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天皇陛下とフィリップ・ベルギー国王は、実は40年来の同い年の友人だ。
2026年6月23日、首都ブリュッセルで国賓歓迎式典が始まった。
テレビに映る整列した軍の儀仗隊と国旗——その格式ある映像の裏に、条約で結ばれた「国家」だけでなく、英国留学中に出会った「個人同士の縁」が流れていた。
なぜ式典の前に3日間も王室の城に招かれたのか。
そこに今回の訪問の本当の姿がある。
この記事でわかること
ブリュッセルで始まった「最高の歓迎」
ブリュッセルの王宮前に整列した軍の儀仗隊——これが「国賓」として迎えられた証だ。
6月23日 (現地時間)、天皇皇后両陛下はベルギーの首都ブリュッセルで歓迎式典に臨まれた。
宮内庁 によると、今回の公式訪問は 6月13日 から 26日 にかけての日程で行われている。
「 国賓 」(こくひん)とは、国として最高位の客として正式に迎えることを指す。
迎える側の国は軍の儀仗隊を整列させ、国歌を演奏し、国旗を掲揚する。
夜には国王夫妻が主催する晩餐会(ばんさんかい)が開かれ、天皇陛下がおことばを述べられる。
儀礼的に見えるが、その場で交わされる言葉は 両国の関係を形にするもの だ。
実はこの式典、今回ひとつ異例のことがあった。
朝日新聞 によると、空港でのお出迎えを担った エリザベート王女 ( 24 歳)が、外国の国賓のもてなしを担当したのは今回が初めてだという。
王女はフィリップ国王の長女で、王位継承順位は第 1 位。
ベルギー王室が「次の世代」を初めて国賓外交の正面に立たせた瞬間でもあった。
では、なぜ式典の前にわざわざ3日間も離れた城で過ごしたのか。
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離宮で数日を過ごした、異例の「前夜」
公式行事の前に王室の離宮へ—— これは通常の国賓外交では起きないこと だ。
両陛下は 6月20日 にベルギーへ到着後、南部ウイエにある王室の離宮「 シエルニョン城 」に入られた。
共同通信 によると、 21日 夜にはフィリップ国王夫妻のほか、エリザベート王女ら 4 人の子どもたちも集まり、 8 人で夕食をともにした。
宮内庁によれば、夕食は午後 7時半 ごろから始まり、約 1時間半 にわたって庭先で食事を楽しんだという。
この離宮への招待は、単なる観光や休息のためではない。
宮内庁は「公式行事が始まるまで静かな環境で旧交を温めたいとの両国からの 特別な配慮があった 」と説明している。
「特別な配慮」という言葉が、普通の外交ではないことを示している。
シエルニョン城とは
ベルギー南部ウイエにある王室の離宮。
王室の重要行事や夏の別荘として利用される格式ある施設だ。
今回の訪問だけが特別ではない。
共同通信 によると、上皇ご夫妻が 1993年 にベルギーを公式訪問した際にも、この城に滞在されたという。
特定の王室にだけ開かれてきた、ベルギー王室の「信頼の場所」といえる。
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公式行事が始まる前に離宮でともに過ごすのは、儀礼的な外交だけでは生まれない長年の信頼があるからではないか。
では、その信頼はどこから来たのか。
同い年の友人が、国を動かした
「フィリップ現国王陛下と私は同い歳ということもあり、英国留学中にベルギーを訪れた時以来、何度もお会いをする機会がありました」——天皇陛下がご自身の口で語った、この外交の本質。
宮内庁の記者会見全文 には、両国の関係を形づくってきた個人的な縁が詳しく記されている。
1999年 にはフィリップ国王(当時は皇太子)の結婚式に両陛下が出席し、マチルド現王妃とも初めて顔を合わせた。
以来、公の場だけでなく、折々に交流が続いてきたという。
2016年 (友好 150 周年)にはフィリップ国王夫妻が国賓として来日し、 2019年 の天皇陛下の即位の礼にも出席された。
こうして積み上げてきた縁が、今回の 「離宮招待」という異例の歓待 を生んでいると考えられる。
外交学には「 パーソナル・ディプロマシー 」(個人の信頼関係が国家間の外交の質に影響を与える現象)と呼ばれる考え方がある。
制度や条約だけでは決まらない外交の「温度」が、首脳同士の人間関係によって変わりうる、というものだ。
