千五百八十七話 なんでだろう

「…………………………」


現在、アラッドは一人で朝日を浴びていた。


(煙草っていうのは、こういう時にほしくなるのかもしれないな)


違う。

そういう時もあるかもしれないが、そういった意味でほしくなるものではない。


「ふぅーーーーー……」


「お疲れい!!!!!」


「っっ!!!!!????? ……ガルーレか。わざと気配を消しただろ」


「そりゃ驚かせたかったからね~~~。でも、アラッドが気づかないなんて珍しいじゃん」


「賢者タイム………………スーパー賢者タイムってところなんだろうな」


結果だけで言うと、二人と多くのアマゾネスたちは合戦を行い、合戦が終ると同時にそのまま寝た。


そのため、終わってから数時間ほどが経ち、ようやっとスーパー賢者タイムが訪れた。


「そっか~~~。で、どうよ。楽しかったっしょ!!」


「…………そうだな。あれだけやっといて、そんな事はなかった、とは言えないな」


人数が人数だったこともあり、途中でアマゾネス秘伝のブースト丸を服用。


こちらも避妊薬動揺、秘伝というだけあってデメリットなしの精力にスーパーバフが与えられる。


「とはいえ、相手が妊娠しないと解ってるからこそ、出来たことだな」


「そこは変わらないんだ」


「変わらないな……言い方はあれかもしれないが、ある意味アマゾネスが男という存在を甘く、軽く見てる部分なのかもな」


「むむむ…………そう言われると……ん~~~~~…………否定できないかも」


正直なところ、ガルーレも強い男との間に子供が生まれたとしても、絶対にその人物と結婚して夫婦で子供を育てたいとは思っていない。


「まぁ……あれだな。それだけ、アマゾネスという種が女性として強い……と言えるのかもしれないが」


「…………どっちも、なんじゃないかな。まっ、そういうのは良いとしてさ、誰が一番良かった」


「………………」


パーティーメンバーだからか、スーパー賢者タイムのアラッドに対して、一切遠慮なくぶっこんできたガルーレ。


「そうだなぁ…………………………全員、悪かったところなんてなかったけど……一番ってなると、族長か?」


「おぉ~~~~、さっすが千人切りの族長!! アラッドを虜にしちゃったか~~~」


(千人切り…………前世でそういうのを聞いても、頭おかしいって……そもそも物理的に、使える時間的に無理だろって思ってたけど……世界観? が違うのを考えると、全然あり得なくなさそうなんだよな)


アマゾネスは物理的に強い男だけではなく、ただ単にその人物の性格が気に入ったという理由だけでも食らうため、やはり千人を食らったという称号に嘘味はあまり感じられない。


「けど、前にアラッドが合体した人が……マジットさんだったよね?」


「あぁ、そうだね」


「その人も良かったんでしょ」


「そうだな」


もうどうでも良いやと思っているのか、ノータイムで恥ずかしげもなく返答。


「って考えると、アラッドって結構ガチで歳上が好きだったりする? 一歳とか二歳じゃなくて、五歳以上の」


「………………………………………………………………」


「あ、アラッド?」


「っと。いや、そうだな…………もしかしたら、そうなのかもしれないな」


数十秒以上考え込み、最終的に両手で頭を抱えて膝を折っていたアラッド。


(いやぁ……マジか……そうなのか、俺?)


自分に問いかけても、それを知っている相手は自分だけ。

その自分が明確に解っていないのであれば、知るわけがなかった。


(別に悪いことじゃないんだが……そうか…………けど、普通に考えれば……………………そういう、ことなのか?)


「大丈夫? 頑張り過ぎてまだ疲れてる感じ?」


「それは多少あるが、別に大丈夫だ」


「それじゃあ、実は自分が歳上好きなんじゃないかって驚いた感じ?」


「……驚いたというか、納得したというか…………俺の個人的な感想なんだが、普通の…………そう、普通の男は、最初はある程度歳の近い女性としたがるものじゃないか?」


「ん~~~…………多分間違ってないと思う!!」


「そうだよな」


前世のアラッドは、間違いなくそうだった。

なんなら年齢イコール恋人いない歴ではあった。


ただ、歳相応にクラスで気になるあの子的な存在はいた。


しかし……アラッドは転生してから武器や魔法、スキル、戦闘、錬金術等々……自分を夢中にさせてくれるものに囲まれていた。

そこに加えて、周りにいる身内や従者たちの顔面偏差値がかなりハイレベルだったことも要因の一つとなり……何かが満たされていき、彼女という存在にそこまで興味を持たないようになっていた。


「ただ、俺は……おそらく、普通の男の子とは違う人生を送ってるから、そこら辺の感覚……感性も変わったんじゃないのか、と思ってな」


「普通じゃない、か。確かにアラッドは貴族令息だからってだけじゃなくて、令息の中でも結構変な部類だもんね」


「……そうだろ」


バカみたいに強く、幼い頃から個人の財力を有し、社交界ニート。

この三つだけでも、アラッドが普通の令息ではないと示すのに十分過ぎる内容だった。

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