【マーチングバンド解体新書】40年を超えて辿り着いた”楽しさ”という答え 火の国熊本で唯一の社会人マーチングバンド 「FIRE STATE」

「知ってるようで知らないマーチングバンド、ドラムコーの現状」を団体関係者に直接インタビューし、正しい情報を広く詳しく発信する【マーチングバンド解体新書】シリーズ。

今回は、熊本県熊本市で活動し、2025年に発足40年を迎えた一般バンドの『FIRE STATE』を紹介する。2025年の九州大会取材の際、メンバーが皆明るい表情で楽しく一生懸命にアップを行っていたのが非常に印象的で、今回取材のお声がけをさせていただいた。普段は団体代表者や責任者の方に発足の経緯や日頃の活動についてお話を伺っているが、今回はメンバーやスタッフ5名の方からお話を伺った。

>マーチングバンド解体新書 過去記事はこちら

FIRE STATEについて

団体正式名称:FIRE STATE(ファイヤーステート)
団体所在地:熊本県熊本市
創設年:1986(昭和61)年
団体の編成:ブラス(※)、パーカッション、カラーガード
※編成詳細は以下の通り
木管:Cl,A Sax
金管:Tp,Hr,Bari,Tuba

活動理念:より高度なマーチングを目指し、それによって有意義な人生を送るための生涯教育につながる活動を行う

1986(昭和61)年に熊本県内の全国大会レベルのマーチング活動をしていた高校のOB・OGが主体となり、各種式典やイベント等での演奏を請け負うために「熊本セレモニーバンド」を発足。当初はマーチングバンドとしてではなく、あくまでセレモニーバンドとしての活動団体だった。その後、1988(昭和63)年にマーチングバンドへと転換し、九州初の一般マーチングバンドとして活動を開始。1997(平成9)年から「ジャパンカラーガーズフェスティバル」や「マーチングインオカヤマ」などにも参加するようになり、2004(平成16)年1月に日本武道館で開催された「第31回マーチングバンド・バトントワリング全国大会」に初出場を果たした。また、熊本県内の幼児から一般団体までが一同に集う「くまもとマーチングフェスティバル」に1988(昭和63)年から出場を続けており、地域に深く根ざしたバンドとして幅広い世代から高い認知度を誇る。

2025(令和7)年には発足から40年を迎える老舗バンドということもあり、FIRE STATEから巣立って県内外でマーチングや音楽の指導者として活動する方や、熊本県外や海外でマーチングを続ける方も多くいるという。

隊長を務めるフロントピットの小田桂久(おだ・よしひさ)さんは、FIRE STATEについて「みんなで一緒にマーチングして楽しくできればいいなと思う。喧嘩もなく笑いあって活動できれば何よりです」と穏やかに語った。

他の団体にはない「FIRE STATEならでは」なエピソード

昭和・平成・令和を跨いで40年も活動を続けていれば、大なり小なり紆余曲折があっただろう。しかし、事務局長を務める綾部光雄(あやべ・みつお)さんによると、「FIRE STATEは一度も『存続の危機』という状況に陥ったことがない」という。

綾部:熊本県内にはこれまでいくつかの団体がありましたが、今はFIRE STATEが熊本県唯一の社会人マーチングバンドとなりました。我々もこれまでいろんな局面に立たされました。全国大会に出場したシーズンもあれば、メンバーが大幅に減って極小編成になったシーズンもありました。ただ、どんなトラブルがあっても存続の危機という状況には陥りませんでした。少人数には少人数の良さがあって、どんな場面にもみんなで団結して臨機応変に対応できるという強みがあるからだと思います。

また、FIRE STATEはコンテストバンドとしては珍しく、メンバー参加の締め切りを設けておらず、通年で加入できるという特徴がある。熊本県大会(熊本県ドリルコンテスト、熊本県マーチングバンド協会主催)は例年5月に開催されており、そこから約半年後に九州大会を迎えるのだが、その間に「くまもとマーチングフェスティバル」などのイベントを見て興味を持ってくれた方が新たに参加したり、活動を休止していたメンバーが復帰することも可能だ。

FIRE STATEの存在は、熊本県のマーチングの普及振興だけでなく、様々な事情で団体を離れたメンバーとも関わりを持ち続け、いつでも戻ってこられる居場所になっている。

