ファクトチェックはなぜ届かないのか、「上から目線」は逆効果 参院選で拡散した外国人の偽情報、誤り修正も態度や潜在意識は変わらない恐れ
認知のゆがみとは、物事を偏って捉えてしまう思考パターンのこと。ただでさえ誤ったイメージがある中で、誤った情報が拡散すればどうなるのか。五十嵐さんは「政治家が誤情報を振りまいて排外主義をあおることで、人々の排外意識が高まりかねない」と懸念を示す。 ▽訂正情報が届いていない可能性 実際、選挙後に共同通信が実施した世論調査では、出入国管理や不動産取得など外国人への規制を「強めるべきだ」との回答が65・6%に上った。直接比較できるデータはないが、参院選を通じて、外国人への反感が高まってしまった可能性は否めない。 外国人に関する誤情報は報道や個人の投稿などで繰り返し否定されているが、五十嵐さんは「そもそも訂正情報が届いていないのではないか」と指摘する。国内の研究では、自分が正しいと信じている誤情報に関するファクトチェックを、半数の人があえて見ないように行動しているとの分析結果もあるという。
さらに、五十嵐さんは「情報自体の誤りが修正されても、その人の態度や潜在的な意識までは変わらない可能性がある」と話す。 ▽規範意識の違いはメディアの姿勢に一因? 五十嵐さんの研究によると、欧米ではたとえ移民への排外感情を持っていても、表には出してはいけないものだという「規範意識」が強い一方、日本ではそうした意識が薄いという。 五十嵐さんは、そのような違いが起きている理由までは分析できていないとしつつ、政治家の排外主義的な主張をしっかりと批判してこなかったメディアの姿勢や犯罪報道のあり方に一因があるのではないかと推測する。 「メディアは政治家が排外的な主張をしてもさほど批判してこなかった。外国人犯罪の報道では、まず容疑者の国籍を出すなど、外国人と犯罪が結び付けられやすい土壌もあった。こうしたことが、外国人に否定的な態度を取っても良いという意識につながっているのではないか」と話す。