【港区連れ去りで新事実】会ったこともない医師が「認知能力がない」という診断書を書いていた! なぜこんなことが起きたのか、医師の謝罪と構造的な問題を明らかに
「家に帰りたい」を妄想と決めつける港区の“迷走”
しかし、「家に帰りたい」と訴えるかほるさんに対し、医師や港区の職員は「妄想」と決めつけ、医療保護入院させる措置を取った。それによって、かほるさんは東京都青梅市の精神科病院に入院させられたのである。 医療保護入院は患者の意思に関係なく入院させる制度であり、入院期間は原則3カ月以内と定められている。ところが、かほるさん側が退院後に病院の診察記録を精査したところ、港区や成年後見人が退院に強く反対していたことが判明した。 港区の“迷走”は、最初からだったのかもしれない。 虐待を理由にかほるさんを保護したにもかかわらず、当人と家族の双方が虐待を否定している。間違って母娘を分離したとなると、港区が謝罪を求められる可能性もある。そうした状況の中で、港区の担当職員が急いだのが、成年後見制度における「後見開始」の申し立てだった。家庭裁判所が申し立てを認めると、当事者には「成年後見人」が付く。 成年後見制度は、認知能力が衰えた人に代わって預貯金の管理や契約行為を支援する。認知の状況に応じて重い順に「後見」「保佐」「補助」の3類型があり、このうち、「後見」は、本人の判断能力がほとんどすべて失われたと判断された場合に適用される。ところが、年相応の衰えはあるものの、かほるさんは身の回りのことを一人でこなすことができるのに「後見」が適用されていた。 裕子さんはフロントラインプレスの取材に、繰り返し次のように語っていた。 「母は港区に連れ去られるまでは1人で外出していました。近所の買い物も自分で行っていた。それなのになぜ、家裁が後見人を選任したのか理解できません。後見人は、お金を数えることができない、一人で生活できないなど、生活能力がほぼ失われた人に選任されるものでしょう? 明らかに、何者かが母の自由を奪おうとして、後見人をつけたとしか思えないんです」
診療もしていないのに診断書が作成されていた!
裕子さん側が収集した診察記録からも、そのことが読み取れる。 連れ去りから1カ月半後の2022年11月2日の記録によると、港区の職員は「成年後見人を決める必要があり、なるべく早めに精神科受診をお願いしたい」と病院側に伝えたことが記載されている。そして同年12月23日、かほるさんの認知程度を最も重い「後見」相当とする診断書が作成され、それを根拠に港区は首長権限で成年後見人の選任を東京家裁に申し立てた。 東京家裁は後日、審判で港区の申し立てを認め、かほるさんの後見人としてA弁護士を選任した。いったん後見人が付くと、当事者の意思を後見人が完全に代行する形になる。A弁護士は、かほるさんの日常の資金管理や財産処分、移動・通信の自由なども自分の判断でできないようにした。 ところが、かほるさんのケースでは、後見開始の申し立て時に家裁に提出された診断書が、無診察で作成されていたことが、今回新たに判明したのである。医師法違反が明らかな「無診察の診断書」。それを根拠にかほるさんは、人生最後の年月を家族から強制的に引き離されていたことになる。 病院と医師は「無診療で診断書」を認めて謝罪した。現在配信中のスローニュースでは、謝罪文の内容を明らかにするとともに、こうしたことが起きる構造的な問題を明らかにしている。
フロントラインプレス