今回の訪問でもそうした働きが機能しているのではないかと思われる。
天皇陛下とフィリップ国王の個人的な絆が、制度の外で場を作り、外交の質を変えている のかもしれない。
職場での言葉に換えるなら——天皇とベルギー国王は実は 40年 来の同い年の友人で、その仲のよさが「城に泊まっていいよ」という特別扱いにつながり、さらに日本の半導体産業の未来にも影響しているかもしれない、ということだ。
ちなみに今回は、両陛下がそろって複数の国を訪問されるのは 24年 ぶりのことだ。
24年 前とは、日韓ワールドカップが開かれた 2002年 のこと。
あの年以来、初めての2か国歴訪となる。
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では、この「同い年の友人」がいる国・ベルギーとは、そもそもいつ、どのようにして日本とつながったのか。
160年前から始まっていた日本とベルギーの縁
坂本龍馬が暗殺される前年、 1866年 ——日本とベルギーの国交はその年に始まった。
1866年 は慶応 2 年。
大政奉還の翌年にあたり、江戸幕府が崩れかかっていた激動の時代だ。
在ベルギー日本国大使館 によると、その年の 8月1日 に「 日白修好通商条約 」(にちはくしゅうこうつうしょうじょうやく)が調印され、両国の外交関係が正式に始まった。
2026年 はちょうど 160周年 の節目にあたる。
日白修好通商条約が調印。
日本の開国後に国交を結んだ9番目の欧米諸国となる
上皇ご夫妻がベルギーを公式訪問。
シエルニョン城に滞在
フィリップ国王(当時皇太子)の結婚式に天皇皇后両陛下が出席
フィリップ国王夫妻が国賓として来日。
天皇陛下の即位の礼にも出席
天皇皇后両陛下がベルギーを公式訪問。
ブリュッセルで歓迎式典に臨まれる
日本・ベルギー友好160周年公式サイト によると、ベルギーは日本の開国後に正式な外交関係を樹立した「 9番目の欧米諸国 」だという。
当時の欧米列強と比べると、ベルギーは小国だ。
大国だけが早かった のではなく、 いち早く日本との外交を結んだ国 だったという事実は、意外と知られていない。
今回の訪問はその 160年 の節目に合わせて実現した。
個人的な絆と、歴史的な区切りが重なったタイミングだった。
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では、 160年 の歴史で積み上げてきた今のベルギーとの関係は、具体的にどんな姿をしているのか。
「チョコの国」が日本の半導体を左右する
日本企業 300 社超、年間貿易 2兆円 規模——これが「チョコレートの国」の実態だ。
ベルギーはチョコレートとワッフルの国 ——多くの人がそう思っているかもしれない。
だが実際は、 ベルギーには日本企業が300社を超える拠点を持ち 、年間の貿易規模は約 2兆円 にのぼると 日本・ベルギー友好160周年公式サイト は伝えている。
欧州の中心に位置し、EUの本部もあるブリュッセルを拠点に、多くの日本企業が欧州ビジネスを展開している。
さらに、天皇陛下は今回の訪問中に「 アイメック 」(imec)を視察される予定だ。
宮内庁の記者会見 によると、アイメックはベルギーに本拠を置く、世界最高水準の半導体(チップ)の研究開発機関で、回路を極限まで細かくする技術を世界に先駆けて研究してきた。
日本では、次世代チップの国産化を目指す「 ラピダス 」がアイメックと協力関係にある。
天皇陛下の訪問が、両国の産業連携をさらに深める契機になるのではないかという見方もある。
外交の場に天皇陛下が足を運ぶことで、政府間の交渉だけでは生まれにくい信頼感が加わる——これが「 皇室外交 」と呼ばれる日本独自のやり方だ。
半導体という先端分野でも、その効果が期待されているのかもしれない。
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そんなベルギーとの縁は、実はあなたの日常にも、もうすでに届いている。
あなたの生活にベルギーはもう入っている
日用品の棚、病院の薬、食卓——ベルギー企業の製品は、気づかないところにある。
日本・ベルギー友好160周年公式サイト によると、ベルギー企業は約 80社 が日本で活動しており、化学、バイオ医薬品(体の仕組みを使った薬)、食品、再生エネルギーなど幅広い分野に広がっている。
