「無駄な仕事を早く終わらせると、損をする」…優秀な会社員たちが“業務効率化”をしない納得の理由
「この作業、もっと早く終わらせられるのに…」そんな空気が流れつつも、多くの社員がダラダラと残業している会社があるとしたら、要領が悪いからではなく、会社員として「極めて合理的な生存戦略」をとっている証拠かもしれません。本稿では『なぜ「賢い人」が集まってしょうもない意思決定がなされるのか 身近な疑問からみる日本型組織の「無駄の構造」』より一部抜粋のうえ、無駄な仕事が会社から絶対に消えない不条理な仕組みを解説します。
■みんなが無駄だと思っている作業がなぜなくならないのか 組織の「慣性」を支えているのは、何も共同体の上層部だけではない。現場の最前線においても、また別の、しかし同様に強力なロジックで慣性の力が働いている。 仮に若手社員が、仕事の手続きを抜本的に簡略化するアイデアを思いついたとする。「この作業、今まで2時間かかっていたのが、このツールを使えば30分で終わりますよ」という新しい方式を提案したとき、彼はきっと、会社に貢献する素晴らしい提案として歓迎されると確信しているはずだ。
ところが期待に反し、現場のベテラン社員や同僚から返ってくるのは、冷ややかな、あるいは警戒心に満ちた反応であることが少なくない。 「そんなに早く終わらせて、浮いた時間に何をさせるつもりだ」 「もし新しいやり方でミスが出たら、誰が責任を取るんだ。今のままでいいじゃないか」 こうした反応を耳にするとき、彼は現場には効率化とは真逆のベクトルを持つ、奇妙な力学が働いていることに気づかされるだろう。 ここで、1つの調査結果を見てみたい。私が実施した「2022年ウェブ調査」において、「無駄な仕事だとわかっていても、そのまま続ける場合がありますか?」と尋ねたところ、実に63.6%、およそ3分の2の人々が「ある」と回答した。なぜ、これほど多くの人が「無駄」を自覚しながら、それをやめようとしないのか?