政府は、高市政権で初となる経済財政運営の指針「骨太方針」案を出した。来年度を「責任ある積極財政元年」と位置付け、予算編成を見直して複数年度で一部事業を進める。

 一部オールドメディアは「骨太ショック」といい、骨太方針のせいで財政が危うくなり長期金利が上がったと言うが、間違いだ。

 円安によって名目成長率が上がり、同時に税収が上がる中での金利上昇である。足元の名目成長率が4%程度あり、長期国債金利が2・8%程度なので財政的には問題ない。これは「ドーマー条件」と言われるもので、単純化すれば、稼ぎが金利上昇分を上回るので問題ない。

 名目成長率の上昇は予想インフレ率を高めるが、長期金利の上昇はそれに伴う程度だ。予想インフレ率を示す「ブレーク・イーブン・インフレーション率」は今後10年でみて2%程度に過ぎず、ひどいインフレではない。財政悪化ではないことは「クレジット・デフォルト・スワップレート」が最近ほとんど動いていないことからも確認できる。

 ちなみに、G7諸国や韓国の長期金利を骨太方針の公表以降でみると、長期金利は同じように動いている。いずれにしても、日本の骨太方針の書き方が、日本の長期金利を高くしたのであれば、G7や韓国にまで影響を与えたというのか。それはおかしいだろう。

 なお、長期金利の上昇がまずいという理由の一つに、政府の利払い費が高くなって財政破綻懸念が増すという俗説もある。しかし、企業のグループ会計に相当する統合政府でみると、資産が大きいので、日本はネット負債は若干のマイナスだ。

 資産の多くは金融資産であるので、実は長期金利の上昇は日本の財政悪化の要因にならない。というのは、金融資産からの金利収入が税外入になり、利払い費増を相殺するからだ。

 骨太方針案ではGDP成長率が名目3%超、実質1%超の経済を目指し、「責任ある積極財政」について「長年にわたる投資不足の流れを断ち切り、世界的な産業政策の大競争時代に対応していく」としている。

 ところで、筆者は円安上等と言い続けているが、これは感覚的な話ではなく、古今東西知られた「近隣窮乏化」や、国際機関の世界経済モデルに基づくものだ。日本の財政が危ないはずはないので、円安による税収増などを国民に還元すべき状況である。

(たかはし・よういち=嘉悦大教授)

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