいるってわけでもない……そこら辺を考えると、変に考え過ぎていた、のかもしれないな」


「うん……かもしれないね」


「あっ、でも待てよ…………いや、けど」


「? もしかして酔っぱらって実はフローレンスさんと婚約してた?」


「そんな事してないっての。俺のことじゃなくてさ……スティーム、お前本妻の席ではないけど、二席目か三席目は予約されてるんだよなって思って」


「…………」


「本妻予約じゃないのを考えれば、あまり気にし過ぎかもしれないが、ふと思い出してな」


予約している人物は平民の冒険者や女性騎士、女性魔術師などではなく……王女である。


「マズい、かな」


「俺は口にしない。これは絶対だ」


死なばもろともというのもおかしいが、一生にはっちゃけるのであれば悪い事ではないのだが、それはそれとしてお互いに墓場まで持っていこうと決めているアラッド。


「……問題があるとすれば」


「そうだな…………あいつが黙っていてくれるか、だな」


あいつとは勿論、二人のパーティーメンバーであるガルーレのこと。


当たり前だが、今回の旅が終ればガルーレとは別れる、なんて考えは欠片もない。

これまで通り共に冒険を続けようと考えている……なんなら、二人の中では今回の旅以降に何かしらの理由を付けて別れた場合、その方が今回の話をあっちこっちにばらまかれそうだと思っている。


これに関しては、ガルーレの性格が悪いという話ではない。

裏切りや悲しみという感情の問題であり、それを考慮するのであれば別れない方がそういった事情を回避出来る可能性が高い。


ただ……残念なことに、これからも共に行動していたとしても、そうならないと断言出来る要素がない。


「ガルーレの奴、呑む時は本当に吞むからな」


「そういうのも楽しみの一つではあるんだけどね」


ガルーレはアルコール耐性がかなり高い。

アマゾネス全体がそういった体質というのもあるが、ガルーレはそんなアマゾネスたちの中でも頭一つ抜けている。


だが、そんなガルーレでも酔う時は当然酔ってしまう。

しかし酒飲みからすれば、酒を呑む……酒を味わうのが楽しみの一つではあるが、酔うのも楽しみの一つである。


そして人間、酔いが回れば少なからず口が軽くなるというもの。


「「…………」」


伝えれば、守ってくれるとは思う。


ただ、酔いという状況はそれを打ち破ってしまう摩訶不思議な魔力がある。

だからこそ適量を守る必要があるのだが……一応、ガルーレは二人の前でまだやらかしてしまってはいない。


にもかかわらず、まだ呑みたい状態の彼女を無理に止めることは出来ない。


「あんまり待たせるのもあれだ……そろそろ決めないとな」


「……さっき、アラッドは僕たちが考え過ぎてるのかもしれないって言ったよね」


「あぁ、そうだな」


「…………それじゃあ、目の前で秘薬を呑むところを見たら良いんじゃないかな」


彼女たちの立場からすれば、ここまでしたという感覚がある。


宴の料理を作っている最中、大半のアマゾネスたちが考えていた。

料理の中に性欲を高める材料を使っても良いんじゃないかと。


だが、しなかった。


その場にガルーレはいたものの……彼女は同じアマゾネスということもあり、外で多くの男を味わっているということもあって、無理に止めようとはしなかった。


ただ、一人のアマゾネスが声を上げた。

そんなものを使わずとも、自分たちの体で誘惑し、仕留めれば良いと……それが、アマゾネスなんじゃないのか!!! と。


結果としては強くて良い雄と正々堂々と? やりたいというだけの話だが、彼女たちがグレーな手を使ってこなかったというのは紛れもない事実である。


「そうだな…………なぁ、スティーム。正直に言う……俺、かなり溜まってるんだよ」


「奇遇だね、アラッド。僕も同じだよ」


本当にお互いぶっつけ、同じ気持ちだった二人を拳を重ね合わせ、良い笑みをを浮かべていた。


これに関しては二人がそういった店にいってなかった……自己処理をしてなかったのが要因ではあるのだが……だとしても、今二人が置かれている状況は雄という存在が耐えられるものではなかった。

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