名前を知らなくても、その企業の製品やサービスが日常のどこかに入っている可能性は高い。
外交ニュースは「遠い世界の話」に感じやすい。
だが日本とベルギーの関係は、 160年 の歴史と個人の絆と、産業のつながりという 3つ の柱で成り立っている。
その土台の上に、今回の天皇皇后両陛下の訪問がある。
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同い年の友人が国王になり、離宮に招かれ、半導体の研究機関を一緒に訪れる—— 国家の外交と個人の縁が交差する 、そんな場面が 2026年 の6月に起きていた。
まとめ
- 天皇陛下とフィリップ国王は英国留学中からの同い年の友人で、1999年の国王結婚式への出席以来、長年にわたって個人的な交流を重ねてきた
- 式典前に王室の離宮・シエルニョン城で3日間をともに過ごすという歓迎は、上皇ご夫妻の1993年訪問時にも行われた「特別な信頼のしるし」だ
- ベルギーは日本の開国後に国交を結んだ9番目の欧米国であり、2026年は外交関係樹立160周年の節目にあたる
- 「チョコレートの国」のイメージとは裏腹に、日本とベルギーの貿易規模は年間約2兆円で、日本の次世代半導体を担うラピダスとベルギーのアイメックも協力関係にある
- 天皇陛下の言葉どおり、「個人的な縁」が国家間の外交の質を変えることがある——今回の訪問はその生きた例だ
国家と国家の関係は条約や数字で測られるが、その「温度」を決めるのは、長い時間をかけて積み上げた人と人の縁なのかもしれない。
よくある質問(FAQ)
Q1. 天皇皇后両陛下のベルギー訪問の日程は?
令和8年6月13日から26日にかけてオランダとベルギーを公式訪問。
ベルギーには6月20日に到着し、25日まで滞在後、26日に帰国された。
Q2. ベルギーの歓迎式典では何が行われるの?
国賓を迎える式典では、軍の儀仗隊が整列し、国歌が演奏される。
夜には国王夫妻主催の晩餐会が開かれ、天皇陛下がおことばを述べられる形式が一般的だ。
Q3. 天皇陛下とフィリップ国王はなぜ仲がいいの?
宮内庁の記者会見によると、天皇陛下とフィリップ国王は同い年で、英国留学中からの交流がある。
1999年の国王結婚式に両陛下が出席して以来、長年にわたり個人的な親交を重ねてきた。
Q4. 日本とベルギーの国交はいつ始まったの?
1866年(慶応2年)に「日白修好通商条約」が調印され、国交が始まった。
2026年はちょうど外交関係樹立160周年の節目にあたる。
Q5. ベルギーのアイメックとは何?日本との関係は?
アイメック(imec)はベルギーに本拠を置く世界最高水準の半導体研究機関。
日本の次世代半導体国産化を目指すラピダスと協力関係にあり、天皇陛下が今回の訪問中に視察される予定だ。
Q6. エリザベート王女と愛子さまは知り合いなの?
エリザベート王女は愛子さまと同い年(24歳)。
宮内庁によると、20年前にオランダで両家が静養した際、子ども同士で一緒に遊んだことがある。
今回、王女は国賓のもてなしを初めて担当した。
Q7. 今回の訪問は何年ぶり?
両陛下がそろって複数の国を訪問されるのは24年ぶり。
前回は2002年、日韓ワールドカップが開かれた年以来のことになる。
📚 参考文献
- 宮内庁「オランダ及びベルギーご訪問(令和8年)」 (2026年)
- 宮内庁「オランダ及びベルギーご訪問に際し(令和8年)天皇陛下の記者会見」 (2026年)
- 時事通信「両陛下、ベルギー国王一家と夕食 滞在先の離宮で」 (2026年6月22日)
- 共同通信「両陛下、シエルニョン城滞在 ベルギー国王夫妻と再会喜び合う」 (2026年6月21日)
- 日本経済新聞「天皇皇后両陛下がベルギー到着、王女が出迎え 公式訪問2カ国目」 (2026年6月20日)
- 在ベルギー日本国大使館「日ベルギー友好160周年」 (2025年)
- 日本・ベルギー友好160周年公式サイト (2026年)
- 朝日新聞「天皇、皇后両陛下、ベルギー到着 皇太子のエリザベート王女(24)が笑顔で出迎え」 (2026年6月20日)
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JAPAN PRESS 編集部
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