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「3年生の進路を背負って投げろ」。前橋育英・高橋光成をエースにした言葉

2014/10/23

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3年の夏を終えた今、プロ野球の見方が変わった

 運命の日が1日、また1日と近づいてくる。
 
「ドラフトはすごく楽しみなんですけど、本当に指名されるかな? とか考え出すと不安になっちゃって。寝られないって言うと大げさですけど、ホントはもっと後輩と一緒に練習して、いろいろ教えてあげたいと思っていたのに、結局自分のことだけで精一杯でした」
 
 昨夏は2年生投手として甲子園のマウンドに立ち、初出場初優勝。もう一度あの舞台へと、最上級生になった今夏、スピードと風格を増したエースは再び甲子園出場を目指したが、3回戦で健大高崎に敗れ、高橋光成の甲子園への挑戦は終わった。
 
 野球部寮を出て、実家から学校に通い、友達と遊ぶ時間など、これまでとは違う高校生活を満喫していると言うが、以前ならばただ楽しく見ていたプロ野球も、最近は、少しずつ見方が変わった。自然と「もしも自分がマウンドに立って、この打者と勝負したら抑えられるか」と考えている自分がいる。
 
「中田翔さんはとにかくすごい。何を投げたらいいのか、全然わかりません(笑)」
 
 不安もある、と言いながらも、目線はしっかりと前を向いていた。
 
 2年生で優勝投手になった昨夏、初戦の岩国商業戦は9連続を含む13奪三振という圧巻の全国デビューを飾った。
 188㎝という体躯と145㎞を超える速球のイメージは鮮烈で、初めての甲子園を終えると、前橋育英のエースは、高校球界を代表するピッチャーとして多くのメディアやスカウトの注目を集める存在となった。
 
 だが中学時代まで目を向けると、高橋は決して突出した存在ではなく、むしろ前橋育英の二番手投手であった喜多川省吾のほうが、実績では勝っていた。
 
 事実として、高橋に対しては荒井直樹監督も「体もいいし、素質はある。プロになる可能性を持った選手だとは思ったけれど、これほどの選手になるとは思わなかった」と振り返るほど。
 
 それが今、ドラフト候補、しかも「1位で指名する」と公言するチームが出るほどの選手になった。
 
 地道なトレーニングや、基礎練習を繰り返す技術練習を重ねてきたことに加えてもう1つ、高橋を開花させるきっかけになったのが、荒井監督が野球ノートに書いた何気ない一言だった。

 

 

 

エース・高橋光成の誕生

「3年生の進路を背負って投げろ」
 
 当時2年生だった高橋に、その言葉は突き刺さった。先輩たちと一緒に甲子園を目指す。
 
 そのためにエースナンバーをつける自分が頑張るのは当然だ。漠然とそう考えてはいたが、日々の練習で感じたことを記す野球ノートの、監督からの返答は予想だにしない言葉。
 
「ズシンと来ました。めちゃくちゃ重かった。どうしたらいいんだろう、とものすごく悩みました」
 
 気合や気迫を前面に出し、リーダーシップを持ってグイグイ引っ張るというタイプではなく、マイペースで純朴な高橋の性格を熟知していた荒井監督があえて記した厳しい言葉に、それまでとは違う感情が芽生えた。
 
「1日1日の練習をもっと責任を持ってやらなきゃ、と考えて行動するようになりました」
 
 あの日芽生えた〝エース〟としての自覚が、それからもずっと、高橋の軸になり、チームを支える源になった。
 
「育英に来なかったら、今の自分はなかった。選手としてだけでなく、人間力が鍛えられた時間でした」
 
 頂点に立った日。思わぬケガに見舞われた日。周囲からの目に押しつぶされそうになった日。負けて涙した日。
 さまざまな日々を経て、迎える、運命の日。
 
「指名して下さる球団で、一生懸命頑張りたい。将来は、日本球界を代表するような、子どもや高校生にも目標にされるような選手になりたいです」
 
 これから刻む新たな日々を、今から心待ちにしている。

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『凡事徹底 前橋育英高校野球部で教え続けていること』田中夕子 構成

「対話」を通じて選手に寄り添い、成長を見届ける それこそ指導者として最高の喜びだ――
埼玉西武ライオンズ 髙橋光成投手推薦!
 
荒井直樹監督指導論の集大成
想像を超える強さは、やはり当たり前の積み重ねでしか生まれない
 
『当たり前の積み重ねが本物になる』の内容をアップデートした、前橋育英高校野球部・荒井直樹監督の指導論を1冊にまとめたものです。
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