関係者が答えます!活動状況Q&A

1.練習について

Q.全体練習の頻度はどれくらい?
A.週1回(日曜)+大会前などは祝祭日も

Q.練習場所はどんな場所?
A.屋外

2.メンバーについて

Q.所属メンバーの居住地について
A.団体所在地「内」の都道府県から通っているメンバーが多い

熊本県外からの参加メンバーは2名(長崎県、大分県)で、あとは全員熊本県民とのこと。熊本県南(八代市など)から通うメンバーもいるが、県北(熊本市内)が大多数を占めている。

Q.現在所属しているメンバーは何名いますか?
A.20名

パート編成は先述のとおりだが、シーズンで扱う楽曲によって変化はあるとのこと。クラリネットパートの楠元里歩(くすもと・りほ)さんは、学生時代にクラリネットをやっていたが、FIRE STATE加入時はカラーガードとして参加。その後、怪我の影響でフロントピットになったが、楽曲の編成上クラリネットが必要ということで再々コンバートしたそうだ。
2026年6月の取材時に「(クラリネットは)1本なので大変だが見せ場は多いのでやりがいは大きい」と話してくれたのだが、取材後にメンバーが増え、2本目のクラリネットメンバーが加入したそうだ。

3.実際に加入するためには

Q.年齢制限はありますか?
A.高校生以上

現在、大学1年生の18歳から56歳までの幅広い世代のメンバーが在籍。フロントピットの小田日和(おだ・ひより)さんは、隊長の小田さんと夫婦で参加しており、「夫婦で趣味が同じだと、休日も一緒に過ごせて楽しいですね」と笑顔で話してくれた。

Q.加入に際してオーディションを行っていますか?
A.行わない(未経験も可)

Q.一年間でメンバーが団体に支払う費用は概算でどれくらい?
A.~10万円

FIRE STATEの活動費は年額5万円と良心的価格で、楽器は無償貸与あり(個人持ち込みも可)。パーカッションはスティックのみ個人購入(マレットは貸与あり)で、カラーガードの手具は無償貸与(個人購入も可)、さらにカラーガード含め全パートの衣装が無償貸与となっている。

靴、インナー、手袋などの消耗品は個人購入が必要で、活動状況に応じて合宿・遠征費を別途徴収する場合があるとのことだが、最低限の出費で参加できるのはポジティブな要素だ。

日頃の活動や今後について聞いてみました

Q.普段、どのような本番に参加していますか?
A.
・マーチングバンド全国大会(M協主催)への出場
・地域イベント(地元のお祭りなど)
・演奏会などの自主公演

Q.いま一番困っていることは何ですか
A.人数(少ない)

綾部:FIRE STATEは上位大会を目指してがむしゃらにやっていくぞ、というバンドではありません。かつてはそういう時期もあり、実際に全国大会出場を果たしたこともありますが、バンド内の雰囲気は今の方がずっと良いです。今は人数は少ないですが、みんなが同じ方向を向いて活動できていて、高い目標を持ってマーチングに取り組んでいます。誰かを責めず互いに認め合える団体になりました。まわりに自慢できる団体です。ただ、もう少し人数がいるとやれることの幅も広がるので、いつでも皆さんのご参加をお待ちしております。

2026年シーズンからはドラムメジャーが変わり、トランペット担当だった豊田花穂(とよだ・かほ)さんが指揮台に立つ。初めてのドラムメジャーとのことだが、豊田さんは立ち姿だけでも雰囲気があるとメンバー・スタッフ間でも評判だ。豊田さんは、自身の目指すドラムメジャー像について、「ただテンポを出すだけでなく、演奏者一人ひとりの表現力を引き出して、音楽を一つにまとめたい」という。そして次のように意気込んだ。

豊田:正確な指揮と堂々とした立ち姿で観客を魅了し、バンドの象徴としてステージに立てるように努力を重ねたいと思います!

なお、FIRE STATEの今後の本番予定は下記のとおり決定しているので、熊本県内や九州在住の方はぜひ足を運んでみてはいかがだろうか。

【今後の出演予定】
2026年8月8日(土)第53回くまもとマーチングフェスティバル@えがお健康スタジアム(熊本県民総合運動公園)
2026年11月15日(日)第54回マーチングバンド全国大会九州予選@別府国際コンベンションセンター B-Con Plaza
2027年3月7日(日) FIRE STATE Marching Concert 2027@宇土市民会館

「FIRE STATE」

▶︎Website

Instagram

Facebook

Pearl