ファクトチェックはなぜ届かないのか、「上から目線」は逆効果 参院選で拡散した外国人の偽情報、誤り修正も態度や潜在意識は変わらない恐れ
ではどう対処すべきか。真嶋さんは、情報を受け取る側として、曖昧な状態に耐えて決定しないよう意識する姿勢が必要だと訴える。「不確かな情報に触れたとき、いったん立ち止まり、曖昧な状況のまま保留する。時間をかけて吟味したり、情報源を確かめたりする。そうしたネガティブリテラシーが大切だ」と話した。 ▽ファクトチェックをどう届けるか 3人の専門家に話を聞いて共通していたのは、参院選で広まった偽情報に対して、報道機関などによるファクトチェックの効果が限定的だったという認識だ。 「正しい情報を出せば伝わる」。メディアに関わる人間として、正しい情報を発信することばかりを考えていたが、ファクトチェックにも課題は多い。偽情報を放置することもできない以上、どうすれば良いのか。 大阪大の五十嵐さんは、2週間ごとに訂正情報に接触してもらうことで、最終的にはその人の態度は変わるという研究もあると説明。「発信し続けていくことが大切だ」とアドバイスをくれた。
安野さんは、2024年の兵庫県知事選挙で偽情報が放置された状態と異なり、メディア各社がファクトチェックに取り組んだことを「一歩前進」と評価する。大切なのは「上から目線」や「高圧的」と取られないような情報の届け方だと強調する。「ファクトチェックは『高圧的だ』と受け取られると届かない。どこが事実と違うのかを明確に示した上で、『だまされる方が悪い』といったメッセージに受け止められないようにすることが大切だ」と訴える。 その上で、安野さんは「誤情報を巡る認識」という側面だけではなく、選挙を通じて浮かび上がった人々の不安を見つめるべきだと指摘する。「根底にある『普通に暮らす人々が大切にされていない』という実感と向き合う必要があるのではないか」と話した。