日本郵便の統治不全は危機的な状況だ。
郵便物回収の委託契約の入札などで便宜を図る見返りに受注業者から金品を受け取ったとして、日本郵便東京支社の元社員が日本郵便株式会社法違反(加重収賄)の疑いで警視庁に逮捕された。
警視庁の調べでは、委託契約の担当だった元社員は賄賂として現金やテーマパークの宿泊代金など計約120万円相当を受け取っていたという。
驚かされるのは、逮捕の元社員だけでなく、前任の担当者も同様の不正を行い、日本郵便から4月に懲戒解雇されていた事実だ。構造的な不正体質があったのでは―と感じさせる。
元社員は37歳という若さだ。にもかかわらず、賄賂を平然と受け取って権限を不正に行使し、職を汚す。にわかに信じ難い構図であるが、それだけの「闇」が日本郵便の現場に存在するということではないか。
警視庁は背景も含め、事件の全容を解明してほしい。
平成19年の郵政民営化から来年で20年になる日本郵便は不祥事が絶えない。令和6~7年には、ゆうちょ銀行の口座残高など情報延べ約1千万人分をかんぽ生命保険の営業に不正流用していたことが判明した。7年には、2391カ所の郵便局で、配達員に対する酒気帯び確認の不適切点呼が発覚し、トラックなど約2500台の貨物運送事業許可が取り消された。
今年に入っても複数の郵便局で顧客の口座から現金を盗むなど不祥事が表面化している。
なぜこれだけ不祥事が続発するのか。関係者からは、「役所」と「民間」のそれぞれの負の側面が相乗されたとの指摘が出ている。
郵便は収益が落ち、金融事業の数字が求められるようになった。民間として利益を求める圧力は強いが、元郵政省の官僚的硬直性が残って成果圧力に対応できる組織になっていない。その結果、かんぽ不正販売などにつながったとの見方だ。
全国約2万4千の巨大な郵便局網は統制を利かせるのが難しい。一方で、公的インフラの性格を持つため、「潰れない」という甘えが組織にある。巨大組織特有の「統制の空洞化」が起きている可能性が高い。
日本郵便の統治不全の根はあまりに深い。経営陣は、腹をくくった荒療治が必要だ。